かっけいです。
練炭(れんたん)と聞くと、練炭自殺や一酸化炭素中毒と悪いイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし元もと家庭用では、長時間の調理用の熱源や暖房器具として広く使われていました。
今では効率の良い石油やガスに取って代わられ、ほとんど見られなくなっていることでしょう。
でも中には私のように冬の室内の暖房器具として使っている人もいます。
練炭で室内の暖をとる方法について書いていきます。
なお次のような人には練炭を勧められません。
- 気密性の高い部屋で使う人
- 定期的な空気の入れ替えのできない人
- 時々、火の様子を確認できない人
- 火が完全に消えるまで待てない人
ひとつでも当てはまれば、練炭を暖房器具として使わない方がいいですよ。いずれ火事や中毒といった事故になりますから。
練炭火鉢とは
練炭火鉢とは、練炭コンロを中に納め、室内で練炭を使うための火鉢のことです。
練炭火鉢と練炭コンロはセットで使われます。七輪(しちりん)ではないですよ。
中に灰を満たし五徳や火箸を道具として使う陶器の丸火鉢や木製の箱火鉢とは別物です。そちらの火鉢は木炭(もしくは豆炭)を使うのが一般的です。
練炭の使い方。着火から消火・処分まで
練炭には着火する面が決められています。それは購入した時の袋に書かれているはずです。
練炭の着火には2種類あり、マッチの火で楽につけられる方法と、ガスコンロの火でつけられるものがあります。
マッチ練炭と着火練炭の火起こし
着火剤が塗られている練炭は、マッチ練炭の名称で売られており、火のついたマッチや燃料を着火面に置くだけで練炭に火をつけることができます。
練炭コンロの中にあらかじめ練炭を入れておき、マッチを置くだけです。
一方で着火練炭と呼ばれる練炭はガスコンロでつけます。そのためには火熾し器(火起こし器)が必要です。
この火熾し器の中に練炭を入れてガスコンロで着火します。このときは着火面を必ず下にしてください。
中火で1分~2分ほど火にかけます。その間、パチパチと火花が飛ぶこともあるので、コンロ周りは整然としておくこと。
火にかけた後、火熾しごと屋外に持って行き、練炭コンロの中に入れます。
かならず練炭の着火面を上にして練炭コンロの中に入れてください。必ずです。理由は上手く燃焼せずに一酸化炭素が大量発生しやすくなるからです。
着火面を上にするのが難しい場合は、軍手や火ばさみ・火箸を使ってください。やけどの無いように。
火をつけた後は練炭コンロの通風口(空気窓)を全開にし、マッチ練炭も着火練炭のどちらも30分~1時間ほど屋外に置いておきます。
着火直後は煤や臭いがよく発生するからです。30分ほどすれば上部全体に火が回り燃焼が安定します。そして屋内に持ち込み練炭火鉢の中にコンロごと納めます。取っても熱くなっているので軍手があると良い。
マッチ練炭と着火練炭の違い
マッチ練炭 | 着火練炭 |
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練炭火鉢の使い方
私の場合は練炭コンロの通風口を常に全開状態で使います。
練炭火鉢の火力と燃焼時間は、火鉢の通風口を開閉することで調整できるからです。
ポイントは練炭コンロの通風口と練炭火鉢の通風口の位置を揃えることです。こうすることで空気の流れを調整しやすくなります。
練炭コンロを練炭火鉢に入れた後は、それぞれにカバーを設置します。これが無いとヤカンや鍋を火にかけることができません。
カバーを設置しヤカンをかけると後はわりと気楽なものです。ただ注意する点がいくつかあります。
一酸化炭素中毒や火事にならないための注意点
- 定期的な換気をすること
- 睡眠時は火鉢の窓をかるく閉め、一酸化炭素の発生を抑える
- ヤカンや鍋をかけて練炭の上部を塞ぐ
- 不安ならば一酸化炭素警報器を用意する
練炭コンロは屋外で使うものです。
練炭火鉢はそれを室内でも使えるようにした道具です。
