田舎のお坊さんの方はお酒やビールを飲めた方が得だろうね。

こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。

皆さんはお酒やビールを飲んでいるお坊さんをどのように感じますか。

仏教をかじった人は五つの戒め「五戒(ごかい)」の不飲酒戒から、お坊さんがお酒を飲んではいけない・駄目だろうと考えている人もいるでしょう。
(まあ五戒とは、お坊さんではなく在家信者が守るべき戒めとされているのですが、なぜか僧侶が対象と勘違いされているみたいです【余談】)

一方で、お酒やビールは人であるならば当然飲むものですし飲むことでコミュニケーションが潤滑になるから、お坊さんにはぜひ飲んでほしいと考える人もいるでしょう。

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お坊さんがお酒を飲むのは良いこと・悪いこと?

お坊さんがお酒を飲むのに、疑問を感じる人が多いような印象を受けます。

特に初めて法事に参加するような10代・20代の若者に多いような印象です。

逆に50・60歳代と人生経験を積んできた人にはあまり疑問にも思わない風景かもしれません。

若い人はなぜお坊さんがお酒を飲むのに抵抗を感じるのだろうか。

それは心の中で、お坊さんとはすばらしい人、もしくは人の手本になるような人、人ができないようなことを実践できる人と思っているのではないでしょうか。

いえいえそれは思い違いですね、

私は真宗のお坊さんですが、皆さん一般の人と何も変わりありませんよ。

衣を着て袈裟を身に着け読経をするのでお坊さんと認知されますが、ひとたび私服で外で出会うと、普通の人と何も変わりありません。

それは見た目だけでなく、生活スタイルもそうです。

仏教では確かに守るべき戒めがあります。

ここではその戒めについて述べたら非常にややこしくなるので省きますが、私見では戒めとは守ろうとすることや心に止め自分を戒めることに意義があるのではないでしょうか。

確かに仏教が説かれた戒めをすべて守れる人は素晴らしいでしょう。

しかしこれを守れる人は世界中探してもほぼいないでしょう。

なぜなら私たちは人であり、俗世の中で煩悩・悩み・欲とともに生きているのですから。


それを踏まえて、お坊さんがお酒を飲むことの良い悪いを見てみます。

お坊さんがお酒を飲むのは確かに褒められたものではありません。

一部の人からは幻滅されるかもしれません。

ただお坊さんとは聖者ではありませんよ。

皆さんと一緒でいろんな誘いに流されてしまいます。

飲酒を進められると場の雰囲気を壊したくないですし、自分も酔いたいのでお酒を飲んだりします。

檀家(門徒)からもお酒を飲めるお坊さんの方が親しみやすく好まれたりします。

一方で、お酒というのは気を大きくし、判断能力を鈍らせたりします。

時には言葉や態度で人を傷つけたり、交通事故などで物理的に人や自分を傷つけたりすることもあります。

このように度が過ぎてしまうと、当然お酒を飲むのは悪となるでしょう。

飲酒とは節度を持つのが大事。

実は意外と知られていないのかもしれませんが、仏前(お仏壇)のお飾りにはお酒は相応しくないとされています。(浄土真宗に限るかもしれません)

これはなぜだと思いますか。

それは主に二つの理由から。

  • お仏壇の空間とは仏様のお浄土を表しており、お酒がそもそも不要であること。
  • お酒は嗜好品だから。

「お酒とは嗜好品ですよ」と言えば格好良く感じられますが、それでも節度をわきまえなければならない。

嗜好品とはいいながらも、酒以外にも例えばタバコなども度が過ぎれば体に悪いですし、それに執着してしまいます。

お酒も同じこと。

少量適量ならば体にもよく、人間関係も円満にしてくれるかもしれない。

しかし度が過ぎれば、他人も自分も傷つけるかもしれない。

そのような危険があるから、お酒を飲むことはよくよく気を付けることであり、戒めとしての自己の抑制があるのではないでしょうか。

戒めという言葉は、「禁ずる」という意味が強そうですが、「用心のための見張り・注意」であったり、「教え・警告」という意味もあります。

お酒を飲めないことによって私たちの生活が脅かされるような、不自由な教えを仏様がすすめるでしょうか。

戒めとは禁止事項・罰ではなく、節度をもってお酒に向き合ってくれよという呼びかけではないでしょうか。

都合の良い捉え方でしょうか。


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さいごに。私はお酒が飲めない。

さてさて、私個人としてはお酒が飲めるお坊さんの方が、飲めないお坊さんよりもずっと得だと思います。

田舎のお坊さんとは、多くが守っていく自坊がありますし、今までの長いお付き合いしてきた・これからもお付き合いしていくご門徒さん方がいます。

なかなかお坊さんとお話ししようと思っても、法事の席でも声をかけにくいようです。(お坊さんの私からすれば、いろいろ疑問点や悩み事などを訪ねてきてほしいのですが、信用されていないのか、頼りにされていないのか、質問は少ないですね。)

私のお寺の住職はお酒が飲める人が少なかったようです。

私の父は付き合いで飲むようになって現在は勧められると少しは飲めるようになりましたが、祖父は飲めなかったそうですし、その前の代も飲まなかった、その前も飲まなかったそうです。

私も飲めません、体質的に。

アルコールのにおいだけで、そもそも体が受け付けません。

このようなお坊さんは法事の後の会食でもお酒を飲まず酔わないので、お参りの人からすれば、付き合いが悪いなと思われるでしょうね。

私がお参りに行きはじめたころは、お坊さんはお酒を飲まなければならない・お酒を飲まないと帰さないとまで言われたほどです。(もちろん冗談として受け取りましたが)

お坊さんはお酒を飲まないのが理想かもしれませんが、人である以上、人間関係がある以上、お酒を節度を持って飲んでいくのは大切なことであると思います。

その点ではお酒を飲める人はかなり得でしょうね。(徳とは言っていない)

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