香川県円龍寺の僧侶かっけいです
私の祖父、先代住職の話によると「円龍寺(えんりゅうじ)という寺は、西日本に3か寺ある」と言ってました。
しかし私が独自に調べてみると、円龍寺は全国におよそ30か寺ほどあるようです。<かっけい調べ>
ここでは私が調べた範囲での、全国の円龍寺名称の寺を紹介します。
- 香川県円龍寺(真宗興正派)
- 福岡県円龍寺(浄土真宗本願寺派)
- 大分県円龍寺(浄土宗)
- 高知県円龍寺(浄土真宗本願寺派)
- 山口県円龍寺(浄土真宗本願寺派)
- 広島県円龍寺(浄土真宗本願寺派)
- 兵庫県円龍寺(浄土宗, 浄土真宗本願寺派)
- 大阪府円龍寺(浄土真宗本願寺派, 真宗大谷派)
- 京都府円龍寺(真宗大谷派)
- 愛知県円龍寺(真宗大谷派)
- 岐阜県円龍寺(真宗大谷派)
- 長野県円龍寺(曹洞宗)
- 石川県円龍寺(真宗大谷派)
- 富山県円龍寺(真宗大谷派)
- 東京都円龍寺(浄土真宗東本願寺派)
- 群馬県円龍寺(天台宗)
- 福島県円龍寺(天台宗)
- 山形県円龍寺(真宗大谷派)
- 宮城県円龍寺(曹洞宗)
- 北海道円龍寺(曹洞宗)
- 【感想】ホームページを作成している寺が少ない
- その他の「円龍」寺院
- さいごに
香川県円龍寺(真宗興正派)
香川県の円龍寺は自坊のみです。真宗興正派(本山興正寺)の円龍寺もここだけです。
詳しい内容は上のリンク先で紹介しているので、ここでは概要のみ書きます。
ちなみにこのブログ記事を書いている私は、円龍寺24代目です
福岡県円龍寺(浄土真宗本願寺派)
平尾で一番古いお寺らしく、すぐ隣に円龍寺幼稚園も運営しているようです
大分県円龍寺(浄土宗)
本堂の左側に観音堂と閻魔堂があり、閻魔堂には、閻魔と奪衣婆がまつられて「閻魔さんのお寺」として知られている
高知県円龍寺(浄土真宗本願寺派)
参考サイトによると、円龍寺にある芭蕉句碑は、元々は須崎にある大善寺(真言宗)にあったらしい
山口県円龍寺(浄土真宗本願寺派)
安養寺(曹洞宗)の厚母大仏(阿弥陀如来坐像:かつて国宝指定)の向かいにある寺
幕末期、俗論派の刺客らが井上馨を切りつけるために集合した寺として知られる
広島県円龍寺(浄土真宗本願寺派)
開基当時は時宗だったが、本願寺蓮如上人の時代に、浄土真宗に改宗したと伝えられる
個人の旅行記サイト「円龍寺-日本すきま漫遊記」で、境内の様子を写真付きで紹介しています
兵庫県円龍寺(浄土宗, 浄土真宗本願寺派)
朝来市円龍寺の「金銅菩薩立像」は、金銅仏としては但馬最古とされます
大阪府円龍寺(浄土真宗本願寺派, 真宗大谷派)
京都府円龍寺(真宗大谷派)
ご本尊は1638年に東本願寺の宣如上人より下附され、親鸞聖人御影は1675年に常如上人より免許せられたらしいです
愛知県円龍寺(真宗大谷派)
元は700年以上昔、天台宗善正寺だったとされる。親鸞聖人帰洛の途中で善正寺に立ち寄り、浄土真宗善照寺と改める。
1633年に現在の地に移転し、薬師如来の円い龍座にちなんで圓龍寺と称するようになった。
元は京都伏見に無住の圓龍寺があり、神野金之助が愛知県神野新田に移転した寺とされます
岐阜県円龍寺(真宗大谷派)
不破郡の圓龍寺山門左には、勤王志士の三上藤川誕生地碑がある
岐阜市の圓龍寺は大きなイチョウで有名な寺。イチョウは推定樹齢500年、樹高約30m、幹周り約5mにもなる
1891年の濃尾大震災による火災では、イチョウが水気を発し火を防いだといわれ「火伏せ銀杏」と呼ばれる
1960年に岐阜市指定天然記念物となる
長野県円龍寺(曹洞宗)
曹洞宗公式「円龍寺-曹洞禅ナビ」には長野市若槻東条に円龍寺があるとしているが、寺院跡も寺院情報もない。
長野市文化財データベースには円龍寺の名称が出てくる。以下、それを引用する。
本像は、若槻東条の旧円龍寺の本尊であった。同寺は旧北国街道からわずかに西に入ったところにあったが、もとは三登(みと)山のふもとの谷の奥にあった。曹洞宗(そうとうしゅう)に属していたが、古くは真言宗に属していたと考えられる。
木造大日如来坐像『長野市文化財データベース』
石川県円龍寺(真宗大谷派)
輪島市の円竜寺は「和光幼稚園」と「円竜寺こどもの家 あいこう園」の幼保連携型認定こども園をしているようだ
富山県円龍寺(真宗大谷派)
東京都円龍寺(浄土真宗東本願寺派)
浄土真宗東本願寺派(本山東本願寺)の円龍寺は東京都のここだけです。
誤解のないようにしたいのが、私たちが「西や東」と言っているのは、京都にある「本願寺(俗称:西本願寺)」と「真宗本廟(俗称:東本願寺)」で、本願寺を本山とするのが「浄土真宗本願寺派」、真宗本廟を本山とするのが「真宗大谷派」。
