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コロナウイルスで仏教行事も対策を迫られる

かっけい
かっけい

香川の僧侶のかっけいです。

2020年は年明けまもなく新型コロナウイルスが中国日本に流行し、3月にもなると世界中で感染者が拡大しています。

日本では2月26日に安倍総理が会見で「この1・2週間が感染拡大防止に極めて重要である」として全国的なスポーツ、文化イベント等について、今後2週間は中止、延期、規模縮小等の対応を要請し、さらに2月27日に全国の小学校・中学校・高校の一斉休校を要請をしました。

会見から2週間を過ぎた3月半ばの現在、いまだに国内のコロナウイルスの終息は終わりが見えません。

お寺の法要だけでなく、葬儀や法事といった仏教行事全般も対応を迫られます。

僧侶の立場から、コロナウイルスで葬儀や法事がどう変化したのか、お寺での法要・イベントはどう対応しているのかを書きます。

まとめ
  • 仏教行事は高齢者が集まりやすい
  • 葬儀・法事では遠方からも人が集まる
  • 3月中の法要・イベントを中止・延期を決めた寺が多い
  • 葬儀が自粛されているようには感じにくい
  • 中止になった法事はほとんどない
  • 法事よりも葬儀の方が感染しやすい環境に思う
お知らせ。自坊の春法要

自坊円龍寺は毎年4月4日に春永代経法要をしていますが、3月の彼岸過ぎに総代の承認を得て、5月5日に法要を延期(縮小)の予定をしています。

4月21日の追加情報

本記事は、2020年4月21日現在の情報をもとに、一部文章を加筆修正しました。

安倍総理大臣は7都府県に対して、4月7日から5月6日までの緊急事態宣言を発令しました。4月16日には、47すべての都道府県に対して緊急事態宣言を拡大しました。

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イベントの中止は結婚式や卒業式にも及ぶ

政府の小学校・中学校・高校の一斉休校要請は思い切った対応でした。見切り発車な面もあり批判もあるでしょうが、子どもの集まりやすいところ、集団感染をしやすいところといった場所でもあり、感染予防にはある程度の効果はあるでしょう。

しかし事態は子供の行動抑制にとどまらず、人生の節目である卒業式、入試入社試験、結婚式にまで及んでいます。

「休校措置により自粛ムードが高まった」とは言いすぎかもしれませんが、人が集まるイベント・行事がことごとく中止・延期・縮小となっています。

イベント開催の自粛要請はさらに延長

2月26日に、この2週間のイベントの中止、延期、規模縮小の自粛要請がありました。

それを受け、東京ディズニーランドや大阪USJは3月15日までの休園を決めました。香川県内でも、レオマワールド(3月13日まで)やさぬきこどもの国(3月16日まで)の休園となりました。

しかしコロナウイルスの感染はおさまらず3月10日、 安倍総理は「今後概ね10日間程度はこれまでの取組(イベントの中止、延期、規模縮小等の対応要請)を継続」としました。参考リンク『イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ(厚生労働省)』

東京ディズニーランドは4月上旬、大阪USJは3月23日以降に再開と、さらにイベント自粛の延長となりました。

東京ディズニーランド/東京ディズニーシーの臨時休園は延期され、再開時期は5月中旬に判断。大阪USJも同様の休園を決めた。

人が集まりやすい所だから自粛は仕方ないと言いながらも、春3月4月は仏教行事が多く、人が集まるのは寺も同じはず。特に葬儀・法事は日取りを変えにくいイベントでもあり自粛しにくい。

各寺院や、葬儀、法事はどう対応していったのだろうか。

寺院法要・葬儀・法事はどう対応していた?

