真宗僧侶のかっけいです。
夏の暑い時期になりますと、お墓やお仏壇にお供えした生花はすぐに萎れて枯れてしまいますよね。
それは一般の人だけでなく、毎日のようにお飾りをしているお坊さんも同じ悩みです。
長持ちする花として知られる菊でも寒い冬は20日は綺麗なままですが、気温35度を超える夏では3日もあれば萎れ、一週間で枯れてしまいますね。
さて私も困っている中、先日とある仏壇屋さんが「これ(エコゼリー)を使ってみてはどうですか」と勧めてくださいました。
今回の話は実際にエコゼリーを使ってみて花が長持ちしたかの報告ではなくて、『仏花が腐る理由や、仏花を長持ちさせる方法について思うこと』を書いていきます。
お仏壇やお墓の花が長持ちしない理由
- 切り花であるから
- 夏は気温が高いため
- 根からの栄養の補給が無くなるから
- カビや細菌が発生するから
- 栄養や水の吸い上げが難しくなるから
一言で理由を説明すると『栄養や水の吸い上げが難しくなり』枯れるということです。
お仏壇やお墓の花は「生花・切り花」をお飾りします。そのため今まで根という部分から栄養や水を吸い上げていたのに、それができなくなったため植物は成長から老化へと変わっていきます。
また気温が高いと葉からの水分の蒸散が激しくなるだけでなく植物も栄養を多く必要とします。しかし同時に気温が高いと、水や切り口などに細菌やバクテリアが繁殖しやすくなってしまいます。
水が腐って「ドロドロ・くさい」としばしば言うでしょう。
腐敗臭によって人が不快に思うだけでなく、切り花にとっては死活問題で、栄養や水を流す通導組織を詰まらせてしまうので水に浸けていても水や栄養を補給できなくなっているのです。
花が枯れるというのは、切り口から水や栄養を吸えなくなるのが主の原因。そしてそれに影響してくるのが、細菌やバクテリアの繁殖です。
長持ちさせるには切り花の延命剤が効果的なのだろうか?
私は今までHYPONeX・ハイポネックスの『水あげ名人』切花鮮度保持剤を利用していました。(企業の商品紹介ページへのリンク)
これの特徴は次の5点です。
- 水に薄めるタイプ(希釈する)
- 植物の栄養分である糖類が含まれる
- 汚れや微生物を抑える抗菌剤が含まれる
- 水の吸い上げを助ける界面活性剤
- 花器を選ばない←(私にとってすごく重要)
切り花延命剤は各社いろいろ揃えていますが、どの商品にも栄養剤(糖類)の他に、抗菌剤や殺菌剤・界面活性剤さらにはエチレンの発生を阻害する成分など、花の老化を抑え生き生きとした状態で長く保つための成分が共通して入っています。
多くの切り花延命剤は粉末タイプと液体タイプに分類されます。そのため500ミリリットルや1リットルのような少量でも薄めることによって倍以上の量で使えます。(要はお得ということです)
そして数ある切り花の延命剤のなかで私がハイポネックスの「水あげ名人」を使っているのかというと、花器を選ばないのが一番の理由だからです。
私はお坊さんなので、たくさん花器をもっています。
切り花延命剤の中に金属を腐食させてしまうタイプがあると聞いたことがあります(例えば成分に銀を含んでいる)。しかし成分を見ても記入されておらず、お寺の大きな花器を傷めないのかは使用するまでは不明という商品がたくさんあります。
しかしハイポネックスの水揚げ名人は『ステンレスや錫、銅、真鍮などの花器を腐食させることがありませんので、フラワーアレンジメントや生け花、仏花や榊にも安心して使えます。』とはっきりと説明されていますので、安心して使うことができています。だから私はこれを今使っているのです。
ゼリータイプの「エコゼリー」は魅力的。しかし不安もある
今回とある仏壇店(高松市の日和堂)から「エコゼリー」という花の長持ち剤を勧められました。ご丁寧に自社の実験結果や使い方の説明まで添えてくれました。(エコゼリーという商品は香川県丸亀市中津町にある伏見製薬所の製品です)
ゼリータイプの花持ち剤というのは珍しいのですが、これにはメリットがあります。
- ゼリーの中に必要な成分が凝縮されている
- 水を必要としない
- 茎に数センチ浸かれば大丈夫
- あと片付けも非常に簡単
粉末タイプや液体タイプは水に薄めるので容量以上に使用できるので、お得感があります。一方で毎回計量する必要がありますし、水が腐りにくいといっても最終的には腐ってしまいます。
一方でこのゼリータイプでは水を必要としません。ですので水が腐り、植物の導管が詰まることがありません。そのため花が腐る一番の理由を回避できるのです。
またゼリータイプは薄める必要もなくそのまま使えるので非常に簡単に使えますし、水替えも不要ですし花器の転倒も心配いりません。切り口の所が数センチ浸かればいいので、一度に使用する量も非常に少ないです。そのため商品の見た目以上に回数多く使えますし、花器に水を入れないので重たくもなりません。(軽いので持ち運びが楽です)
今回勧められた『エコゼリー』というゼリーの成分は99%の水分と抗菌剤や栄養剤が入っています。主成分は食品原料となっているようです(ただし食べてはダメ)。
詳しくはエコゼリー株式会社より見てください。お花長持ち Eco Jelly【エコゼリー】
さて非常に魅力的にうつるエコゼリーですが、手放しでは喜べないところがあります。
それは「どんな花器(花瓶)でも問題なく使うことができるのか」ということです。
そのことについては会社ホームページにて触れられていないですし、勧めてくださった仏壇屋さんも不十分な説明でした。
正直なことを言いますと、どの会社の切り花長持ち剤も同じようなもんです。成分に大差はないのでそんなに効能に差は無いように感じます。となると何が重要かというと「扱いやすさ」と「花器への影響」です。
残念なことにこのエコゼリーはその「花器への影響」について説明されていません。これでは私は安心して使うことができません。
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さいごに。一番簡単な花の長持ち方法は水の入れ替え
切り花である仏花を長持ちさせる方法として、花の延命剤について紹介しました。
多くは粉末タイプや液体タイプがありますが、中にはゼリータイプというのもあります。ゼリータイプというのは実際に使用してみますと、良いとこずくめで非常におすすめです。特に底が小さい花器・花瓶の形状の時には使用量も少なく非常におすすめです。
しかしこのような商品を購入しなくても、水一リットルに対して砂糖を3%程度(ひとさじぐらい)加えてあげると植物への栄養を補えます。私はしませんが、中性洗剤などを3滴くらい加えて抗菌剤の役目をプラスする人もいます。
さらにもっと簡単な方法は毎日水を入れ替えてあげることです。
繰り返しになりますが、仏花(切り花)が萎れ枯れる一番の理由は、水が腐り植物の導管が詰まり、水や栄養を吸い上げられなくなることです。
ですので水を毎日・毎朝毎夕いれかえることによってだいぶ日持ちができます。暑い夏のお墓でも水を入れ替えることによって、一日で萎れるところを二日に伸ばすこともできます。
毎日の水替えは単純なようで有効な対策です。花の延命剤を使用しない場合はお勧めできる方法です。
さいごに。活けた花を長持ちさせたいのはお坊さんも同じです。今回はお仏壇屋よりお勧めの花の延命剤エコゼリーを教えてくれました。
ですので今後、私が使っていたハイポネックスの水揚げ名人とエコゼリーを比較してみて、使うことによってどれくらい花の日持ちが良くなったのかと、花器が傷まなかったのかの報告をしたいと思います。