こんばんは。 僧侶のかっけいです。
結界(けっかい)という言葉をご存知でしょうか。
結界という言葉は、アニメ・漫画や怪しい宗教で使われるような言葉に思っている人もいるかもしれません。(人によっては陰陽師・陰陽道の言葉と思っているやもしれません)
しかし結界という言葉は神社やお寺で使われます。
ただおそらくですが一般の人がイメージしている結界と、寺社仏閣に備え付けられている結界とは雰囲気が違っているでしょう。
今回は自坊のお寺の結界を写真で示しながら、結界について紹介します。
結界の意味。結界は仏教の言葉。
結界には複数の意味があります。
例えばアニメでは妖怪を侵入させないために「結界を張る」と表現しますよね。このように区域・周りに嫌って近づけないといった意味ももちろんあります。
しかし辞書を引いていただいたらメインは仏教の言葉として紹介されていることがわかります。
【結界】〘名〙①仏語。区域を制限する意。
㋑仏道修行に障害の内容に、特定の作法によって、一種の聖域を区切り、定めること。また、その聖域。(以下省略)
㋺密教で、魔の障難を払うために、道場の一定区域を制限すること。
㋩仏道修行の生涯となるもののはいるのを許さないこと。また、その地や場所。(以下省略)
㋥仏前の内陣と外陣、または外陣の中で僧と俗との座席を区別するために設けられた木の柵。
日本国語大辞典ー第二版ーより
この他にも帳場や茶道具の一つとしての意味もあります。(ここでは省略)
辞書では非常に多くの意味を紹介していますが、私なりに単純に言えば外部と内部の境界をあらわすものです。
寺、仏具仏壇にみる結界。
上の写真がお寺の本堂で見られる結界です。木の柵がありますよね。あれが結界です。
先ほどの辞書だと㊁の意味ですね。
外陣の中で僧侶(お坊さん)とお参りの人の座る空間・立ち入る空間を分けています。
もちろんお参りの人だってこの内側に侵入することはできますよ。しかし仏様に近い場所がより神聖な場所だという意識をもつためにもあえて境を設けているような感じです。
基本は袈裟を身に着けている人が入ってもいい空間ですね。
ここもまた結界の一種ですね。
無駄に一段高いと感じるでしょう。
この一段高い奥の間が、内陣(ないじん)と呼ばれ仏様や菩薩高僧をおまつりする空間となります。そして手前が外陣(げじん)となります。
内陣は宗派によって考え方が違うでしょうが、基本的には法要時に法衣・五条袈裟以上を身に着けた僧侶が座ることができるでしょう。
続けて門を見ましょう。
「え、しょぼい」と思う人もいるでしょう。
でもお寺の入り口である山門は非常に大切な場所です。
自坊円龍寺では結界として横木を門に置いていますが、寺院によっては石の結界を置いている所もあるでしょう。
これは単なる車止めという意味だけではありません。この結界があるとお寺はバリアフリーじゃないとも言われますが、ないと門をくぐる時に意識せずにサ~と中に侵入してしまうかもしれません。
邪魔に感じるかもしれませんが、仏法に出あう場にお参りするという気持ちを一瞬でも感じていただければなあと思います。(できれば門をくぐる時は一礼をしていただければ)
次に仏具と仏壇を見ます。
上の写真は本堂の縁にある高欄(こうらん)と擬宝珠(ぎぼし)です。神社にもあったりしますよね。
続けて本堂の内陣にある仏壇(須弥壇)の結界です。ご仏前に赤い柵がありますね。本堂縁と同じく高欄ですね。
この高欄はお堂が神聖な場所、また仏様の周辺が尊い空間であることを示しています。
高欄にデザインされている擬宝珠はネギの花の形をしており、その匂いから魔除けになるとも信じられてきました。
何気ない仕切りですが、外と中を隔てています。
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さいごに。結界とは仕切りのこと。
ちなみにですが、神社では鳥居やしめ縄が神聖な空間を表す結界の役割をもっていると言われています。
結界というと大層な言葉に感じるかもしれませんが、実際には日常の空間である「外」と尊い空間である「中」を分けるための区切りです。
なぜこのように境を作るかと言えば、特別視するためということよりかは、丁寧に接するや失礼にならずにお参りするための心構えをつくるきっかけだと感じます。
「外と中の区別がない」と言えば耳障りのいい響きに聞こえるかもしれません。
しかし何を敬うのか、何を大切にするのかといった気づきの世界というのは、まず自分の立っているこの場を知る必要があるでしょう。
その役割が結界だと思います。
またお仏壇の中にも結界がありますね。仏像の前にある高欄のことですよ。