円龍寺の涅槃桜（ミョウショウジザクラ）が開花。3月初めの香りの善い桜

こんばんは。　　僧侶のかっけいです。

３月も１０日が過ぎて日増しに暖かくなってきています。

この３月初旬にテレビなどでよく取り上げられているサクラは河津桜（カワヅザクラ）と呼ばれているサクラで、２月から咲き始め、ソメイヨシノよりも濃い紅色になる見栄えの良い桜ですね。

今回紹介するのは、通称「涅槃桜（ネハンザクラ）」、正式名称は「明正寺桜（ミョウショウジザクラ）」と呼ばれるサクラです。

あまり聞きなじみのない桜かもしれませんが、私はこの桜をえらい気に入っていまして、自坊の円龍寺にも植えています。

目次 - Contents

明正寺桜（ミョウショウジザクラ）とは

カンザクラとシナミザクラの雑種と考えられている桜です。

カンザクラとは２月から咲き始める早咲きの桜で、シナミザクラとは園芸店で売られている暖地桜桃の仲間で３月上旬から開花し、花も２～３センチ程度の小ぶりな花です。この２つの桜の特徴を受け継いだのがこのミョウショウジザクラです。

よくニュースで桜の開花予想が発表されるソメイヨシノと比べて１か月近く早く開花します。

その開花時期がお釈迦様の亡くなられた日（涅槃）の旧暦３月１５日（新暦２月１５日）のころだということで、別名としてとネハンザクラと呼ばれています。

ミョウショウジの名前の由来は発見されたところが、愛媛県新居浜市黒島にある新四国曼荼羅霊場第２９番札所の龍宝山明正寺（真言宗善通寺派）だったからです。

発見者は植物学者で当時愛媛県文化財保護委員だった八木繁一という人物で１９６５年（昭和４０年）に発見し、ツバキカンザクラに近い品種とされています。

ただツバキカンザクラは花は濃い紅色ですし香りはないので、ミョウショウジザクラとは全く違うのでしょうね。

これは２０１７年の３月１１日に撮影した円龍寺のミョウショウジザクラです。

３月８日には１０輪ほど咲いていましたので、今年の開花日はおそらく３月８日でしょう。

円龍寺は香川県の丸亀市にあるお寺ですが、旧暦の３月１５日より少し早めの３月８日から３月１２日頃に毎年開花を迎えます。

この花の特徴は何んといっても可憐で小ぶりな白い花。
そして非常に独特な甘い香りのする芳醇な花。
旧暦３月１５日の涅槃会のころに満開になる桜の木、とお寺にあると非常にありがたい桜です。

この写真は３月４日の円龍寺のミョウショウジザクラです。

わずか４日間の暖かさでこの蕾が白く香りの素晴らしい花を咲かせてくれます。

いまから１週間かけて少しずつ他の蕾も開花していき、３月１５日は樹全体が甘い香りに包まれます。

明正寺桜（ミョウショウジザクラ）は開花の時期がお涅槃に重なっていたり、香りがすばらしいのですが、あまり有名な桜ではないのかもしれません。苗木も見かけないですしね。

有名なミョウショウジザクラが植えられているお寺には、香川県善通寺市にある真言宗善通寺派の総本山「屏風浦五岳山誕生院善通寺」の涅槃桜が有名です。

毎年この３月１０日あたりになると善通寺（お大師さん）の涅槃桜が開花したことがニュースになります。

今年も３月９日に咲き始めたそうだ。

善通寺の涅槃桜は、１９７３（昭和４８）年の弘法大師生誕１２００年祭を記念して明正寺から贈られて、境内に約２０本が植えられているらしい。

広告 - Sponsored Links

私もこの桜の存在は実はつい４・５年ほど前まで知りませんでした。

住職がとある法事のお参りの参列者にＮＨＫの建物か何かで園芸か環境について講師をしている方から苗木を頂いたそうです。

私もうろ覚えなのですが、たしか五所野尾さんという方だったかな。

お坊さんというのはありがたいもので、法事の席ではいろいろな人生経験をされてきた人と出会えるご縁があるため、このような非常にありがたい桜を頂くことができました。

現在私は一本だけ挿し木をしており、今年で８号鉢に鉢増ししました。

将来はこのミョウショウジザクラの桜並木ができるのを夢見て。

ちなみにですが、このミョウショウジザクラはお涅槃のころに開花や見ごろを迎えるため、涅槃桜と呼ばれていますが、これは発見場所の愛媛県やそこに近い香川県で当てはまることです。

国立研究開発法人の「森林総合研究所多摩森林科学園」が発信している情報によると、東京都心の桜の開花時期とは開花時期が異なっています。

明正寺桜の都心の平均開花日が都心では３月１３日、平均満開日が３月２５日と、こちら香川県よりも少し遅めの時期だとわかります。

都心にお住まいの方はこの森林総合研究所多摩森林科学園のサクラ保存林開花情報を参考にして花見をされてはどうでしょうか。

さまざまな桜の品種の現在の開花状況が、この春の時期は順次更新され続けています。