僧侶のかっけいです。
お寺にはソテツ(蘇鉄)が植えられていることが多いです。自坊のお寺にもあります。5月になると気温も上昇し、ソテツも生長を始め新芽を伸ばします。
私は4月の中頃にソテツの実を収穫し、その種をまきました。
今回は「ソテツの収穫と種まきを方法」を、写真多めで紹介します。
収穫はそれほど難しくありませんが、種まき方法にはコツがあります。
ソテツの実はいつ頃に収穫するのか
ソテツの雄花と雌花は、梅雨終わりの6月7月ごろから開花し始めます。
ソテツの花について『7月になってソテツの雌花と雄花が出てきた』でも紹介しました。
上の写真の雌花はこれからさらに膨張し、授粉後、内部で実を充実させていきます。
10月には雌花がかなり肥大しています。この中をめくってみますと、写真の様に淡いピンク色の実が見えます。
このタイミングでソテツの実は充実していますので、11月以降いつでも収穫することができます。
私は春4月ごろに収穫します。
これらの理由があるので、私は4月に収穫します。
ソテツの実の収穫方法
12月以降になると、ソテツはいつでも収穫可能になります。ソテツの雌花も締まりが弱くなっているのか、簡単に内部の実の様子を見ることができます。
しかし先ほど説明しましたように、この寒い時期に収穫してもどうすることもできないので、私は春になってから収穫します。
- 収穫は4月・5月になってからすること。
- 軍手をして、手を守ること。
4月20日にはソテツの雌花はしっかりと開いており、内部の実がはっきりと見えます。
収穫方法は簡単で、軍手をはめて手を防護した状態で、手で引きちぎるように引っ張って収穫します。春になっており、抵抗する力も弱く簡単に収穫できます。
ちなみに私は軍手を2重履きしますが、3重履きの方が良いかもしれません。
ソテツの実がついている雌花は、ソテツの葉と同じようには先が尖っているので、手に刺さると非常に痛いです。
また実の中央内部には、これからの5月6月に成長してくる生長点が伸びてきており、この先が剣山以上に痛いので手を守っていないと危険です。
収穫後はソテツの生長点周りを綺麗に整える
私が6月ではなく、4月5月に実を収穫するのは、梅雨の時期よりも前に収穫したいからです。
ソテツの雌花の中は、非常に密集しているのでカビやすいです。長雨が予想される梅雨までにはソテツの実を収穫し、生長点を周りを綺麗にするのが良いと思います。
また実の収穫に合わせて、ソテツの木全体も軽めの剪定をして、夏ごろの剪定が簡単になるようにします。
ソテツの剪定方法は、『ソテツを6月梅雨入り前に剪定』で紹介しました。
ソテツの実の収穫方法は以上です。軽めの剪定はしなくてもOKです。夏前にはどっちみちするからね。
ソテツの種まき方法。時間と慣れが必要
ソテツの種まきの手順を先にまとめます。
手間がかかるのは、2・3の手順です。
私が使用する道具は次です。
- 水を張る容器
- 果肉を取り除くためのスプーンとたわし
- 殻を割るペンチ
- 種まき用のトレイと用土「鹿沼土と赤玉土」
種まきを完了するまでにかかる時間は、2日ほど必要です。
1日目は果肉を大雑把に取り除く
今回は大きめの容器を用意しましたが、果肉全体が水に浸かることができる容器の大きさであれば大丈夫です。
この水に沈めた状態で、半日程度放置し、果肉を柔らかくします。
果肉を取り除くのは慣れないと大変です。
スプーンで果肉を取りのぞくのには、いくつかメリットがあります。
果肉は大雑把に取り除くのでOKです。この段階で、綺麗にしようと思わない方が気が楽です。
果肉を大雑把に取り除いた種をもう一度水に沈めて、1日目の作業は終了です。
2日目に種を割ってから種まきをする
2日目は、たわしで果肉を綺麗に取り除くことからはじまります。
1日目に果肉を大雑把に取り除いており、給水した残りの果肉は非常に柔らくなっています。
たわしで残った果肉を軽くこすって取り除き、ヌルヌルを無くすようなイメージでゴシゴシしてください。これも神経質にならずに、30秒程度でOKです。果肉が残らずカビが生える状況でなければOK。
果肉を取り除けば、続けて種の殻を割る作業です。
これが大変です。いろいろ割る方法がありますが、ペンチがおすすめです。
ハンマーやドリルで殻全体を割る方法もありますが、殻の内部を傷つけずに、殻をすべてを割るのは非常に大変です。殻が硬くとてもじゃないですが、作業が進みません。
