こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。
私がブログをはじめて約8か月経ちました。
ブログをしようと思った理由は色々あるのですが、やはり一番の理由はお坊さんの生の声による情報発信がブログを始める原動力となりました。
最近ではインターネット上でもテレビ、雑誌でもお坊さんやお寺について取り上げれられる機会が増えているような気がします。
特に携帯電話・スマートフォンの普及によりインターネットから情報を得る人が格段に増えた印象です。
しかしお坊さんやお寺、仏教について手軽に知りえるようになったとしても、私にはこれでよいのかという疑問があるのです。
そのことを今回は話していきます。
ネットやテレビで本当に仏教が分かるのか?
2017年の春まで4年にわたって『お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺』というテレビ番組がありましたよね。
結構な人気だったのか、お参り先でも話題になることがありました。
私も数回見たのですが、つまらない内容でしたので結局しまいには見ることがなくなりました。
(まあ人によれば流行りの内容を知ろうとしないお坊さんはセンスがないと思われるかもしれませんが、あれはお坊さん向けの番組ではそもそもないでしょうね。)
何が私をつまらなくさせたのか。
それは様々な宗派のお坊さんを集めておきながら、大切な仏教の話はろくにせず、面白おかしく話をしているだけだからです。
お坊さんはまじめに話しているのでしょうが、コメンテーターやコメディアンが馬鹿笑いしたり茶化したりするから本質的な話が何にもできない。
僧侶・寺・仏像・仏教などを一般人に広く興味を持ってもらうという点ではかなり素晴らしい番組だったのですが、お坊さんの私から見れば、「もっと話を続けさせてあげてよ。」と思うばかりでした。
お参り先ではテレビやネットで得た知識で話をする人がいます。
それはその方が学んだことなので非常に素晴らしいことなのですが、最近ではネット上に書かれていることがまるで間違いでない・真実であるかのように語る人がいます。
私が話をしても「ネットではこう言ってましたよ。」・「おかしいなあ~」と平然と答える人がいます。
目の前で話をしているお坊さんよりも自分で見たテレビやネットのことが絶対である人がいます。
正直ウィキペディア(Wikipedia)の内容も怪しいです。あれは誰でも編集できるフリー百科事典のことですから、編集者の意見がかなり含まれています。
(私の知っている人でもウィキペディアの内容がおかしいとその人なりに編集をしているページがあります。もう編集合戦ですよね)
ネットというのは誰かが書いたものを見ているだけで、その情報をみてこちらが判断していくのです。
ネットやテレビというのは仏教を知るためというよりかは手軽に仏教に触れる機会を得る・仏教に興味をもつために役立つのだと思います。
ではなぜお坊さんの私がブログをするのか。
テレビというのは受動的なメディアで、特に予定がない人でもとりあえずテレビをつけて流れてくる映像・音声を目にしていくでしょう。
内容に興味が無くても勝手に話が進んでいきます。
一方でインターネットというのは違いますね。
知りたい情報を検索することによって誰かが発信した内容を見ることができるのです。
(画面だけつけていれば勝手に情報が流れてくるのではありません)
いわば能動的なメディアと言えるでしょう。
私も調べ物をするときはインターネットを利用します。
しかしその時に問題なのが、同じような情報で溢れかえっていることです。(正しくない情報もです)
私は真宗のお坊さんなので、ことに浄土真宗の内容についてだとよく疑問に思うことばかりです。
仏教の事ですから、結構葬儀社や仏具店・怪しげな宗教サイトなどが情報発信しているのですが、知ったかの情報が多いように感じます。
日本の仏教には伝統的な宗派でも13宗あり派に分けると60派程度あるでしょう。
それぞれに歴史あり、教義あり、荘厳作法ありと違いがあるのに、それらを十把一絡げにまとめるのはおかしいと思いませんか。
特に浄土真宗は他の宗派からみれば異質に感じられる点も多々あるでしょう。
例えば、浄土真宗の葬儀では「葬儀式」という表現を用います。しかし葬儀社では「葬儀ならびに告別式」とアナウンスすることがあります。真宗的には告別式をする必要がないのですが、一つ覚えに告別式までしようとします。ネット上でも告別式をするようにかいているところばかりです。
浄土真宗について正しい情報を発信できるのは、その教えを学び実践しているお坊さんではないでしょうか。
もちろんお坊さんが発信している情報だからといってもそれが正しいとは限りません。しかしお坊さんでない人が発信している情報よりかはだいぶまともなこともあります。
私がなぜブログをしているのか。
知らないことは私も書けません。
しかし真宗のことについて知りたい人がいるときに、真宗のお坊さんが書いた内容を私は見てもらいたいのです。
正しい知識を身につけてほしい。が危険もある。
そうはいっても私は伝え方が下手なので、簡単に伝えられることでもわかりにくくダラダラと書いてしまいます。
ネットで得られる情報とは仏教的な言い方をすれば知識です。
知識というのは危ういもので、お坊さんがネットで発信すると急につまらなくなるのは、あまり知識だけを得てほしくないからですね。
というのも人が救われるのは知識ではないからです。
(もしも知識で救われるのなら、お坊さんや学者さんから救われるはずでしょう。違いますよね)
仏教でいう救いとは仏様の智慧にであうこと、それにはむしろ知識が邪魔をしてしまうこともあります。
仏教は実は難しいことを言っていないんですよ。でも人は煩悩があって欲があって理屈をこねようとするからお坊さんはああだこうだといろいろ表現を変えてその時々に頑張って伝えているのです。逆にそれがお坊さんによって言っていることが違うと問題になったりもします。
ネットやテレビで仏教の情報を得るのは素晴らしいことです。
私もかなりかんなり微力ですけども、宗教離れの激しい現代で少しでも誤りの少ない浄土真宗の教えに知ってもらい、またお坊さんがどのような考え方をしているのか、どのような生活を送っているのかに興味を持っていただくのが重要だと思っています。
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さいごに。まとめ。
ネット上には様々な情報があふれています。正しいことも誤ったことも含めて。
真宗僧侶の私がブログで情報発信しているのは、浄土真宗の情報を知りたいと思った人が少しでも間違いの少ない情報(知識)を得てほしいがためです。
一番いいのは、普段頼りにしているお坊さんやお寺さんに尋ねることなのですが、なかなか現代の状況ではそう気軽に頼れるお坊さんがいないというのもあります。
正直お坊さんがブログで情報発信するのは、ブログをはじめて8か月してからちょっと疑問に感じているところもあるのですが、とりあえずこの上のような思いがあってのことです。
お坊さんとブログは相性が悪い気がしてきました。