こんばんは。 僧侶のかっけいです。
毎年文部科学省より宗教統計調査が発表されますね。
この調査結果は宗教法人数等について調査することで宗教法人及び宗教団体の名簿など等や宗務行政上の基礎的資料を得ることを目的としているそうです。
毎年発表されるので、比較をしていくと面白いことが分かっていきます。
ただデータの信憑性のなさや、怪しさも感じられます。
特に日本の宗教人口が2億人近いってどういうことなんやねん。
宗教人口が2億人弱の理由。
宗教人口とは。
宗教人口とは単純に言えば、その宗教への信者数ということです。
しかし信者とは本来、特定の宗教を信仰する者という意味ですが、
国の調査では、信者数を個々の宗教法人が個々に報告した人数となっています。
各宗教ごとの人口(信者数)内訳。
最新データの平成27年12月31日現在の調査結果では以下のようになっています。
- 神道系:およそ8950万人
- 仏教系:およそ8870万人
- キリスト教系:およそ190万人
- 諸教:およそ870万人
総計の信者数はおよそ1億9千万になります。
見ていただいたらわかりますように、神道系と仏教系でそれぞれ9千万人もいますね。
これが日本の宗教人口の大部分を占めています。
なぜこんなに数字が膨れ上がっているのか。
上でも言ったように個々の宗教団体が個々に報告しているからです。
文部科学省のホームページでは以下のように説明されています。
信者は、各宗教団体が、それぞれ氏子、檀徒、教徒、信者、会員、同志、崇敬者、修道者、道人、同人などと称するものの全てを含んでいる。
信者の定義、資格などはそれぞれの宗教団体で定められ、その数え方も おのおの独自の方法がとられている。
つまり宗教団体ごとによって信者の数え方も定義も異なっているんですね。
ですから信者の数もどうしても不正確になりますし、計測方法によって如何様にもなってしまいます。
例えばですね。宗教団体の数を見ていきますと面白いことがわかります。
この統計上で出てくる宗教団体とは、宗教法人と非法人の宗教団体の合計ですので注意が必要です。
- 神道系:およそ8万8千団体
- 仏教系:およそ8万5千団体
- キリスト教系:およそ9千団体
- 諸教:およそ3万6千団体
日本の宗教団体は神道系と仏教系でそれぞれ4割近くを占めています。
この団体数を先ほどの信者数で割ってみますと、次のことが言えます。
1団体当たりの信者数。
- 神道系:およそ1020人
- 仏教系:およそ1040人
- キリスト教系:およそ210人
- 諸教:およそ240人
神道系と仏教系だけ1宗教団体あたりの信者数が多すぎませんかね。
私もお寺さんですけど、御門徒(檀家)さんの人数はこんなに多くありませんよ。
私の推測ですが、多くのお寺は檀家数が50~200件ぐらいが一般的だと思いますよ。仮に一つの家の家族全員をそのお寺の信者数と計測しても、500人も満たないでしょう。
以下の文章も私の推測になりますが、思うところを書きます。
キリスト教系は洗礼を受けないと信者に認められないと聞いたことがあるので、比較的に精確に信仰者の人数を報告しているのでしょう。
一方で神道系や仏教系ではかなり水増ししているように感じます。
例えば、各地域にある小さな神社・宮では氏子と言う人がお世話をしています。神主は神事の時に大きい所からやって来ます。私はお寺の人間なので神社などには参拝しないのですが、信者数に計測されている可能性があります。
なぜなら神社とは地域住民の支えによって維持されているのであり、その地域に住んでいる人すべてを信者数と考えることもできなくはないからです。
またお寺の場合は檀家という表現があります。お寺が檀那寺でそれを頼りにしているのが檀家です。
江戸時代以降日本では檀家制度ができたため、どの家もどこかの寺院に属するようになりました。ですから仮に檀家さんの家で仏教を信仰していない人でも、寺院側の匙加減で信者数として考えているかもしれません。
何が言いたいかというと、神道系と仏教系は信者数の数をあいまいに増やし過ぎているんじゃないですか。
統計データの信憑性のなさ。
ここまでの流れでわかる様に、統計データの数字は各宗教団体の匙加減で如何様にもなるでしょう。
全体的な調査結果だけ見れば、毎年似たような数字であり、年々宗教団体数や信者数が減少していることが分かります。
しかし細かな数字を見ていくと明らかに数字の変化がおかしい箇所があります。
例えば、都道府県別の信者数を例に挙げてみます。
私の住んでいる所は香川県なので香川の平成25年の信者数をみると、およそ550万人となっています。
それが平成27年の信者数だと、およそ150万人となっています。
たったの2・3年で400万にも信者数が減ったんですか?
ちなみに香川県の人口は平成29年度で97万人です。
400万人も信者数が減少しているのでそれぞれの内訳を確認しますと、神道系宗教団体の信者数がおよそ460万人から60万人に減少しています。仏教系・キリスト教系・諸教宗教団体の信者数は例年通りです。
報告する側・データをまとめた側は明らかに数字がおかしいと思わなかったのでしょうか。
これは政府の文部科学省が実施している調査報告なんですよ。
本当に自信をもって正しいデータですよと言えますか。
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さいごに。
日本の宗教人口が実際の人口数をよりも多いということは多くの人が知っていたでしょう。
そしてそれは数字の重複があるからということも知っていたでしょう。
ですが、信者の定義や数え方は各々の宗教団体が独自に好きなように決めて報告しており、純粋な信仰者の人数ではありません。
もうね。精確な信仰者数を知りたいのであれば、各宗教団体からではなく、それぞれの個々人から調査できないのですかね。私は全く詳しくないのでテキトーな発言になりますが、無作為な3000人程度から正直に回答が得られれば日本人のおおよその信仰状況がわかるんじゃないんですかね。
それと今回取り上げた数字の解釈は私の主観がかなり入っているかもしれないので、各々の目で統計データを確認してくださいね。
以下URLを載せておきます。
文部科学省「宗教統計調査」の調査の結果「統計表一覧」より調べられます。
URL:http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa07/shuukyou/1262852.htm