群馬県円龍寺(天台宗)
福島県円龍寺(天台宗)
山形県円龍寺(真宗大谷派)
この円龍寺には七不思議があるそうです。
その一つが石垣の「お神楽石」で、その昔なんど引っ込めても、元のように出てくる石だったそうです。
宮城県円龍寺(曹洞宗)
日本国内の宗教法人を表す「or.jp」ドメインで公式サイトを作っており、サイトのデザインからもカチッとした寺院だと伝わります
北海道円龍寺(曹洞宗)
【感想】ホームページを作成している寺が少ない
全国の円龍寺情報をインターネット上で収集しました。
香川県丸亀の「円龍寺サイト」を作っている身としては、ホームページを作成している寺が少ないのは残念でした
やっぱり、寺自身が独自にホームページ(ウェブサイト)をつくらないと、その寺を知りたい人に十分な情報が伝わらないと感じました。
その他の「円龍」寺院
寺号が「円龍寺」の寺は29か寺ありました。
調べているうちに、寺号以外の「円龍」寺院もあったので、合わせて紹介します。
比叡山延暦寺円竜院(天台宗)
天台宗の総本山である比叡山延暦寺には多くの院があります。その中の一つが「円竜院」のようです
宗照山圓龍院(日蓮宗)
日蓮聖人が作ったと伝わる大黒福寿尊天や身延七面山分体七面大明神が勧請の寺。
浄海山圓龍院観音寺(天台宗)
- 前田利家ゆかりの寺として知られ、1576年に前田利家により本堂が再建
- 1536年に再建された多宝塔は、名古屋市最古の建物で国の重要文化財
- 本尊の聖観音は秘仏で、33年に一度開扉されるらしい
円龍山 向福寺(時宗)
一向俊聖(1239~1287)は鎌倉時代に一向宗をひらいた僧侶
一向宗は江戸時代に幕府により一遍(1239-1289)が開いた時宗に統合され、現在は時宗の遊行寺末寺となる
龍円寺(真言宗智山派)
開山開基はよく分かっていないが、歌人の寂蓮(藤原定長)がこの地に千手観世音像を安置したことがはじまりとされる
龍円の苗字について
2021年の東京都議会選挙で、龍円愛理さんが当選しました。龍円姓って初めて知りました
龍円(りゅうえん)の苗字について調べてみました
龍円愛理さんの父で政治学者の龍円恵喜二さんは、長崎県出身なので、日本姓氏語源辞典の説明通りなら、竜円城や地名「リュウエン」が由来なんでしょう
廃寺円龍寺(小泉次太夫一族の墓)
東京都大田区には、廃寺となった円龍寺(日蓮宗)があったらしい
徳川家康の家臣で多摩川の用水奉行であった、小泉次太夫の一族の墓のみが残っている(小泉次太夫夫妻の墓は神奈川県川崎市妙遠寺にある)
参考サイト「観乗寺-猫の足あと」によると、同じく東京大田区に観乗寺(日蓮宗)があり、元禄年間(1688~1703)に廃寺となった円龍寺から日蓮像をうつしたとされる。しかしこの像は1945年の空襲で焼失した。
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さいごに
想像よりも円龍寺という寺が多いことに驚いた。が、インターネット上での情報の少なさにも驚いた。広げて「円龍」という名称の寺院も調べると、数は多くなかったが歴史のある寺が多く、情報はそこそこ見つけやすかった。
今回のまとめはすべてインターネット上で調べただけであり、ご本尊や開基年といった基本的な情報も不明な寺も多い。独自の公式サイトを持つ円龍寺も少なく、参考したサイトからでは情報の不正確さもあるのではと、気になっています。
もし各円龍寺の誤った情報にお気づきであれば、訂正の連絡をしていただければ助かります。独自の公式サイトを作成された時にもご連絡あればうれしいです。リンクいたします。⇒「お問い合わせページ」
これを機に円龍寺同士のご縁が深まれればなあと思っています
さいごに、いただいた質問に返信して、まとめを終えます。
同名の寺は、何の関係もありませんよ。
神社だと八幡・稲荷・春日・天満といった同名の場合、総本宮や・総本社の分社という分かれで、同じ神様をまつる神社だという可能性もあります。
でも寺の場合は、同じ漢字・同じ名称であってもお互いは何の関係もありません。
本家分家親戚でも、同じ宗派でも、同じ仏様・神様をまつっているとか関係ないです。
今回調べた「円龍寺」でも浄土系のお寺が多かったですが、曹洞宗や天台宗もありました。仏様も阿弥陀如来や薬師如来とか違ってましたね。
もちろん「国分寺」や「国分尼寺」といった例外もありますよ。これは関係のある同一名称の寺です。
国分寺や国分尼寺は、741年に聖武天皇が全国の国府そばに建てるよに発願した寺。