僧侶のかっけいです。自坊円龍寺の山門前には一対2基の石灯籠があります。
この灯籠には「石檠」という漢字が正面に刻まれています。見慣れない言葉か、「文字が読めない。どのような意味があるのか」と、質問されることがあります。
「檠」の意味・読み方などを紹介します。
石檠とはどんな石の灯籠なのか
檠は「敬」と「木」の文字で構成されています。
意味は「ともしびたて」です。具体的には「灯火をたてるための台」のことです。
読み方は音読みで「ケイ」、訓読みで「ともしび・ともしびたて」です。
石檠(せっけい)とは石で作られた灯火の台のことであり、石灯籠とほぼ同じ意味です。
ただ檠は地面から伸びた台の部分に付けられた灯籠のことですので、提灯(ちょうちん)や吊り灯籠のように壁や天井から灯された明かりとは別物です。
檠が使われている熟語も紹介します。
- 短檠(たんけい):主に室内で使われる背の低い灯台
- 竹檠(ちくけい):竹でできた短檠
- 書檠(しょけい):読み書きするための灯り立て
- 灯檠(とうけい):灯火の油皿をのせる台。燭台
- 檠灯(けいとう):灯火。ともしび
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お寺や神社の灯籠には施主がいる
自坊に隣接するお寺(西教寺)の灯籠にも変わった文字が彫られています。
たてまつるの「奉」と、登とその下に火が書かれています。おそらく「燈」の異体字だと思います。
私の住んでいる丸亀・善通寺・多度津には、これとそっくりの文字の灯籠をいくらか見ることができます。(異体字はやっかいな漢字ですね。過去帳を見ても明和の元号を明咊と書いていることもあって混乱します)
奉燈(ほうとう)とは仏前・神前に灯明を供えることです。 献灯や供灯と同じような意味です。施主がいてお寺や神社に灯籠を寄進しているのです。
自坊の石檠も同じです。ご門徒の一人の寄進によって、今から230年ほど昔の寛政元年秋7月上旬にお供えして下さりました。現在では火を灯すことをありませんが、仏様への清浄なお供えとして仏教寺院の象徴として、施主の思いがこもった灯籠がこれからも供えられつづけることでしょう。