こんばんは。 僧侶のかっけいです。
今回は麹(こうじ)を使っての甘酒の作り方を紹介します。
ちょうど先日、自坊のお寺で除夜会・除夜の鐘のイベントがあり、お参りの人に振舞うために用意したところです。
作り方を紹介した後で、寺の行事に甘酒を用意した理由についても紹介します。
甘酒は麹からでも簡単に作れる。
甘酒作りで一番厄介なのは、温度管理です。
なぜなら生米に付着した麹菌が生産してくれたアミラーゼという酵素が一番働く温度を確かめないといけないからです。(甘酒は麹菌で作るのではなく、麹菌が作ったアミラーゼが重要)
ですので温度を知るために温度計を用意しておきましょう。
作るために用意するもの。
- 麹(こうじ):今回は香川県で有名の「津久茂こうじ」一袋(約500グラム)
- 米1.5合
- お湯2600CC:温度が大切
- 料理用温度計と保温用炊飯ジャー
麹に砂糖は不要です。
津久茂麹で甘酒を作る手順。
上の写真で示した津久茂麹の袋裏には、津久茂こうじを使った発酵食品の作り方が各種(白みそや塩こうじ、からし漬けなど)説明されています。
で甘酒の説明には3通りの作り方が書かれています。(簡単な作り方・お粥から・本格的にご飯から)
今回はご飯から作ったので、ご飯の作り方を写します。
- 米一合(1カップ)の軟らかい御飯をたく。(米の代わりにもち米を使うと一層美味しい)
- 御飯が熱い内に、もみほぐしたこうじ一袋を入れ、すばやく混ぜ(100回)4時間保温する。
- 湯2600CCを60度位(指を5秒入れられる程度)に冷やした後2.と混ぜ(150回位)3時間保温する。
- その後火にかけ、沸騰前に火を消す。すぐ冷やし冷蔵庫で保存する。(一日~二日後頃が飲み頃)
*酸味が出てきた甘酒は再度沸かしなおして下さい。
『津久茂こうじ』袋裏より
ご飯から甘酒を作っている様子。
1.最初にご飯を炊いておきます。水分量を多めにして軟らかくなるように焚きあげます。
2.私はその間、炊飯ジャーを温めておきました。
(古いタイプの炊飯ジャーなので、保温性能が十分にできるか不安だったので、事前に温めておきました。)
3.ご飯が炊きあがる前に温めておいた炊飯ジャーの内なべを取り出して、内なべの中で麹(津久茂こうじ)を細かくほぐしました。
4.そこに炊いたばかりのご飯を1.7合くらいを入れて、しゃもじを使って満遍なくしっかりと100回以上混ぜました。(ご飯1合と書いてあるが、2号近くでも問題なくできたから)
5.ここからきっちり4時間保温します。
4時間保温させるとどういうわけか水分が出てきてべちゃべちゃした見た目になります。
5.このタイミングで60度に温度調節しておいたお湯2600CC程度を注ぎます。
60度のお湯を注いだ後は、お玉杓子でしっかりと150回以上満遍なくかき混ぜます。
6.かき混ぜた後は、引き続き保温ジャーで3時間保温します。
上の写真は3時間保温後の様子です。
色が黄色くなっていますがこれは全く問題ありません。白いお米と麹が下に沈み、黄色い上澄み液が目立っているだけです。
この時点で甘酒は完成しています(当然飲めます)が、最後に沸騰近くまで加熱してアミラーゼの発酵を止めなくてはなりません。
7.炊飯ジャーから鍋に移し、沸騰直前まで加熱し、沸騰前で火を止めます。
後はすぐに冷やし、冷蔵庫で保存しましょう。
この最終加熱の意味は酵素アミラーゼを死滅させるためです。
甘酒は麹菌・コウジカビ(発酵菌)で作るのではありません。生米に付着した麹菌が生成するアミラーゼという酵素によってお米のデンプンが糖分に分解して作られるのです。
- 麹菌(発酵菌)の死滅温度は約50~65℃。
- アミラーゼ(酵素)の活性温度は約50~60℃。
最後に沸騰直前まで加熱しておかないと、酵素がいつまでも生きており、完成した甘酒が酸っぱくなりやすくなります。また甘酒作成途中で混入した他の菌を殺す意味もあります。
麹の甘酒はお寺のイベントに最適かも。
今回大晦日の夜に振舞う飲み物に甘酒を用意しました。
理由は甘酒という飲み物がお寺のイベントにふさわしいと考えたからです。
お寺のイベントにはお年寄りや子供たちをはじめ、様々な年齢の人がお参りに来ます。当然車を運転してこられる人もいます。
酒粕で作る甘酒と、麹で作る甘酒には大きな違いがあります。
それは麹の甘酒にはアルコール成分が含まれていないことです。
お寺という建物は寒い施設です。
お堂の中も暖房器具の効きが悪い。除夜の鐘を撞いているときもとにかく寒い。
温かい甘酒は冷めにくいですし、冷めても甘く非常に美味しい飲み物です。
お茶やコーヒーなどのお接待もありますが、「冷めてもおいしい飲み物・子供から大人まで飲める飲み物・妊婦、運転者、お酒が飲めない人でも体を温められる飲み物」を満たしてくれるのみのが麹甘酒だと思います。
あと、お寺での甘酒って何んとなしに趣きを感じない?
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さいごに。甘酒は体にいいからいつでも飲みたいね。
甘酒は冬の飲み物というイメージを持っている人もいるでしょうが、俳句では夏の季語であるように夏の飲み物です。
実際甘酒作りでは保温しないといけないので、保温ジャーがない時代は冬より夏の方が作りやすかったでしょう。
お米から作られる甘酒は栄養価が高く胃腸にも優しいことが知られ、栄養ドリンクや飲み点滴として親しまれているようです。
アルコールが含まれておらず、砂糖も使わずカロリーの低い飲み物。それでいて抗酸化物質も含まれている栄養価の高い飲み物。それが麹の甘酒です。
今回大晦日の夜のお寺のイベント。除夜の鐘・除夜会に備えて麹の甘酒をしっかりと用意したのですが、ほとんどお参りに来なかったので、たくさん余りました。
甘酒は作ってから2日ごろが最も甘さ・おいしさが感じられるようです。
それ以降は酸っぱくなる可能性があるので、もったいなさそうに遠慮せずにガンガン飲むべきでしょうね。ちなみに酸味が出てきた甘酒は加熱していけば長持ちします。