Podcast: Play in new window | Download
Subscribe: Apple Podcasts | Spotify | Amazon Music | Youtube Music
第274回目のラジオ配信。「お寺の落ち葉や剪定枝の処分方法」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいるお坊さん、私かっけいの音声配信です。
今回は、お寺での落ち葉と剪定枝の処分についてのお話です。
お寺にはたくさんの樹木がありますよね。松の木だったり、イチョウ、ソテツ、モミジ、桜、樫、アジサイなどなど、本当にいろんな植物があります。
それらは一年の色んな時期に葉を落としますし、剪定して枝葉を落として形を整えることもします。
お寺で出てくる落ち葉・枝葉の量は膨大なんですよね。草抜きでの草もかなりの量です。
お坊さんの私はそれらの処分にけっこう頭を悩ませます。
なぜかと言うと、ここ数年、外でものを燃やしにくくなっているからです。
20年ほど前に、野焼きは一部例外を除いてダメですよという法律ができて、外で焼きにくくなりました。
もちろん、5つある例外の一つ、風俗慣習上、宗教上の行事を行うために必要な焼却事情によって、お寺でものを焼くことができないわけではないですが、そうは言っても、なかなか焼くに焼けないわけです。
特にこの前あった事件、岩手県大船渡市の山火事は、火が消えるまでおよそ10日、最大で4000人もの人が避難した事件がまだ記憶に新しいですよね。
その後も、このひと月の間に、長野県・山梨県・宮崎県などで山火事が発生したことがニュースで報じられています。
数日前には、私のいる香川県のお隣の愛媛県・岡山県でも山火事がありました。
これらすべてが野焼きが原因なのかは分かりませんが、なかなか外でものを焼くというのは難しいものがあります。
ちなみに余談を言いますと、最近どうも頻繁に山火事が多いように思われるかもしれませんが、それは気のせいです。
日本では一年間におよそ1300件の山火事が発生しています。毎年1300件です。また山火事の多くは冬場に起こります。
なので、この寒く乾燥した風が吹く時期は、一日あたり平均5件以上の山火事が日本のどこかで起きているわけです。
最近は山火事のニュースが取りあげられていることが多いからか、目立って山火事が増えているように感じますが、例年とあまり変わらないでしょう。
さて話しはもどって、お寺ではたくさんの落ち葉・剪定枝が発生します。
これらの処分方法に悩まされています。
袋に入れてゴミに出せばいいじゃないのと思われるかもしれませんが、そう簡単な話じゃないです。
量がメチャクチャ多いんです。
これはご門徒さんのお庭でのお話なんですが、そのご門徒さんも庭木がたくさんあります。
毎年、畑で剪定した枝葉を焼いていたとのことなんですが、引っ越してきた人や新しくできた団地の人から苦情が絶えなかったそうです。
それで今回は燃えるゴミにして捨てたそうです。
自治体指定のゴミ袋に入るように小さく切って、一年かけて少しずつ出したそうです。それでどれだけのゴミ袋を必要としたか数えたところ、399袋を出したそうです。あと一袋で400袋とのことでした。
お寺の場合は、もっとたくさんの枝葉があるので、もっとたくさんのゴミ袋がいるでしょうね。
とてもじゃないですが、小さく切って、袋に詰めていくなんてできません。
2トン車ダンプ車で持って行ってもらうにしても、かなりの金銭負担になります。
そんなわけで、お寺で落ち葉・剪定枝の処分になかなか苦労しているわけです。
それで私の場合、ここ最近、落ち葉・剪定枝で堆肥作り・腐葉土づくりをしています。
私の寺、円龍寺では何十年も、生ごみコンポストで堆肥作りをしています。生ごみを捨てたことはないです。
それをお寺の落ち葉・剪定枝でも同じように堆肥化してみようかなあと思い立ったわけです。ゴミにせず、再利用できないかと目論んでいます
生ごみと、落ち葉・剪定枝の堆肥化は違いますが、似ています。それに私のこれまでの経験で、落ち葉・剪定枝の堆肥化はできているので、これからすこしずつ規模を増やしていこうと思っています。
落ち葉堆肥・腐葉土づくりにコンポスト枠はなくても作ることはできるのですが、私の場合は、新しく用意しました。枠があった方が作りやすいからです。
とりあえず850リットルのコンポスト枠を2つ買いました。
850リットルと聞くと結構な大きさと思われるかもしれませんが、お寺の場合、庭木3本の剪定枝落ち葉を入れるとあっという間にいっぱいになります。
まだまだ数は足りませんが、様子を見つつ毎年少しずつ増やしていこうかなあと思っています。
ちなみに2か月前に仕込んで、昨日、二回目のかき混ぜをしました。発酵熱も出て、黒っぽく変色して良い感じです。
私は堆肥作りの経験があるのでわかりますが、今のところ問題なく堆肥作りができています。
焼きづらい世の中ですが、どうしてもお寺の場合、大量の落ち葉・枝葉が落ちてきます。
焼かざるを得ない場合もあります。
私の寺では、お寺の法要の前で、雨の日、また風のない日湿った日、洗濯物が干されていない窓が閉められているタイミングを狙って、焼くようにしています。
ご近所さんはご理解ある人ばかりなんですが、なかなかそうではない人たちもいたりするわけです。
焼いても苦情が出ない日を狙って焼くようにしています。
ご近所さんは、消防にいつからいつまでどこで何を焼くかを伝えて焼く人もいます。そんな風に外で焼く側も考えながら焼いているわけですが、まあそれでも通報があったりと大変なわけです。
消防さんも大変だと思います。焼く届出をもらっていても、焼いていたら焼いているのをやめさせてと通報が来るんですから。
今回のお話で伝えたかったのは、私のお寺では、落ち葉や剪定枝を堆肥・腐葉土に変えるように心がけていること、それとなるべく焼くのを控えて、焼くにしても苦情の出ないタイミングを狙って焼いていることを話しました。
ちなみにお寺に生えている木は、松やイチョウや常緑の植物が多く、堆肥・腐葉土づくりには向いていない植物ばかりです。それでも時間はかかりますが、堆肥・腐葉土はできます。
できたらブログの方に写真付きで紹介しますね。
今回のことで話したいことが他にもたくさんあったんですが、時間が長くなってきたので終わりにしますね。
また別の機会に、テーマを変えて話します。



お寺の枝葉の処分方法で同じような悩みに対して回答をしているウェブサイトを紹介します。
- 枝葉のリサイクル~燃やせぬ落ち葉の行方~(日本造園組合連合会より)
「落ち葉を燃やしたときに出るダイオキシンはごくごく微量で、軽い落ち葉焚きくらいなら、市町村によっては許される」という前置きをした上で、腐葉土化やチップ化やマルチング材としてなど、「緑のリサイクル」をしようと言っています。