こんばんは。 僧侶のかっけいです。
自坊では銀杏(イチョウ)の木が本堂の前にあります。
また隣接した寺院にも銀杏の木が本堂前にあります。銀杏の木は樹高が高くなり遠くからでも寺の場所が分かるシンボルツリー的な役割や防火の願いが掛けられており、寺社仏閣で古くから植えられています。
古い巨木となった銀杏を大銀杏と呼びことがあります。
今回は銀杏の木の特徴の一つを紹介します。
古い銀杏の木の表面にはコブのような垂れる枝がでることがあります。
垂れる枝とは。どんな見た目なのか写真で紹介。
隣のお寺の銀杏の木の全体像。樹齢は200年くらいだろうか。大銀杏とは決して言えないが、これくらいの年数でもコブのように垂れる枝が出てきます。
枝の付け根からでしょうか、数多くのコブができており、地面に向かって垂れています。
初めてみる人にとっては気持ち悪い光景かもしれませんが、これが銀杏の木の特徴です。ちなみに乳のようにも見えることから「乳根(ちちね)」とも言われています。『銀杏の木 乳根』や『銀杏の木 乳垂れ』と画像検索すれば、今回紹介している銀杏の木よりもより大きく鮮明なコブが出てくるでしょう。
乳のようなコブの突出の正体はなんだろうか。
古い銀杏の木、巨木となった銀杏の木には棍棒のような突出したコブが出てくることがあります。
日本各地の寺社仏閣ではこのコブを女性の乳房に見立てて、「乳垂れイチョウ」「子授けイチョウ」と呼ばれ、母乳が出にくい女性がお参りに行くことがあるようです。
さてここではコブの突出している様子を乳・乳根と表現しましたが、実は正式な名称も「乳」なのです。英語でも「chichi」と表現します。
でこれは一見すると樹の表面、幹から出てきた気根のように思えるのですが、実はよく分かっていないのです。
素人の私が説明するよりももっと信頼のおける説明があります。
日本植物生理学会の「みんなのひろば 植物Q&A」でこのような質問がありました。『銀杏の枝からぶら下がってくるもの』
ぜひリンク先の内容を確認してください。詳しく書かれています。
以下、質問と回答の要点です。
銀杏の樹齢が古いものの中には枝下から地面へ向かって垂れ下がっているのがあり、この部分は一体何なのか?
- イチョウの「乳」のことで、乳房に見立てての名前。
- その乳の正体は、まだ意見が分かれているのが正直なところ。
- 特殊な器官、担根体(たんこんたい)ではないかという意見もある。
- 担根体とは根でも枝葉でもない構造のこと。
- 担根体は融通が利き、その先端を枝にしたり根にしたりすることができる。
- 乳のことを気根であるとも言われるが、間違いであるように思われる。
- 要は正体不明の部位である。
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さいごに。コブ(乳)の正体はよく分かっていない部分。
古い銀杏の木の幹、表面にはコブが出てきて地面に向かって垂れさがってきます。しかし個体によっては古木であってもコブが出てこないこともあります。
また名称は「乳(ちち)」と呼ばれているのですが、決して雌の木だけに現れるわけではありません。現に上の写真で紹介した隣接寺院の銀杏の木は雄の木です。(イチョウは雌雄異株なので、雄の木と雌の木に分かれます)
正体不明の部位ではあるのですが、現在では気根といった考えではなく、担根体、茎の変形したものというように考えられているようです。
銀杏の木は寺院・神社・学校でよく見られる植物ですので、大きな銀杏があればコブがあるのか観察してみてはどうだろうか。生で見たら結構びっくりする見た目でもあるからね。落葉期の今(秋冬)が見やすいよ。