ほしい物リストより、お線香ありがとうございました

最近では朝9時からの法事が減りつつあると思われます。

こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。

皆さんは法事をされるとき、大体何時くらいを開始時間にしていますか。

宗派や地域によっても全く傾向が違うと思うのですが、香川県にある当院円龍寺ではかつては午前の法事は9時から午後の法事は1時以降からをお願いしていました。

法事の日時は施主の方がいくつか候補を挙げてお寺と相談し、お寺と施主の都合を合わせて決定しますね。

円龍寺ではなるべく朝9時からの法事が有り難いのですが、最近では9時半からの法事が増えてきました。そして10時~12時頃開始の法事は避けるようにお願いしています。

面倒なお寺だなと思われるかもしれませんが、お寺なりの悩みがあるのです。

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なぜかつては朝9時からの法事だったのか。

誤解を招いてはいけないので先に説明しておきますと、法事を行う時間帯と言うのは決まっていません。

ですので朝の8時から始めても正午頃に始めても夕方の4時や5時に始めても何も問題ありません。

ただ世間的な常識があり、法事という身の濃い故人を偲ぶ仏事はできるだけ多くのご縁のある人にお参りしていただき、食事をもてなすものです。

そのためお参りの人が苦労するような時間帯は避けるべきです。


 

さて話を戻します。

当寺では午前開始の法事は朝9時をお願いしていました。

それは浄土真宗の法事のお勤めは非常に時間がかかるからです。

同じ真宗でも地域によって法事の長さは変わるでしょうが、ここ香川の真宗のお勤めでは最低でも一時間が必要です。

お坊さんが二人参る通常の法事では途中で中休みと言われる休憩時間もとりまして、法事の時間は1時間半程度かかります。3人以上がお参りする念入り法事では法事時間が2時間を超えることもあります。

浄土真宗の法事のお勤め時間は2時間程度と非常に長く、仮に朝9時から開始してもお勤め終了が11時頃になってしまいます。

施主の感覚なら上の理由が通るのなら朝10時に開始すれば昼の12時に終わるので食事の時間にピッタリだと思われるでしょう。

しかしそれでは困ることがあるのです。

午前10時に法事開始することの落とし穴。

真宗の法事ではお勤め時間が2時間程度かかるので朝10時開始がベストのように感じられるでしょう。

しかしそれでは困ることがあるのです。

皆さんは法事を何曜日するようにしていますか。

多くの場合は土曜日・日曜日でしょう。

施主の都合やお参りの人の都合をつけやすいのが土・日ですからね。

平日の法事は大変でしょう。

人間考えることが同じで自分が良いと思った日時は他の人も狙っていて、お坊さんの土曜日・日曜日は法事が重なってしまうことがあります。

当寺では先に予約をされた方の都合を優先することがおおいですが、希望が通らなかった施主は希望の日の時間を変えて予約することが多いです。

このパターンを考えてみてください。

仮に午前予定の法事を朝10時に開始したとします。終わりは12時頃ですね。

すると午後からの法事開始は早くても1時からになってしまいますね。

お寺さんは瞬間移動できないですし、いったんお寺に変える都合もあります。
また午前10時開始にするとお坊さんは食事の席に同席することができなくなってしまいます。

ここでうっかりしてほしくないのが、「午前10時開始の家はお坊さんが食事を同席できないこと以外に困らないじゃないか。困るのは中途半端な午後1時以降開始の家だけじゃない。」と言うことです。

いいえ、朝の法事も困ることがあります。

例えば朝の10時と昼の1時に法事があったとします。

お坊さんは法事のお勤め以外にも急なお勤めとして葬儀というのがあります。

葬儀と言うものは急に決まるもので、法事の前日や前々日に急に入ってきます。

最近では葬儀の時間がお坊さんの都合を無視して決めるケースが多くなり、無茶な時間になることもあります。

葬儀社が決める葬儀の時間は11時頃が最も多く、法事の時間にどうしても引っかかってしまいます。

10時開始の法事ではどうしようもなくなることがあります。

12時開始の葬儀でも1時開始の法事が難しくなってしまいます。

10時開始と1時開始の法事は一見すると最高の法事時間の組み合わせに感じるかもしれませんが、お坊さんには葬儀という不確かな仏事が急に入る可能性があり、融通が利かなくなってしまいます。

9時法事開始のメリット。

  • 時間に余裕ができ、お膳をいただける。
  • 急な葬儀にも対応できる。

9時に法事を始めたとします。

すると終わりの時刻は11時頃ですね。

仮に午後の1時からお坊さんには別の法事があったとします。

しかしまだ時間に余裕があるため、食事に同席することができます。最後までご一緒することはできませんが、一時間程度ならお膳をいただくことができます。

また仮に11時頃に急な葬儀式が入ったとします。

朝の9時開始なら中休みを詰めれば何とか法事を勤めることができますし、午後からの法事にも支障がでにくいです。

最近では9時半開始の法事が多くなった。

とはいっても自分の家の法事にまさか葬儀が入ると思う人も少ないでしょうし、最近では親戚の人で仏事にお参りに来るのも前泊ではなく、当日にやって来る人も多くなっている印象です。

施主の希望は10時が多いのですが、もしかすると葬儀が入るとどうしようもなくなることがあります。

一方でお寺は9時がもしもの時にも施主に迷惑が掛かりにくくおすすめしたいのですが、朝早すぎると嫌がられます。朝9時開始だとお参りの人は8時頃から家に行き、施主の家は軽い軽食の接待に追われたりと大変だったりもします。

両者の言い分を歩み寄せたのが9時半という時間です。

9時半でも朝早いと不満の出る人もいるでしょうが、朝9時半開始の法事なら仮に11時の葬儀でも法事開始を10分程度早めることでなんとか間に合わせることが可能だったりします。


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さいごに。真宗のお勤めは長いからね。

法事の時間にあれやこれやと悩んでしまうのは真宗のお勤め時間が長いからです。

仮に30分や40分程度で法事が終わるのであれば、9時開始であろうが、10時・11時・12時などと一時間単位の細かい時間設定で受け付けることができるでしょう。

しかし真宗ではお寺さんがお参りに来て帰るまで二時間程度を想定しなければなりません。

なぜ、読経の終わりにはお坊さんがお話をすることなどが挙げられます。

真宗の仏事とは供養と言う形ではなくお参りする人が仏法に出あうご縁としての意味合いがあります。

中休みは不要に思われるかもしれませんが、中休みや法事の最後のお話を通して仏法や仏教に関することに触れてほしいです。案外、聴くということを疎かにしている人が多いというのは、真宗徒にとって残念なことです。こんなに長いのか疑問に思う人もいるでしょう。

また別の機会に説明したいですが簡単に紹介すると、法事の途中に10~20分程度の休み時間を1or2回とること、読経の終わりにはお坊さんがお話をすることなどが挙げられます。

真宗の仏事とは供養と言う形ではなくお参りする人が仏法に出あうご縁としての意味合いがあります。

中休みは不要に思われるかもしれませんが、中休みや法事の最後のお話を通して仏法や仏教に関することに触れてほしいです。案外、聴くということを疎かにしている人が多いというのは、真宗徒にとって残念なことです。

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