僧侶のかっけいです。
お坊さんが仏様にお参りする時の衣のことを「法衣(ほうえ)」といいます。
和服といえば和服ともいえそうですが、法衣の場合は化学繊維(略して化繊)ではなく、正絹(しょうけん)を使われることもよくあります。
それはお坊さんが贅沢をするためではないですよ。法衣を着ることが仏前に参る時の正装だからです。
とうぜん良い素材や金糸(きんし)などを使った金襴(きんらん)は非常に高価ですが、お坊さんのお参り時の服装ですので多少高くても買わなければなりません。
今回は久しぶりに法衣と袈裟を購入しました。その日記です。
お坊さんの衣は消耗品
お坊さんの衣(服装)は非常に高価です。
素材によってまったく値段が違いますが、どの法衣店もだいたい次の感じかな。
- 袴だと5万円程度
- 色衣だと5万円程度
- 五条袈裟だと5万~10万円程度
- 七条袈裟だと50万~200万円ぐらいかな
こんな風にきくと『お坊さんの着る服って高いんだあ。贅沢してに。』と思っちゃうでしょう。
でもお坊さんの衣にはトレンド(流行)というのが基本無いので、夏用と冬用の2シーズンの衣があれば、後は何十年も使い続けることができるんですね。
そのように考えると意外とコストパフォーマンスの良い買い物と言えるかもしれませんね。
しかしお坊さんの衣もまた消耗品です。
糸がほつれたり、金糸が乱れたり、裏地が破れたりと徐々に傷みが目立つようになりご仏前に襟を正してお参りするのには相応しくない見た目になってしまいます。
そうなるとまた新しく衣を買いなおさなければなりません。
法衣の買い替えは滅多なこと
お坊さんの衣は高価です。そうそう気軽にポンポンと買うことはできません。
それこそ買うときには一生ものの気持ちですので、住職継職法要や落慶法要の時に総代や門信徒からの布施として新調することもあります。
お坊さんはお寺に負担をかけないためにもなるべく丁寧に法衣を保管し、お勤めの時に着用します。
しかしそれでも糸を紡いだ服ですので、徐々に傷みが発生します。
20年も着続けたら御の字とも言われます。30年も着続けられたらえらい頑張ったなあと感心されます。
昔の人は裁縫できるのが当たり前だったので、傷みが生じると少しずつ自分たちで直していたのでもっと長く着ることもできたのでしょうが、今では20年が買い替えの目安でしょうか。もちろんお寺によって違いますが。
私の場合は祖父や祖母の法衣のお下がりだったので、今まで自分専用に買ったことはありませんでした。
さすがにこれからも着るのは傷みがひどく厳しいところだったので、修繕と新調をかねて京都から金襴屋を呼びました。
私にとっては初めての法衣の買い物になりました。住職にとってもかなり久しぶりのことだったようです。
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新しい法衣が届くとやっぱり気持ちが高揚するね
今回の買い物は修繕がメインでした。
新調は高い買い物になるので、なるべく傷んだところを専門の職人に直してもらってもう一回長く使えるように依頼しました。
それと同時に私専用の衣と袈裟を買いました。
さっきも言った通り私の来ていた法衣はどれもお下がりなので、私の背丈には合ってなかったんですね。
法衣はやや長いため切袴の紋が綺麗に見えていなかったですし、五条袈裟も折り目部分が裂けていました。ですのでどちらも購入しました。
すぐには仕立てることができないのでまずは袈裟が届きました。法衣はまだ完成してません。
やっぱり新しい袈裟は色味も鮮やかに見えますし、今まで着たこともない色合いですので新鮮な気持ちになりますね。
年末にかけて報恩講法要がありますので、その時にはこの衣がしょっちゅう着られていることでしょう。