香川の浄土真宗のお坊さん「かっけい」です
2020年4月現在、全国に緊急事態宣言が発令され、感染者は1万3千人以上、死亡者も350名ほど確認されています。
感染拡大防止のため、不要不急の外出を自粛するように呼びかけられ、仏事といった宗教的活動を行うことも悩ましい時分です。
宗派や地域、またお坊さんによっても、新型コロナウイルスに対する取り組み方が違っているでしょうが、私が今まで見聞きした中で、法事法要でどのような対応がされているのかを紹介します。
お坊さんもコロナウイルスが怖い
新型コロナウイルス感染者に対応する、医療従事者への感染が懸念されています。防護服やマスク・手洗いなどで感染予防をしていても、目に見えないウイルスに、いつ感染してしまうのか分かりません。
お坊さんは医療従事者と違い、感染者(確定患者)と直接対応しているわけではありません。しかしお参りの性質上、ご門信徒の各家庭に出向き、多数の人と接しています。
いつ自分もコロナウイルスに感染するかもしれない、という不安が常につきまといます。
実際、4月9日に東京都内の曹洞宗僧侶が新型コロナウイルスによる肺炎で死亡したことが、4月10日の中外日報によって報じられています。
お坊さんは読経・法話・相談・雑談と、声を出すのが当たり前のことです。向き合っての会話も多いため、お互いに感染するリスクも高いです。
お坊さんもコロナウイルスが怖いです。自分も相手も感染するかもしれません。
【取り組み】予防を徹底してお参りにうかがう
私が心がけている基本の取り組みを紹介します
通夜や葬儀は規模を縮小
3月下旬に愛媛県で通夜・葬儀に参列した男女4人が、コロナウイルスにかかりました。
「コロナウイルスで仏教行事も対策を迫られる」でも紹介したように、葬儀社による葬儀会館での通夜や葬儀は、老若男女県内外問わず、不特定多数の人が参加するにもかかわらず、三密(密閉・密集・密接)の対策が不十分に感じました。
4月になり緊急事態宣言が発令すると、三密の呼びかけが徹底され、通夜や葬儀は少人数の参列となり規模が縮小されました。
規模が縮小され三密の対策が行われるようになったので、お坊さんは基本的な感染予防の取り組みをしつつ、これまで通りお参りしています。
また葬儀の参列者が減ったことにより(家族だけのことも)、葬儀社の葬儀会館ではなく、自宅での通夜・葬儀も増えました。自宅の方が場所の移動や人(葬儀社職員)との接触も減り、感染予防対策をしやすいからです。
少人数なら、どこで・どのように葬儀をすれば感染リスクが少なくなるのかを、考える時期になったように感じます
法事は規模を縮小、あるいは延期
通常、亡き人を偲ぶ法事では、遠方からもご縁のある人がお参りします。
しかし今はコロナの感染予防のため、県外・遠方にお住まいの方の出席は控えた方がよろしいでしょう。県をまたいでの移動・公共交通機関を使っての移動は感染のリスクを高めます。
- 家族・近くの親族のみが集まる
- 法事の後の食事は控える
法事の日取りは、多くの人がお参りできる日を選びます。
緊急事態宣言がでている今ではなく、半年後・一年後に延期して、親族一同が集まって賑々しく法事をすることを検討してもいいでしょう。
法事は亡き人を偲び仏縁にであう場ですので、中止ではなく、縮小または延期をしてお勤めすることをおすすめします。
命日よりも後になっても大丈夫ですよ
祥月命日や中陰のお勤めはこれまで通り
ご命日のお勤め(祥月命日や月命日)・中陰の七日ごとのお勤めは、家族・親族の少人数の参列なので、お坊さんは基本的な感染予防の取り組みをしつつ、これまで通りのお参りをしています。
ただし、家族・親族でもご高齢や遠方にお住いの方は、体調面の不安もあるので、ご家族と相談してお参りに参加されるかどうか判断するようにとアドバイスをしています。
屋外でのお勤めはこれまで通り
厚生労働省は新型コロナウイルス感染予防のため、密閉・密室・密接をしない「ゼロ密」を呼びかけています。このゼロ密は、屋内だけでなく屋外も同様です。