練炭は燃焼すると熱だけでなく一酸化炭素も発生します。一酸化炭素は無色無臭です。そのため一酸化炭素の充満具合は分かりません。
定期的な部屋の換気必須です。
メーカーは一時間につき2・3回の換気を勧めています。密閉性のよいマンション新築の家ならば、それくらい換気したほうが良いでしょう。
一方で襖が綺麗に閉まらず柱もゆがみ、下からも横からも隙間風の多い昔の家であれば、それほど神経質にならなくても大丈夫です。万全を期すなら1時間に1回は換気をします。部屋の気密の程度によりますが、しっかり換気すれば4・5時間は部屋の出入り口を閉めていても大丈夫です。
しかし睡眠中や部屋を離れる時はもしもが怖いものです。その場合は練炭火鉢の通風口の窓を完全に閉じます。練炭の燃焼を最小に抑えることで一酸化炭素の発生量を抑えます。
換気の程度は部屋の広さ・気密性によります。無色無臭で気が付きにくい一酸化炭素中毒ですが、初期症状では吐き気やめまいを感じるそうです。気分が悪い・苦しいと思ったらまずは換気をして下さい。
もしも一酸化炭素中毒の心配があるならば、一酸化炭素警報器を用意してください。大人よりも子供・幼児の方が一酸化炭素中毒の症状が出やすいとも言われていますので、小さなお子さんのいる家庭では用意したほうが無難かもしれません。家庭用であれば1000円~3000円で手に入るので、換気の加減が分からない練炭使い始めのころは持っていてもよいでしょう。
練炭からの炎は火鉢よりも飛び出ることがあります。
燃えやすい服を着ていると引火の危険があります。また物が落ちてきて火事の原因になるかもしれません。
なるべく練炭火鉢にヤカンや鍋をかけておいた方が火事のリスクが減ります。でも空焚きにならないようには気を付けてください。練炭をただつけている間は乾燥がちになるので、ヤカンの蒸気を出してください。湿度60%ほどになります。
練炭の処分方法
練炭は草木灰ではありません。
練炭には石炭や石灰などから微量の重金属が含まれており、畑の肥料としては使えません。庭や畑にまくのは避けた方が無難です。
ゴミとして捨てるのが最も良いのですが、分別の仕方は自治体によって違います。
一例ですが、香川県高松市では2袋以下の少量ならば可燃ごみ、3袋以上は粗大ごみとなっています。
判断のつかない場合は、お住いの自治体の環境課やクリーン課といった担当課に尋ねてください。(自治体によって不燃ごみのこともあります)
あと使い終わった練炭は完全に火が消えていることを確認してください。少しでも熱を感じるのであれば、それは発火の可能性がまだ十分あります。完全に消えてから半日は最低でもたってから捨ててください。
練炭火鉢の燃焼時間や温度
練炭の燃焼時間は、火鉢の通気窓の開閉具合によって変わります。
大きく開ければ火力が強くなる代りに早く燃え尽きます。閉じれば火力は弱まり、燃焼時間も長持ちします。
私が使っている練炭の場合、燃焼時間は6時間~12時間です。
空気の流れを最大にすれば火が火鉢から大きく飛び出るほど強くなりますが、6時間ほどで燃え尽きます。
一方で通気窓を1センチメートル未満のわずかに開いた状態にした場合は、12時間はしっかり燃えています。その後も3時間ほどはついています(熱を出し続けています)が、お湯を沸かせるほどの火力はありません。
メーカーや燃焼環境によって燃焼時間は大きく変わるでしょうから、6~12時間は一つの目安と捉えてください。
なお練炭は途中で消すことはできません。使いきりです。緊急消火するならば水をかけることですが、その練炭はもう利用できません。
燃焼温度も状況によって変化します。
しかし常に結構な火力が出ていることは分かります。
なぜなら練炭火鉢の通風口の窓をかなり閉じた状態でも、ヤカンの水が沸くからです。水の量、練炭着火からの時間など条件は変わるでしょうが、一時間もあればお湯ができます。
参考として燃料販売事業をしているこの会社のウェブページ『レンタン使用上の注意点』では、「燃焼中のレンタンの最高温度は、1000℃以上になります。」と説明されています。
暖房用ストーブにはいまいち。コスパはまあまあ