また殻をすべて割ってしまうと、どちらから発芽するのかが分かりにくくなるため、種まきの時に不便な思いをします。
これは殻をすべて割るのではなく、発芽する時に根が出てくるソテツのお尻側(縫合線がある側)を軽く割ってあげることで、給水や発芽が楽になるように手助けする方法となります。
イメージとしては、カボチャやメロンといったウリ科の発芽促進のために、発芽口をペンチで軽く割ってあげるのと同じ感じです。
ペンチの持ち方は私なりのちょっと独特な持ち方になっています。これはペンチに徐々に力をかけていくためです。
やっぱり怖いのは種の中が潰れてしまうことですが、意外と丈夫なのでペンチで殻を割るぐらいでは問題ありません。でも無駄な圧力はかけたくないので、お尻の発芽口を割る時は少しずつ力をこめていきます。
きれいに割れた時にはパキッと言う音が響きます。砕くというよりも軽く割るという感覚です。
写真では分かりにくいかもしれませんが、ソテツのお尻側(縫合線側)に綺麗な横筋の割れ目ができています。
これで給水も発芽もしやすくなります。ここでもう半日から1日程度給水させてもOKです。
発芽口の縫合線側を軽く割りましたら、種まきがようやくできます。
種まきの容器と用土は自由ですが、私は育苗トレイと、鹿沼土と赤玉土を混ぜた用土を使います。
容器はポリポットでも鉢でもプランターでもなんでもいいです。
発芽したソテツの根は初めに真っすぐと下に向かっていくので、深めの容器の方が良いとは思いますが、そうなると土の量が多く必要となります。
土は安い土(例えば10リットル100円未満の土)でなければ何でもいいです。安い土は一ヶ月もすればカビや苔が生え、不衛生なので失敗しやすいです。発芽に時間がかかるソテツの場合は無菌の土を使うのが無難です。
種まき方法は横に寝かせる(土に埋め込む)のが一般的かもしれません。
私の場合は用土に対して、斜め方向に差し込みながら縫合線側を埋めていきます。
正直どちらの方法でも良いと思うのですが、斜めにする方が埋め込みやすいですし、斜めにすることで種同士の間隔を詰めることができます。発芽した時にすぐに用土に根を下ろすことができるのもいい点だと思います。
種まき後はたっぷり水やりします。
これで種まきは終わりで、後は発芽するまでの数か月間じっくりと待ち、定期的に水をやりましょう。
発芽には気温が20度以上は必要と言われていますので、4月下旬の種まきは時期的にやや早い気もします。しかし収穫が遅くなると、ソテツの果肉はだんだんと乾燥してきて果肉を取り除くのが大変になっていきます。だから私は春に収穫するとさっさと種まきします。
ソテツの実は収穫しなくても大丈夫だが、見た目が悪くなるよ
収穫しなかったソテツの実(種)は、そのままソテツの木に残り続けます。落ちてくる実もありますが、なかなか落ちてこずに新芽が吹きまた雌花が咲いたりと、徐々に見た目が悪くなっていきます。
収穫するのが遅くなったソテツの実は見た目が茶黒くなり、身も固く引き締まります。
この状態から種まきをするのは果肉を取り除くのが難しくなるので、種まきをするのであれば、早めの収穫をお勧めします。
いずれにしても、ソテツの種は発芽するのに時間がかかるので、種まき後は気長に待つ必要があります。もちろん定期的な水やりも忘れないように。
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ソテツの発芽にはどれくらい時間がかかるのか
ソテツの発芽について質問がありました。
ソテツの発芽は気長に待つ必要があります。
調子が良ければ3ヶ月ほどで発芽します。調子が悪ければ来年の春以降に発芽するでしょう。
調子が良ければ3か月目には、ペンチで割った縫合線側から緑色の舌のような根が出てきます。根が出ても、水やり以外することはありません。
根が底に当たる(ある程度伸びる)と、新芽が展開します。上の写真がその写真です。
上手くいっているように見えますが、半分ほどは来年の春以降に発芽するでしょう。面倒な処理を2日間もしたのに、発芽率が悪いとがっかりするかもしれませんが、下処理をしないと発芽までおそろしく時間がかかってしまいますよ。
発芽しないけども、どれくらい待たなければいけないの?