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お寺の人が亡くなった時の葬儀は一般家庭の葬儀とどう違うのか

お寺の人が亡くなった時の葬儀は一般家庭の葬儀とどう違うのか

真宗僧侶のかっけいです。

皆さんと同じくお寺の人間も死にます。

死ぬということは同じように葬儀火葬をして遺体の処理と追悼をいたします。

お坊さんは多くの人の葬儀を執り行いますが、いざ自分のお寺から葬儀を出すときに、一般家庭の人との葬儀とどのような違いがあるでしょうか。

葬儀の形式は宗派や地域によって違ってくるでしょうが、今回は香川県の浄土真宗寺院を例に真宗僧侶の私が説明します。

結論を先に言いますと違いはほとんどありません。在家の人と同じような葬儀進行となります。

  1. 僧侶の人数
  2. 葬儀会場

この2点が違いとなります。

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一般の葬儀との類似点

亡くなったことを知らせる

お寺の人間が亡くなったとします。

一般の家庭であればお手次のお寺に・葬祭業者に・親族近所にと連絡するでしょう。

お寺の場合も同じです。

  • 近隣の同じ宗派のお寺
  • 付き合いのあるお寺(他宗派でも)
  • 親戚寺院・親戚家族

とお寺仲間に家族(寺族)が亡くなったことを知らせます。

ただお寺というのは、お寺同士の付き合いがあるので、別のお寺さんに代わりに連絡するようにお願いします。

ご門信徒(檀家)にも知らせます。この時は総代・世話人と呼ばれる人にお願いすることもあります。

枕のお勤めはもちろんする

宗派によって名称も作法も違うかもしれませんが、浄土真宗では亡くなった人の遺体を家庭のお仏壇側に安置します。

これを「枕経(まくらきょう)」とも「枕のお勤め」とも言います。正式には「臨終勤行(りんじゅうごんぎょう)」です。

一般家庭でも亡くなった場合は枕のお勤めをします。(本当は家のお仏壇・仏間しますが、最近は葬祭業者の会館ですることも)

このお勤めは阿弥陀仏への最後のお礼参りです。

お寺の人だろうと一般家庭の人でも枕のお勤めをします。

ただ注意点としてお寺の人の枕のお勤めは、お寺の本堂ではなくお寺さんが生活している建物(庫裏)の仏間でします。

長年見つめお育て下さった家庭の仏様へのお礼参りです。いきなり本堂には安置しません。

大きな飾りは葬祭業者、細かなことは僧侶がする

今の時代は葬祭業者が葬儀式の飾り付けや進行を多く請け負っています。

お寺の場合も同じように葬祭業者の助けをかりますが、付き合いのあるお寺が細かな飾り付けをします。

集まれる付き合いのあるお寺の僧侶がお通夜の前に集合し、通夜勤行や葬儀法要の進行(式次第)や飾り付けを打ち合わせします。

そして宗派や地域の慣行にそって細かなお飾りをします。

棺や幕や受付場などの大きな備品は葬祭業者に任せたりします。

一般葬儀ではほとんどすべてを葬祭業者がしますが、元々は地域の人がある程度細かな装飾をしていましたよね。それと同じことを僧侶がしているだけです。

通夜・葬儀・火葬をする

葬儀の前夜にはお通夜のお勤めをします。皆さんもしますよね。お寺さんもします。お勤めの内容も同じです。

翌日に葬儀をします。

皆さんと同じようにご仏前を飾り、荘厳壇を構え、読経内容もほとんど同じです。弔事もあります。

柩車の見送り方も同じ。火葬の仕方も同じ。

もっといえば中陰の仕方も同じです。一般の葬儀と違いはありません。

違いは「葬儀場所」と「お坊さんの人数」と「葬儀の時間」

葬儀場所は自坊の本堂

一般の人の葬儀会場は「葬祭業者の建物」か「自宅」のどちらかでしょうか。地域の集会所やお寺ということもあるでしょう。

しかしお寺の人の葬儀会場はよっぽどの理由がない限り「自坊のお寺の本堂」です。

枕のお勤めは自坊のお寺横の生活空間(庫裏)でしたが、葬儀場所は本堂になります。お棺は本堂に安置します。

お寺の本堂は仏教儀式をするための建物ですから、当然葬儀式を執り行えますし、そのお寺の人が長年お参りをし続けた空間ですので葬儀の会場にもっとも適した場所です。

参列するお坊さんの人数は多い

意外と気が付きにくいことかもしれませんが、お寺の人が亡くなった場合、導師(葬儀読経を中心的に執り行う人)はそのお寺の僧侶は勤めることができません。

喪に服す家の人が自分の家族の葬儀を執り行わないですよね。それと同じ理屈です。

ですのでお寺の葬儀の場合でも、別のお寺さんに導師を依頼します。

さらには近隣のお寺・付き合いのあるお寺・親戚のお寺の人間はすべて僧侶ですので、僧侶として読経に参列します。

私の地域では10~15名程度のお坊さんが仏様の周りにて読経します。

おそらく一般家庭の葬儀では1~3名程度の檀那寺のお坊さんだけの読経なのではないでしょうか。

葬儀が1時間以上のこともある

これは一時間以上のこともあるだけで、30分40分程度で終わることもあります。

しかし往々にして長丁場になりがちです。

理由は単純に「お参りの人が多い」につきます。あと「弔辞が長い・多い」も。

お参りが30名40名程度でしたら焼香台を増やせば短縮できますが、後から後から人が来ることもありなかなか終わりません。

あと本山や別院や総代世話人からの弔辞がありますので、正面に行きそれを読み上げるとやっぱり長くなります。ですので葬儀時間が1時間半のこともありそれは一般の葬儀と比べて長いでしょうね。


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さいごに。お寺の人間にも複数の立場がある

一言でお寺の人間が亡くなったといっても色んな立場があります。

  1. お寺の住職(代表者)
  2. お寺の前住職
  3. お寺の坊守・前坊守
  4. 後継ぎ
  5. お寺の子(得度・受戒済み)
  6. お寺の子(得度前・受戒前)

これをひとくくりに寺族(じぞく)と言いますが、誰が亡くなったのかによって、本堂の中で遺体を安置する場所や弔辞の数、参列する僧侶の数、進行の内容が変わってきます。

お寺の住職が亡くなった場合だと弔辞が増えたり、お坊さんが増えたりします。一方でお寺の奥さん(坊守)の場合だと規模が小さかったりします。

お寺の人間の葬儀はお寺の本堂が葬儀会場となり、参列する僧侶の数や葬儀時間は長くなりがちです。

しかしお寺の人間(僧侶)の葬儀だからと言って、一般の人と違ったお勤めや儀式をしたりということはありません。同じような流れで一連の葬送儀礼が執り行われます。

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