墓じまいをして寺に改葬する人が増えている現状

僧侶のかっけいです。

ここ数年「墓じまい」という言葉が流行しています。元々は「廃墓」という言葉だったのですが、5年ほど前から新聞などで取り上げられるようになり、墓を処分するニュアンスで墓じまいという言葉が広まっています。

(ちなみに墓じまいという言葉が出始めた5年前には次のような意味で紹介されていました。「墓守の跡継ぎいないといった諸事情により、先祖代々の墓を撤去し、遺骨を永代供養の合同墓などに移すこと」でした。)

さて現実問題として、墓じまいはメディアで面白おかしく取り上げられる言葉ではなく、私の住む香川県では実際にお墓を閉じようかなあと考えている人が増えつつあります。先日も一御門徒でお墓から先祖代々のお骨を回収しました。

墓地の地蔵菩薩。両手で宝珠を持つ今回は墓じまいをすることと、その後にお骨の扱い方法について書いていきます。

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墓じまいをしていく流れ。

墓じまいは先祖代々の遺骨を納めた墓を維持するのをやめるということです。

墓というのは基本的に墓地にあります。日本では個人の持つ墓地というのはほとんどなく、寺院が管理する墓地・自治体が管理する墓地・地域が管理する墓地などと必ず管理者・代表者がいます。私たちは墓地の管理者から区画を借りて墓石を建てて納骨しているのです。

ですので墓じまいをしたいからと言って自分勝手に墓石を撤去したり、お墓に納めている先祖の遺骨を取り出してはいけないのです。

[墓じまいの流れ]

  1. 墓地の管理者に墓じまいの旨を伝える。檀那寺(菩提寺)がある場合は僧侶にも相談する。
  2. 墓地の管理者に改葬許可証の発行を求める。
  3. 石材店にお墓の撤去費用と日時を相談する。
  4. 檀那寺にお墓の閉眼(へいげん)のお勤めと遺骨の回収を相談する。
  5. 閉眼の後に、墓石を撤去する。
  6. 管理者との事前相談により、区画をどの程度まで原状回復するのかを決めておく。

お墓の区画を管理者が望んだ形にして返還すると、一応墓じまいは追えます。

ただ田舎では墓じまいのケースがまだ多くなく地域が管理している墓地も多いため、どのような形で返還したらいいのかが管理者側も決められていないこともあります。そのため、地域住民との集会に何度か顔を出すといったケースもありました。

回収した遺骨はどのように供養する。

よくある勘違いですが、先祖の遺骨を家にて管理しようとする人がいます。ただしこれはグレーなところです。

墓地、埋葬等に関する法律の第四条では、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」とあります。また自宅庭にお骨を埋めたり散骨しようものなら、遺骨遺棄罪に相当します。

お骨は自治体が認めた墓地・納骨施設に納めなければなりません。

ですので墓じまいした後の遺骨をいつまでも家にて保管するのは本当はよろしくないのです。あれは一時仮置きとしての扱いですので、しかるべき納骨場所に納める必要があります。

墓じまい後は、檀那寺・菩提寺がある場合は、寺に預けることが多いです。

檀那寺が無い場合は、信頼のおける納骨施設にお骨を預けることが多いです。

そもそも墓じまいをするのは、先祖代々の遺骨を納め、先祖を祀り敬うための場所を維持できないことが理由でしょう。墓参りをし今後も維持できるのであれば墓じまいをする必要はないですよね。

檀那寺にお骨を預けるのは、寺というのが門信徒の手により永代に渡って維持されている建物だからです。また最近では寺の多くは寺院内に納骨堂・納骨壇を設けており、寺を永代の供養納骨場所としての役割を果たそうとしてます。

もしも檀那寺があり墓じまいの後の遺骨の供養方法に困っているならば、檀那寺に納めてはどうだろうか。

では頼れる檀那寺や菩提寺が無い場合はどうすればいいだろうか。

最近では『永代供養を承ります』と宣伝する寺や民間の納骨施設が増えています。しかし実際には数年で他のお骨と合祀をしたり、お骨の回収をさせてくれなかったり、10年・20年後には施設そのものが無くなっていたりと、永代供養とは名ばかりで遺骨の処分場所として骨を集めているに過ぎないところもあります。

頼れる檀那寺や菩提寺が無い場合は、自分の手で信頼できる納骨施設に納める必要があります。

多くの所が将来的には他のお骨と合祀するケースが多いでしょうが、まずは供養するにふさわしい場所として、「管理者の顔が分かるところ・対応の良いところ・いつでもお参りできるところ」を最低基準として判断するべきでしょう。


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さいごに。墓じまいは、永代供養の場所も決めることが大事。

墓じまいという言葉が広く使われています。また現実にも先祖代々の墓を廃止することが多くなっています。

しかし墓じまいをするにもただ墓石下の遺骨を取り出すだけではなく、墓地の管理者や僧侶や石材店に相談をして、墓地区画の返し方・日時・お勤め・書類・費用などの段取りを踏まなくてはなりません。

何よりも先祖の遺骨をぞんざいに扱うことなく、墓じまい後の供養の仕方も事前に考えておく必要があります。

檀那寺・菩提寺がある場合は、墓じまいを計画しておく段階で将来的に寺にて永代供養ができるのかを確認しておくと、墓じまい後の改葬がスムーズに行えます。(ちなみに墓じまいの際の石材店選びに困ったら檀那寺に相談していただければ、アドバイスをしてくれると思いますよ)

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