寺院法要・葬儀・法事の特徴
  • 高齢者が集まりやすい
  • 葬儀や法事だと、県外からや若い世代も多い
  • 建物内は閉めきっているケースが多い
  • 葬儀社や寺院や家庭ごとの、ウイルスへの対応や意識の程度が全く違う
  • 儀式中に咳をする人がいても、そのまま続けている
飛沫によるコロナウイルス感染

仏教行事は高齢者が集まりやすいイベントです。感染対策の不十分な施設もあります。

ウイルスが流行しはじめた2月には高齢者の感染・重症化が話題となり、3月のイベント自粛では法要を中止した寺院も多かったです

中止延期のお知らせが間に合わない寺では予定通り法要をしましたが、通常の半分以下の参列者でした。

観光地にある寺は、法要の中止を早々に決めたところが多かったです

葬儀社がかかわる葬儀を見ると、イベントの自粛が要請されても、通常通りの葬儀のままに感じました。

葬儀こそ老若男女県外県内問わず、不特定多数の人が参加する行事なので、目に見える対応をするべきなのでしょうが、多くの葬儀ではいつも通りのままでした。咳をする人がいても、対応をしない葬儀社がほとんどに見えました。

少人数葬儀でも広いホールを使用、入り口にはアルコール消毒液、咳する人にはマスクの配布や場所の移動など、対応はいくらでもできそうですが、していない葬儀者が多い印象です。

もっとも私の見てきた狭い範囲での感想ですが。

法事は縮小を決めた施主が多かったです。(中止・延期はほとんどなかった)

どんな風に縮小したかと言えば、法事は予定通りに行い、案内も各地の親戚にするのですが、県外からバスや鉄道など公共交通機関を利用する人は、参加を遠慮してもらうこと。また法要開始前の軽食や法要後の会席は取りやめたこと。

身内だらけの法事は、窓や扉を気がねなく開けっぱなしにできるので、風通しのよい法事だったことも多かったです。咳している人がいたら、別室に行ったり、マスクを渡されたりもしていましたね。

マスクをしている割合も、葬儀よりも法事の方がずっと多い印象

法事は自粛ムードというよりも、コロナウイルスへの対応を柔軟にできて、葬儀や寺院法要よりも感染しにくい環境になっているように感じます。中止になった法事はほとんどないですが、葬儀や寺院法要よりも私は安心できます。

葬儀・通夜はもっとしっかり対応しないと危険

通夜・葬儀が感染のリスクが高い、対応が不十分な葬儀業者が多いと、私は感じます。

例えば次のような感染予防をするべきではないだろうか。

  • 小規模の葬儀(家族葬)でも、ホールに空きがあるなら、小規模の葬儀費用で広い会場を使う
  • アルコール消毒をただ設置するだけでなく、出入りする人に対して必ずアルコール消毒するように手に吹きかける
  • 席に余裕があるなら、せめて肩が触れない程度に間隔を空けて座ってもらう
  • 焼香をするときは距離をつめない。焼香に時間がかかる場合は、呼び出し焼香にせず、葬儀が開始するとすぐに焼香を順次する
  • 咳をする人がいればマスクを支給するなり、席を移動してもらい、人との距離をとってもらう
  • 数珠(念珠)の貸し出しをしている葬儀社が多いが、数珠の消毒も必ずする

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私の寺の法要はどう対応していく予定か

春の法要の可否はいつ決める

上の厚生労働省のリンク先『イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ』に、「3月19日を目途に、これまでの対策の効果について判断が示される予定」とあります。

自坊の円龍寺は例年4月4日に、春の永代経法要をつとめています。

3月に涅槃会や彼岸会をする寺と比べれば遅い仏教イベントですが、それでも3月半ばには門信徒に法要のご案内をしています。

中止・延期・縮小にしろ早めに決断したいのですが、政府が3月19日に今後あらたな判断を示す予定とのことなので、お彼岸を過ぎて、法要の可否を決めようと考えています。

O157やノロウイルスでも似たような経験

今回は新型コロナウイルスが未知のウイルスということもあり、異様な自粛ムードとなっているように感じます。

ですがO157やノロウイルスでも、法要の自粛を経験した寺は多いのではないでしょうか。

O157やノロウイルスは食中毒で、コロナウイルスのようなかぜ症状・呼吸困難とは違いますが、それでも自粛がありました。

例えば浄土真宗では12月頃の報恩講法要ではお斎(食事)を提供します。食中毒が流行した時は、法要の自粛はなかったですが、お斎を取りやめた寺は多かったはず。

通常の法要でもお寺によっては、軽い飲食を提供することがありますし、法事や葬儀でも会席をしますよね。

コロナウイルスが僧侶にとって初めての自粛ということではなく、今までも似たような経験をしてきています。慌てず、予防できることを考え、今回のコロナウイルスでも法要をできるのかを検討することが大事でしょう。