3月4月にはお彼岸・慰霊祭・招魂祭など、屋外でのお勤めもありました。
お坊さんや参列者はマスクの着用はもちろんのこと、他の人との距離を適度にあけることなどを心がけることにより、これまで通りのお勤めをしています。
寺での法要は中止・延期・縮小がほとんど
2月末に全国の小中高の一斉休校要請がありました。
私の住む香川県でも、観光地にあるお寺の多くは、そうそうに3月の法要を中止を決めました。
観光地以外でもいつも通りの法要をするお寺は少なく、中止・延期を決めた寺がほとんどでした。
寺での法要は、多くの人がお参りにくる可能性があります。一方で寺の本堂は広く風通しがよく、お焼香だけで帰られる方も多いので、密になりにくい環境でもあります。
法要を中止することは簡単です。
しかし春の永代経法要はご門信徒の方々のご先祖のご仏事ということで、コロナであっても寺は永代にお勤めします。中止ではなく、規模を縮小・延期をする寺ももちろんあります。
寺での法要の有無は、お寺ごと・地域ごとに、それぞれの寺の住職が判断されています。いずれの法要も感染予防に取り組んでいます。
自坊も延期・縮小して法要をします
- 僧侶は2名と少なく
- 法要時間は30分に短縮
- 椅子は2メートル以上の間隔
- お堂の換気を徹底
- 手指の消毒液を設置
と、法要での感染リスクを減らす対策をします
お焼香だけのお参りでもOKです。また法要の案内があったからといって、お体に不安がある場合は、無理にお参りされないでくださいませ。
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仏教宗派ごとの対応
上で紹介した内容は、私が実際に見聞きしたそれぞれのお寺・お坊さんの取り組みです。
仏教宗派によっては、それぞれに新型コロナウイルス感染拡大防止指針・方針をまとめていたりします。一例として真宗大谷派の指針を紹介します。
- 法要前には必ず、手洗い・手指の消毒を厳守ください。また、参列者にも同様に手洗い・手指の消毒を徹底いただくよう依頼ください。
- 常に咳エチケットを心掛けるとともに、勤行・読経の際にもマスクを着用ください。また、参列者にも同様にマスクの着用を徹底いただくよう依頼ください。
- 感染リスクを減らすため、3つの「密」を避けてください。
① 「密閉空間」を避けるために、できるだけ換気をしてください。
② 「密集場所」を避けるために、参列者にできるだけ間隔をあけて着席するよう促してください。また、お焼香も間隔をあけるよう配慮ください。
③ 「密接場面」を避けるために、間近での会話や対面による会話を可能な限り、避けてください。※法話は一定の距離(2メートル以上)をあけてください。 - 法要終了後のお斎(会食)は控えてください。
- 37.5℃以上の発熱や体調の優れない方には、法要への参列を控えていただくよう依頼ください。
- 新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方の通夜・葬儀等を執り行うにあたっては、国の方針(※厚生労働省が示す「新型コロナウイルスに関するQ&A(関連業種の方向け)令和2年4月15日時点版、3.遺体等を取り扱う方へ」等)を踏まえた上で医療機関や葬祭場とも連携をし、感染防止のための衛生対策に努めてください。
- 日常的な自己管理を徹底し、感染症の媒介者とならないように留意ください。
- 新型コロナウイルス感染症への対処法を正しく理解し実行することで、差別や風評被害が広がらないように努めてください。
また、全日本仏教会(全仏)の公式サイトでは、全仏加盟団体ごとの新型コロナウイルス対応をまとめています。
厚生労働省の公式サイトでは各業種・企業・医療者・労働者向けに、新型コロナウイルス感染症に関するQ&Aを作成しています。不要不急の外出は控えてくださいと呼びかけていますが、お坊さんのお勤め・宗教活動に関するQ&Aを公開してほしいところです。参考にしたいので。