こんばんは。 かっけいです。
先日スイレン・蓮の苗と用土を買いに行ったのですが、どこにも田土や荒木田土が売られていませんでした。
田土や荒木田土が無い場合は、黒土や赤土(赤玉土)で代用できるとされているのですが、用土をあれこれ考えているうちに私はバケツ稲について思い出しました。
バケツ稲は小学校の時にしただけですが、たしかスイレンや蓮と同じように根が長時間水中に沈められていたことを思い出しました。
ひょっとするとスイレンや蓮はバケツ稲と共通点があるのではないかと調べてみました。
バケツ稲に使われる用土の構成。
ここ数日図書館に行く機会が無かったので今回はインターネットで調べました。
「バケツ稲 土の割合」で検索すると私の見た限りではたったの2パターンしか見つかりませんでした。
- 一番は田土(たつち)、もしくは荒木田土。
- 手に入らなければ、黒土6割・赤玉土3割・鹿沼土1割を混合。
もう不思議なくらいこの2パターンしか出てきません。
私としては楽で手軽な方法を知りたかったので、なぜこの比率なのか、なぜこの3種類をブレンドするのかまで知りたかったのですが、どこにもその答えが掲載されていませんでした。
バケツ稲の用土に鹿沼土をなぜ使う。
もうどのサイトをみてもこの「黒土6割・赤玉土(赤土)3割・鹿沼土1割」でバケツ稲を栽培しますよとしか紹介されていません。
ここまで意見が統一されているならしかるべき理由があるのでしょうが、どこにもなぜ鹿沼土を使う理由が載っていません。
スイレンや蓮の栽培書では黒土を使うことや赤土を使うことが田土の代用として挙げられています。アレンジとして腐葉土も4分の1程度混ぜる案も紹介されています。
黒土や赤土は保水力・保肥力に優れており、練り込むと粘度も出て水にも沈むのでまさに水生植物であるスイレンや蓮に適しているのだなと納得できました。
しかしバケツ稲ではなぜか鹿沼土を1割混ぜることが勧められています。
なぜでしょう。
鹿沼土の特徴。
ここでは一般的な鹿沼土の特徴を紹介します。
鹿沼土(かぬまつち)の有名な産地は栃木県の鹿沼市ですね。
実は黒土と赤土と同じ場所で採掘されるのですが、採掘できる深度が違っています。
黒土は関東地方の火山灰土壌の一番表層にあり、その下の層に赤土が堆積しています。
鹿沼土は赤土のさらに下の層に堆積しており、火山性軽石が堆積し年月とともに風化されたものでどちらかと言えば土よりも軽石のような用土です。
ですので黒土と赤土は比較的よく似ているのですが、鹿沼土は軽く水に浮きますし保肥力も乏しいです、また酸性よりです。
蓮や稲には通気組織がある。
蓮や稲には茎や葉の中に空気が通り抜ける通気組織があります。
蓮や稲は根から呼吸ができなくても根が腐ったり株が枯れないのはこのためです。
(スイレンにも通気組織があるのですが、スイレンは茎や葉の裏は水に面しているため呼吸ができるのは葉の表面だけです。)
ですから用土に鹿沼土を混ぜるのは呼吸を助けるためではないと思います。
なぜどのサイトも黒土・赤土・鹿沼土の割合を6・3・1で紹介しているのか。
これは私の推測ですが、どこか影響力ある所がこの割合を推奨しているんだと考えました。
するとJAグループのホームページでこの割合を紹介していました。
JAグループのバケツ稲づくりで「よくある質問」の準備というところで以下のように。
Q2どんな種類の土を使えばいいの?
A田んぼの土が一番よいのですが、手に入らなければ、「黒土(くろつち)」を6割(わり)、「赤玉土(あかだまつち)中粒」を3割(わり)、「鹿沼土(かぬまつち)小粒」を1割(わり)の割合(わりあい)で混ぜて使ってください。
またバケツ稲づくりマニュアル(PDF)も載せており、ここでも「黒土6、赤玉土3、鹿沼土1」で紹介しています。
これは私の勝手な思い込みですが、JAがこのように紹介しているからどこもこの用土の割合が正しいと言っているんじゃないかな。
【参考先】JAバケツ稲づくり
URL:https://life.ja-group.jp/education/bucket/faq01/
ちなみにJAもなぜ鹿沼土を使うのか説明していません。
用土の構成が異なると生育状況はどう変わるのか。
どのサイトも黒土・赤土・鹿沼土の割合が同じことしか言っていないのですが、とある小学校で面白い実験がされていました。
福井県小浜市立内外海小学校の平成15年度の活動でバケツ稲について調べていました。
小学生の実験ですがデータ・まとめ・考察もしっかりしていて非常に参考になりました。
たくさんのお米を作るための条件調べをしており、調べる条件を4種類に分けて調査しています。
その中の一つが用土に関することで、用土を7種類(「黒土+赤玉土+鹿沼土」、「黒土+赤玉土」、「黒土」、「赤玉土」、「鹿沼土」、「腐葉土」、「砂」)に分けて調査しています。
1穂当たりの米粒の調査データをみると黒土単体が最も優れており、次いで黒土+赤土になっています。
一方で鹿沼土単体と腐葉土単体が最も成績が優れていませんでした。
実験個体数や混ぜられた用土の割合が記されていないので、このデータだけでは鹿沼土を混ぜない方が良い結果になると結論づけられないのですが、鹿沼土が絶対に優れた資材であるとは言えないと思います。
【参考先】内外海小学校バケツ稲
URL:http://www1.city.obama.fukui.jp/obm/edu/rika/school/utitomi/jugo/school_utitomi_top.htm
【推測】なぜバケツ稲に鹿沼土を混ぜるのか。
小浜市立内外海小学校の調査では鹿沼土の成績がそれほど良くはなかったのですが、JAで鹿沼土をすすめるのには何か理由があるのでしょう。
稲は根が水に浸かっていても茎葉の通気組織により呼吸ができるので問題なく成長することができます。
しかし軽石のような鹿沼土を用土に混ぜるということは、おそらく空気が関係するのだと思われます。
そこで私が注目したのが、「中干し(なかぼし)」という作業です。
中干しの理由はいくらかあるのですが、通気性の優れる鹿沼土を使うということは用土の中に空気(酸素)を送り込んでいるのではないでしょうか。
もしも鹿沼土が含まれていないと中干しをしても空気が用土の隙間に侵入しにくいのではないでしょうか。
ただ二日ほどで水を再びバケツに満たすので本当にこれで用土に空気が送られるのか疑問ですが、用土に鹿沼土を混ぜる理由はこれしか思い浮かびません。
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さいごに。ここまで調べてみてスイレン・蓮の用土はどうするか。
結局のところなぜバケツ稲の用土に鹿沼土を一割混ぜるのかは分かりませんでした。
スイレン・蓮は稲と同じように根が常に水中にあり根からの呼吸目的ではないと思うのですが、田土の代用用土としてスイレン・蓮は黒土・赤玉土、稲は黒土+赤玉土+鹿沼土が勧められています。
もしも稲の用土に鹿沼土を混ぜる理由がバケツ内の水を捨てる中干しという作業のためであるのなら、そのような作業を行わないスイレン・蓮には鹿沼土が不要かもしれません。
そのような訳で不完全燃焼ではあるのですが、私の結論としては鹿沼土を混ぜない方向で蓮・スイレンの用土を作ろうと思います。