練炭火鉢は室内で練炭を使う道具です。練炭を燃料とし、暖房用ストーブや調理用ストーブとして利用されます。
調理用としては長時間の燃焼から煮物料理や湯沸かしに便利なのですが、一方で暖をとるには石油ストーブと比べるとちょっと物足りなさを感じます。
何度も換気する必要があり、外部から寒気がたびたび入ります。
また手をあぶったりするにはよく練炭周りを温めることはできるのですが、熱を部屋全体にためるのは苦手です。
石油ストーブの場合、20℃以上にも部屋を暖めることができるのですが、練炭火鉢の場合は室温12℃・13℃が精いっぱいでしょうか。もちろん部屋の大きさにもよるでしょうが。
私の使っている環境では「外気温+5℃」が部屋の暖かさになりがちです。
石油ストーブと比べると暖房用に利用するのは物足りないですが、かと言って寒い・役に立たないわけではありません。外気温より暖かければ室温が10℃以上にならなくても意外と暖かく感じます。
比べてしまうと練炭火鉢は物足りなく感じますが、寒い部屋を快適に過ごすのには役立ちます。
コスパはまあまあです。石油ストーブよりも効率が良いとはいえません。
私の場合で比較してみます。
近くのホームセンターの練炭の値段は14個入りで約2500円です。
練炭火鉢一日(一回当たり)のコストは約180円です。一週間で1300円ほどの出費です。
一方で灯油の値段は1リットル90円ほどです。
3.5リットルの石油ストーブを一日2時間ほどつけると、一週間で給油する状況です。出費は300円ほどです。
上記の比較だけだと、石油ストーブの方が出費が抑えられると思います。練炭の方が4倍コストがかかります。
ただ一日の燃焼時間が5倍も6倍も違います。練炭の方がずっとずと長いです。でも室温の最高温度は石油ストーブの方が勝ります。すぐに部屋が暖まるののも石油ストーブです。
要はどっこいどっこいです。
外気温より5度ほど暖かくならない代わりに、半日ほど暖が取れるのが練炭。一日のコストも定額。
石油ストーブは、部屋がすぐに暖まり室温も高くなるが、練炭ほどの時間を燃焼するとコストがかさむ。
部屋を長時間暖め、調理用にも利用するなら練炭ストーブが便利。練炭火鉢のそばに長くいる人ならコスパよい。部屋をすぐに暖められ、使用頻度・時間が少なければ石油ストーブの方がコスパがいい。
要はどっこいどっこいで、コスパの良し悪しは使う人の利用方法に左右されます。
(ちなみに私の場合は、夕方6時から朝方6時くらいまで練炭を利用しています。つける時間が中途半端になれば練炭をつけずに、石油ストーブを短く使います)
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さいごに。購入費用などの説明
以上で練炭火鉢と練炭コンロを室内の暖房に使うことの説明を終えます。
正しく使えば一酸化炭素の事故は起きないのですが、気密性の高い部屋では一酸化炭素中毒死の危険もあるので使わない方がいいでしょう。
練炭ストーブは石油ストーブと比べてコスパが悪いとは言えないのですが、練炭火鉢の購入費用はちょっとします。
- 練炭火鉢:2万~3万円ほど
- 練炭コンロ:3000円~5000円ほど
- 練炭(燃料):14個で2500~3000円ほど
- 火熾し器:1000円ほど
- 火箸:2000円ほど
- 一酸化炭素警報器:2000円ほど
道具をそろえるだけで3万~4万ほどかかります。なお通販でなくてもホームセンターでも購入できます。練炭にも大きさ(号数)があるので、練炭コンロの大きさに合わせてください(4号サイズが標準)。
練炭火鉢はそこそこ重たいですし、練炭もまとめて購入すると10キログラム以上の重さがあります。女性やお年寄りには厳しいかもしれません。
練炭火鉢と練炭の購入と移動は、力持ちの人にお願いしましょう。
また練炭火鉢・練炭コンロは陶器ですので、床に置くときは静かにおいてください。ドンと強い衝撃を与えるとヒビが入り割れやすくなります。丁寧に使えば壊れることはそうそうありません。