こんばんは。 僧侶のかっけいです。
京都に観光に行った人はこんなことを思ったりしませんか。
「お寺って門が閉まるの早いのね」・「まだ明るい夕方5時やで」
今回の話のテーマはお寺の門の開く時間・閉まる時間についてです。
お寺の門が開いている時間は決まっているのか。
全く決まっていません。
お寺によって門が開いている時間はまちまちです。
強いて言うならば、京都などにある有名な寺院は閉門時間は早いです。おおよそ夕方5時になると門が閉まります。日の長い夏でもですよ。
一方で地方寺院では朝から晩まで24時間開きっぱなしのこともあります。または24時間閉まりっぱなしで、法要時や参拝の連絡がある時にしか開けない寺もあります。
ただ門がいつ開き・いつ閉まるのかという傾向はあります。
本山・有名寺院など | 地方寺院 | |
開門時間 | 朝5時や6時頃の早朝 | 日の出の時刻ごろ |
閉門時間 | 夕方5時ごろ | 日の入りごろ、薄暗くなってから |
上の表はあくまで目安です。開門時間・閉門時間はお寺によってバラバラです。
地方寺院の場合は、太陽の昇っている時間に合わせて門の開け閉めをしている印象です。
ですので、日中の時間が長い夏の時期は早朝6時前には門が開き、薄明るい夜8時前くらいまでは閉まらないこともあります。そのかわり日の短い時期では朝7時過ぎに門が開き、夕方暗くなった午後5時前には閉まることもあります。
一方で、本山や観光寺院では一年を通して開門・閉門時間が固定されていることが多いです。
地方寺院と本山・観光寺院の開門時間が違うのはなぜだろうか。
お寺の門が開いたり閉められたりするのは、単純に言えば防犯上の理由が一番でしょう。
そもそもお寺の門とは山門・三門(さんもん)と呼び、仏様をおまつりしている場に行き、仏法を聞く場・仏道修行の場としての気持ちを思い起こさせてくれます。(門をくぐる時は一礼をしましょうね)
門が開いている方がいつでもお参りできるので、お寺がオープンな感じで好印象をもってくれるかもしれませんが、実際問題として夜間の参拝は非常に危険ですし、不審者・悪心者が侵入してくる可能性の方が高いでしょう。
実際、門の開閉意識が緩い地方寺院は、窃盗・侵入が多いです。まれに失火・放火もあります。
理想としては24時間自由にお参りできる環境がいいのでしょうが、お寺を預かっている僧侶の立場からすれば薄暗くなった時間には門を閉めて防犯に努めるべきでしょう。
基本的に寺院内で法要や読経が行われているときは門が開いています。例えば京都で有名な寺院である本願寺は夕方5時に閉まりますが、早朝午前5時30分には門が開きます。そして朝の6時から晨朝読経が勤まります。
地方寺院の場合は日中のお参りの人が少なく、門を閉めたからといって門が開いていないと文句を言う人はいません。普通の人は日中にお参りします。
しかしお参りの人が多い大きなお寺では本堂の開堂・閉堂時間に合わせて門を開け閉めし、夜間の警護に備えているのだと思います。
大きなお寺の門が閉じるのが早いのは僧侶のサラリーマン化があるのではないだろうか。
少し愚痴を言わせてもらいます。
地方の小さなお寺の場合は、僧侶はそのお寺で生活し、お寺を日常から護持しています。
一方で大きなお寺では末寺の僧侶が職員として雇われていたりします。
雇われているので当然労働時間や賞与や休日もあります。
私はこのことを僧侶のサラリーマン化と呼んでいます。
サラリーマンになるのが悪いのではありません。しかし僧侶のつとめを仕事としてとらえるようになるのが問題だと思うのです。
色々言いたいことはあるのですが今回のテーマに絞って言えば、門を閉めた後は「ハイ、今日のお仕事終わり~!!」と思うのが残念でなりません。
例えば門が閉まった後でもお寺に参ってくる人はいます。電話だってかかります。そんな時に「時間外だから・営業時間外だから対応しません」はないでしょう。
(実際に目の前に電話が鳴っていても取らない人がいるんですよ。「時間過ぎているから」は理由になりません。その人にとってはお寺を頼りにしてであったり、 止むに止まれぬ理由があったのかもしれません。門は閉めているかもしれませんが、寺を預かる僧侶であるならばその人のために応対するべきでしょう)
(実は今から30年位前ですかね。自坊の先代住職がとある本山に大切な要件があり、夕方5時にお参りしたのですよ。すると受付の職員が5時を少し過ぎたので面会できませんと断ったんですよ。寺の住職が衣・袈裟を身に着け来ているのにね。これを門前払いというんでしょうね。)
私の正直な思いを言えば、大きなお寺の閉門時間が早いのは、職員(サラリーマン化僧侶)の就業時間が大きな理由じゃないのかなあと勘ぐってしまいます。
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さいごに。有名寺院は閉門時間が早い。夏の観光は気をつけようね。
さて冬のような日中の時間が短い場合は午後5時ごろにお寺の門が閉まっていても文句を言う人は少ないでしょう。
しかし春から秋の彼岸の間、夕方6時過ぎに暗くなる時期に、午後5時ごろから門が閉まっていたらがっかりすることもあるでしょう。
地方寺院の場合は庫裏と呼ばれる僧侶の居住建物のベルを鳴らせば出てきて対応してくれるでしょうが、大きなお寺・観光寺院では無視されることもあるやもしれません。
本山クラスのお寺は早朝のお勤めが早い時間帯にあるので、開門・開堂時間は早いですが、閉門時間もまた早いです。
有名人に観光に行くときは、閉門時間に気を付けていた方いいですよ。仮に門が開いていても拝観時間が終わっていることもありますので。