扇風機と夏のお坊さん:有難くもあり困ることもある風

僧侶のかっけいです。

梅雨の終わる7月上旬から気温がどんどん上昇しています。外で働かれている人はこの暑さの中、大変な苦労をされていると思います。一方でお坊さんはどうでしょうか。

『お寺は涼しいですよね。お坊さんは涼しそうな恰好をしていますよね。』と言われますが、全然そんなことはありません。夏でも衣の下にはたくさん重ね着をしていますので、お勤めの間は滝のように汗が流れています。

私は汗っかきの方なので、お参りに行きますと、エアコンで部屋を涼めていたり、さらには扇風機をかけて心地の良い風を送ってくれる家もあります。(もちろん中には仏間を閉め切っておりサウナ状態のままお勤めすることもありますが)

さてエアコンや扇風機は夏のお坊さんにとって非常に有難い道具なのですが、一方でお坊さんを悩ますものでもあります。そのことを書いていきます。

仏間に置かれている扇風機。お坊さんにとっては有難いが厄介でもある

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風が吹くと仏壇や読経に支障がでることも

扇風機の冷風は非常に有難いです。もしも無ければお坊さんは汗をぬぐいならお勤めをしなければなりません。

でも困ることも2つあります。

  1. ロウソクの火がなびき、蝋が垂れること。
  2. お経本がパラパラとめくれてしまうこと。

扇風機の風が強ければロウソクはつかない。それは当たり前のことですよね。でも微妙に弱い風も意外に困るんですよ。

自然の風であればロウソクがなびいていてもそんなに問題ありません。なぜなら色んな方向から風が吹いているから。でも扇風機の風は一方向から流れてきますので、ロウソクの火が常に偏ってしまい、蝋がどんどん垂れてしまいます。

仏壇にロウソクを2本お飾りすることがありますよね。でも扇風機をつけると、片方は蝋が垂れて短くなり、片方はほとんど蝋が減っていない経験はあるのではないでしょうか。

法事の時のような20分30分と長く続けてお勤めする時は、蝋燭が途中で無くなり火が消えるので、お勤めの途中でロウソクの交換をお願いすることになります。

これが1つ目の問題です。

2つ目はお経本が勝手にめくれてしまうことです。

お坊さんがお勤めする正面には経机(きょうづくえ)がありますね。これは名前の通り、読経時に経典をおくために使います。

扇風機の風でめくれてしまうんだったらお経本を持てばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、だとしたら経机がいらないことになります。経机はお経本を置くための机ですので置くんです。

またお坊さんが使っているお経本は蛇腹折りと呼ばれる折り方をしています。これはお経本の読みたいページだけを開いたままにできる利点があります。

読経するお坊さんには、鈴や鉢や音木や太鼓などの音を鳴らすこともあり、どうしてもお経本を押さえっぱなしにできないこともあります。そんな時に扇風機の風が吹いてきてページをパラパラパラと繰ってしまうと、さあ大変なことになります。

ですから扇風機の有難い風は、夏のお坊さんを苦しめる敵にもなりうるのです。

扇風機をどのように使えばよいのか

扇風機の風は非常に有難いです。ですので私がこんな愚痴を言っていても、できれば用意してほしいです。

一昔前は家の人が後ろから団扇で扇いでくださっていたそうです。扇風機ほどの迫力ある風ではありませんが、一方でそよそよと流れる風、そして不規則な風、そして愛ある風が何よりも有難かったそうです。

といっても今の時代にお坊さんに対して手で扇いでくれとは言えないですし、こちらも恐縮してしまいます。

代わりに扇風機もそよそよと不規則な風にしてくれれば助かります。

扇風機を弱風に設定し、さらに首振り状態にすること。こうすれば蝋燭の火は一方向からの風を受けずに蝋の減り方がだいぶ安定します。風の向きも経机よりやや高め(お坊さんの胸や首回り)を狙ってくれれば、お経本もよほど強烈な風が吹かなければなんとか持ちこたえたりします。

扇風機の風をお仏壇やお坊さんに直接当て続けない

また扇風機を設置する位置をお坊さんの斜め前からして下さる方法もあります。

おそらく多くの家では扇風機をお坊さんの真後ろからかけてくださっていると思います。お経本には風が当たらない一方で、お仏壇にお飾りしたロウソクに直に風が当たり、消えてしまったり蝋がどんどん垂れてしまいます。

またお坊さんの真横に用意してくださる家もあります。

これはロウソクの火に風が当たりにくくなった一方で、蛇腹折りの経本がもろに風を受けるのでバラバラバラとめくれてしまいます。

そこでお坊さんの斜め前から設置していただけると助かります。ちょっと位置を変えるだけのことです。


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さいごに。扇風機があると非常に助かる

今回はお坊さんを悩ませる扇風機の風について書きました。でもですね、扇風機が邪魔というわけではないんですよ。

むしろ扇風機があると非常に助かります。ただあまりにも強い風はお経本がめくれてしまったり、お仏壇のロウソクが消えたり垂れたりしますので、昔の人が後ろから軽くうちわであおいでくれましたように、空気を循環させるようにかるく風を送ってくだされば有難いです。

扇風機の風が直接当たらなくても、部屋の空気が流れるだけで、お勤めする環境がすごく変わります。

お坊さんが暑さに負けて汗を流していれば、読経中でも遠慮せずに冷たい飲み物を出して下さればなお有難いです。

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