こんばんは。 香川県の僧侶かっけいです。
先日大晦日の除夜の鐘を撞くイベントに備えて、麹(津久茂こうじ)から甘酒を作ったこと紹介しました。
その紹介後、「酒粕からの甘酒の作り方も教えて。」とメールがあったので、酒粕を使っての甘酒の作り方も紹介します。
酒粕の甘酒は麹よりも簡単に作れて初心者向けな印象です。
酒粕から甘酒を作るための材料。
酒粕の甘酒は麹と違って温度管理をしなくていいので、失敗することがありません。
- 酒粕(さけかす):今回は岡山県の酒造メーカー『三光正宗』の酒の粕を使った。
- 水2リットル程度(適当)、と鍋。
- 砂糖(これも適当量)
酒粕甘酒には砂糖が必要です。
酒粕で甘酒を作る手順。
上の写真で示した清酒三光の酒粕の袋裏には、酒粕を美味しく食べる方法が書かれています。(かすじる・かすみそじる・あまざけの作り方)
津久茂こうじの時もそうでしたけど、酒屋の商品袋には作り方を説明してくれているので丁寧な感じがしますよね。
今回はこの袋に書かれている説明を写します。
酒粕に適量の湯に砂糖を加え煮ると出来上がります。
(酒粕一人前。酒粕約50瓦に対し水約200m立すり生姜少々)
『三光酒の粕』の袋裏より
何かちょっとわかりにくいですね。単位は分かりやすくしてくれればいいのにね。ちょっと不親切。
- 50瓦はおそらく50グラムのこと。
- 200m立は200ミリリットルのこと。
酒粕から甘酒を作っている様子。
1.上の袋の酒粕は白い板状に固められています。ですので最初に水の中に浸して置き、軟らかくなくなるまで放置します。私は半日くらい水の中に入れておきました。
2.しっかり板状の酒粕が柔らくなったなあと思えれば、ポテトマッシャーで酒粕を潰していきます。
ちなみに水に浸さずにいきなり潰していってもいいのですが、事前に水に漬けてほぐれやすくしておいた方が舌触りが良いような気がします。
3.潰しほぐした後は火をかけて焦がさないように温めていきます。
この時にポイントとなるのが水を足すことと沸騰させないことです。
もしも酒粕が多くドロドロとしているのならば水を足して好みの濃度にしてください。そして沸騰させずに加熱させてください。アルコール分が失われてしまう恐れがあります。
4.温めた甘酒に砂糖を加えて好みの甘さに整えます。
麹と違い酒粕の甘酒は甘くありません。
砂糖が無ければ酒粕を溶かしただけのお湯です。甘味は全くと言っていいほどありません。
そのため砂糖は結構たくさん使います。
写真ではわかりにくいですが、スプーン山盛りの砂糖を最低10杯程度使いました。目安としては酒粕甘酒1リットルに対して砂糖100グラム程度かな。
砂糖だけでは甘味が単調かなと思い、ザラメと蜂蜜を少しだけ加えました。そこは好みで調整しましょう。
酒粕の甘酒と麹の甘酒の違い。
酒粕 | 麹 | |
手間 | 加熱し混ぜるだけ。簡単 | 温度管理が大切 |
費用 | 安価(麹の6割程度) | やや高価 |
調味料 | 砂糖や生姜など | 不要 |
アルコール分 | アルコールあり | なし |
酒粕は麹と比べて非常に簡単に作ることができます。麹は酵素アミラーゼの働きによって甘酒を作るので温度と時間管理が重要で失敗することがあるかもしれません。
また費用も麹と比べて安価です。
ただ酒粕の甘酒はそのままではそれほど美味しくありません。一方で、麹の甘酒はとても甘くおいしいですし米粒が残り食感もいいですね。
酒粕甘酒は砂糖などの甘味料を足す必要がありますし、生姜でアクセントをつける人もいるでしょう。
酒粕の甘酒と麹の甘酒は全く別物の甘酒だと思ってください。味が全然違います。
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さいごに。酒粕甘酒は手軽にそして安く作れるけどもお寺には合わないかも。
寺や神社、さらには地域の祭りといったイベントには甘酒が振舞われることがあるでしょう。
実際私の所も大晦日の夜に麹の甘酒を用意しました。
酒粕甘酒ももちろん美味しいのですが、お寺には車で来られている人が多いです。田舎では特にそうです。
酒粕の甘酒に含まれているアルコール濃度はごく僅かでしょうから飲酒運転になることはないでしょうが、もしものことがあってはいけないのでアルコールが含まれているかもしれない飲み物をお寺が差し出すのは問題があるでしょう。
またアルコールが飲めない人、お年寄りや妊婦や子供だっているでしょう。
そんなことを考えますとお参りの人には麹の甘酒を、自分で飲むようには酒粕の甘酒をと分けた方がいいでしょうね。
酒粕の甘酒も麹とはまた違った美味しさがあります。
(甘酒の美味しさは酒粕の風味にも左右されそうなので、酒粕は酒蔵や酒造メーカーから選んだ方がいいと思います。)