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第8回目のラジオ配信。「地蔵盆」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
地蔵盆という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
地蔵盆とは、「お地蔵さんのお盆」ということです。地蔵盆をされていない地域では、「お地蔵さんのお盆」と聞いても、ピンとこないかもしれません。地蔵盆がいつ・何日に行われているのかも知らないことでしょう。
地蔵盆は8月24日に行われることが多いです。一般的なお盆が8月の13日から16日にありますよね。そのお盆が過ぎた一週間後の、23日ないし24日に勤められるのがこの地蔵盆というお盆の仏教行事です。
どうして地蔵盆が8月24日のにあるかご存知ですか?それは、24日がお地蔵さんの縁日とされるからです。縁日というのは、あまり浄土真宗では考えないのですが、そういう考えもあるということで聞いてください。縁日とは、それぞれの仏様との強いご縁のある日という意味で、例えば毎月15日が阿弥陀如来の縁日。毎月18日が観世音菩薩の縁日。毎月23日が勢至菩薩の縁日。毎月21日が弘法大師の縁日。
- 毎月15日:阿弥陀如来
- 毎月18日:観音菩薩
- 毎月23日:勢至菩薩
- 毎月21日:弘法大師
となっているように、1日から晦日のそれぞれの日にちに、いろんな仏様や菩薩や高僧・偉いお坊さん達の縁日と定めて、それでその縁日にその仏さま菩薩高僧のお勤めをします。
毎月24日がお地蔵さんの縁日ですので、一般的なお盆の月とされる8月にある24日は、地蔵盆として、京都をはじめとして、関西方面では、広く行われている仏教イベントとなっています。
私の寺の住職が京都の東山、霊山(りょうぜん)と言われる場所で、霊山本廟長をしてました時に、その霊山にある子供会かな?自治会の方が、地蔵盆をする時に霊山本廟長に案内をして、それで地蔵盆の読経・法話に行ってました。
最近では地蔵盆をしていない地域もだいぶ増えたことでしょう。香川にある私のお寺のすぐ北側にある地域では、今もずっとこの8月の24日に、地蔵盆が町内会・自治体で続けられています。
地蔵盆は、お地蔵さんのお盆ですが、怪しい・奇妙だ・何をしているのか分からないと不審がる人もいるでしょうか。
地蔵盆だからといって、特段変わったことをしていませんよ。それこそ私のところは浄土真宗ですから、阿弥陀さんや観音勢至を拝むのですが、地蔵盆ではお地蔵さんも拝みます。
それは地蔵盆が古くから、その地域に根ざして続けられているからです。お地蔵さんは路傍・道端にいる菩薩像ですが、地域の守り神・子供の守り神としての信仰もあわせもち、地域の信仰の場となっています。
さきほど、私のお寺の北側の地域でも地蔵盆が続けられていることをいいました。しかしその地域は、南無阿弥陀仏の浄土真宗が根付いている地域です。お地蔵さんとは関係がないように思えるでしょう。
しかし地域を守り続けていたお地蔵さんは、宗旨が違えども、1年間常に、地域の人々が清掃をしお花を入れ替え、お供物をお飾りしてきています。お地蔵さんに敬いの心があるからです。
8月24日の地蔵盆では、地域の人が提灯を飾りお菓子などを多くお供えを準備し、お坊さんを呼び地域の人たちと一緒にお経を唱えます。
地蔵盆は私たちと関係ないとするのではなく、古くから地域を見守って下さったお地蔵さんを敬い、お地蔵さんのお勤めをする中で、先祖を敬うことや、仏法にであっていくことができるのです。
今ではもう見かけることも少なくなりましたが、かつての地蔵盆は、地域の子供さんが親子そろって、家族集まって参加し、そのお地蔵さんを通して、子供の健やかな成長や交通安全や無病息災・家族円満・夫婦円満などを願っていました。
24日の地蔵の縁日の中で、特に8月24日の地蔵盆を大切にするというのは、やっぱりお盆の後・夏休みということもあって、小さいお子さんから家族揃って参加でき、また地域によっては盆踊りであったりと、子供の遊びの場・地域の交流の場としての意味合いもあったことでしょう。
8月24日の地蔵盆は、地蔵への信仰という意味だけでなく、子供のため・家族のため・地域のためというイベントでもありました。
最近ではお坊さんを呼ばなくなった地蔵盆もあります。町内会・自治会が縮小して、地蔵盆しなくなったところ、やめてしまったところもあります。
地蔵という菩薩さんは、一つの村に一つは昔からあったはずです。地蔵が地域の守り神のようなはたらきがあったからです。規模の大きい小さいはあっても、お地蔵をお祀りするという習慣は昔からあったはずです。
しかし最近では、地域の交流・家族の交流がだいぶ失われてしまったので、地蔵盆がなくなったり、さらにはお地蔵さんに手を合わすという機会がなくなってきつつあるのが寂しいところです。
さいごになりますが、皆さんもちょっと思い起こしてください。自分の住む町内のどこに、お地蔵さんの像があるでしょうか。お堂にまつられた立派な地蔵のこともあるでしょうし、道端に・田んぼのあぜ道に、石の塊としてポツンと置かれていることもあるでしょう。空襲などで破壊されていなければ、1つの町に1体は必ずあると思います。
失われつつある地蔵盆ですが、地域を守ってくれていたお地蔵さんの存在を、今一度、確認してみてはいかがでしょうか。