大師・大士(だいし)の違い。【仏教で使われる言葉】

こんばんは。  真宗僧侶のかっけいです。

先日、回転式書架の考案者、傅大士(ふだいし)について紹介しました。

その後大士(だいし)という言葉が大師(だいし)とどう違うのか質問されました。その違いについて説明します。

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大師とは僧侶の尊称の一つである。

大師は大導師の意味があり、朝廷から高僧に与えられた称号です

辞書で意味を確認してみます。

大師(だいし)【仏語】

①(大導師の意)仏菩薩や高徳の僧を敬っていう語。

②朝廷から高僧に賜わる諡(おくりな)ふつう、死後その高徳をたたえて贈られるもの。中国では、唐代にはじまり、日本では貞観八年(八六六)、最澄に「伝教大師」、円仁に「慈覚大師」の称号を贈ったのが最初である。

     ー日本国語大辞典 第2版ー 巻8 ページ649 【大師】より一部抜粋

このように辞書でも大師が朝廷から送られていることが説明されています

大師で名付けられた尊号をを大師号(だいしごう)と呼びます。

一番有名な方に香川では、弘法大師空海(こうぼうだいしくうかい)がいます。

現代までに25名の僧侶が大師号を名付けられています。

その中でも各宗派の祖師になっている人を一部取り上げますと、

  • 天台宗の伝教大師最澄
  • 真言宗の弘法大師空海
  • 時宗の証誠大師一遍
  • 曹洞宗の承陽大師道元
  • 日蓮宗の立正大師日蓮
  • 浄土宗の円光大師法然
  • 浄土真宗の見真大師親鸞(けんしんだいし しんらん)

大士とは菩薩のことである。

傅大士という人物の紹介でも説明しましたが、大士とは人々を導く存在であるから菩薩と等しい人のことです。

辞書で確認します。

大士(だいじ)「だいし」とも。仏語

①菩薩(ぼさつ)の異称。

        ー日本国語大辞典 第2版ー 巻8 ページ649 【大士】より一

菩薩の意味も調べます。

菩薩
(「菩提薩埵(ぼだいさった)」の略。覚有情・開士・大士・大心衆生などと訳す)

①仏語。もと、釈迦牟尼の前生における呼称。大乗仏教が興って、修行を経た未来に仏になる者の意で用いる。悟りを求め修行するとともに、他の者も悟りに到達させようと努める者。また、仏の後継者としての、観世音、彌勒、地蔵など。

      ー日本国語大辞典 第2版ー 巻12 ページ81 【菩薩】より一

浄土真宗では割と大士という言葉に馴染みがありますね。

親鸞聖人が書かれた正信念仏偈(正信偈)の中に龍樹大士出於世(りゅうじゅだいししゅっとせ)とあり、自然と龍樹大士=龍樹菩薩とイメージできるのではないでしょうか。

あまり馴染みのない言い方ですが、観世音菩薩のことを法事讃では観音大士と書かれているところもあります。

 


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さいごに

真宗ではお仏壇の扉の上に見真大師の額が掲げられていたりします。明治天皇より明治9年(1876年)の11月28日の614年目の命日に大師号が送られたのですが、個人的な思いでは正直いらないですね。なんであんなに大切そうにデカデカと掲げているのでしょうかね。

ただ大師号の名称は秀逸ですね。浄土宗の円光大師もそうですが、宗祖の特徴をよく表しています。「真(まこと)を見る」という親鸞聖人の気づかれた阿弥陀様の真実の教えをよく示していますね。私もお話をする中で「顕浄土真実教行証文類」を説明するときに「見真」の話をしたりします。

 

 

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