コロナウイルスの予防

コロナ対策にマスクと除菌

コロナウイルスが感染しやすい状況が3つあるようです

クラスター(集団感染)の3条件
  • 換気の悪い空気の停滞した密閉空間
  • 人が密集した状態
  • 近距離での会話や発声

参考『「新型コロナウイルス感染症対策の見解」2020年3月9日(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議)』

現在は、三密(密閉・密集・密接)という標語に代わり、「外出時に避けるべき場所」を呼びかける指針となっています。

この3つを防ぐことができれば、お寺での法要もできるはずです。

また大阪府をはじめとした全国各地の自治体の中には、クラスター3条件の感染予防を徹底することによって、学校の再開を決めたところもあります。

適切にコロナウイルス予防に対応することで、お寺の法要や葬儀や法事といった仏教行事も問題なく行えると私は考えます。

厚生労働省によると、コロナウイルスは飛沫と接触により感染します。空気感染ではありません。

感染予防には、手洗い・咳エチケット(マスク)・3密を避ける・日々の健康(運動・食生活)を挙げています。

参考リンク『新型コロナウイルス感染症への対応について(高齢者の皆さまへ)』

法要を延期し縮小することを検討

2月末のイベント自粛要請の時には、法要の中止を決めた寺も多くありました。

中止・延期の案内が間に合わず、予定通りに法要を開催した寺では、通常の半分以下のお参りだったところもあります。それは当然のことで、感染の拡大を考えれば仕方のないことでした。

私の寺の法要は4月4日ということもあり、政府の「今後おおむね10日間程度はこれまでの取組(イベントの中止、延期、規模縮小等の対応要請)を継続(3月10日発表)」の期間を過ぎているので、例年通りの法要を案内することもできます。

しかし3月半ばの現状をみると、まだまだ感染の流行をおさまっていません。おそらくお参りを予定している門信徒の方々も不安なことでしょう。ですので今年の法要は1か月遅い5月開催を考えています。おそらく国内の流行も多少はおさまっているでしょう。

また先ほどのクラスター3条件を踏まえて、今年の春の法要は次のように検討しています。

円龍寺春の法要の対応(予定)
  • 4月から5月に法要を延期
  • 2時間の法要(読経・法話)を1時間に短縮
  • 本堂の扉を開けっ放し、換気をよくする(5月は暖かくなるでしょう)
  • お堂の出入り口に、アルコール消毒液を用意する
  • 参拝者にはマスク着用のお願い
  • 80脚ほど並べていた椅子を減らし、椅子の間隔を広めにとる
  • 出勤する僧侶を15名ほどから、5名ほどに抑える

法話は本山布教使の予定でしたが、今回は住職が行う予定です。

せっかく本山布教使が来ていただける時には、時間たっぷりと法話してほしいですからね。

寺院法要の可否は、今後の政府の会見などを踏まえて変更される可能性があります。直近では3月14日夕の安倍総理の会見や、3月19日の専門家会議を注視します。

お彼岸に総代の了承を得て、政府のクラスター3条件にならないよう配慮し、5月5日に延期し、法要時間を30分に椅子席は2メートルほど間隔をとる予定。

コロナウイルスは2メートル以内の会話を避ける

政府のクラスター対策班のメンバー、北海道大学の西浦博教授は、4月15日に記者説明会を開きました。その中で、リスクの高まる接触の定義を挙げました。

  • 人と人が2・3回会話のやりとりをする
  • ボディタッチする
  • 一つのものを共有する

特に会話に関しては、「2m以内の距離で、30分以上にわたり時間を共有して会話をすること」と具体例を挙げています。

これを受けて当円龍寺の法要は、椅子の間隔を2メートル以上開け、法要時間も午後2時から2時30分までの30分間を考えています。

【4月21日追記】

国立感染症研究所は4月20日に、コロナウイルスの濃厚接触者の定義を変更しました。

新しい定義

コロナウイルスに感染した人と、マスクなどの必要な感染予防策なしで、1メートルの距離で15分以上の接触

手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者

(周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断する。)

積極的疫学調査実施要領』国立感染症研究所より

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