僧侶のかっけいです。
長いことお参りに行きますと、どうやら皆様はお坊さんにいつお茶を出したらいいのかわからないそうです。またお茶の出し方も悩まれているそうです。
正直なところ正式なルールというところはなく、お坊さんによって言うことは違ってきますし、お茶を差し出しても一切飲まない人もいるそうです。
ただお坊さんがお参りに来られたおもてなしと言いますか、失礼にならないようにお茶を出してくださるとうれしく感じます。
今回は浄土真宗お坊さんの私が、お茶を出すタイミングについてお答えします。それとお茶の出し方も。
お茶出しの要点
- お茶を出すタイミングは、お参りに来た時と、お勤めが終わった時。
- お茶を出すときは、お盆に乗せて運び、畳に直置きではなく、茶托の上に置く。
お茶を出すタイミングは最低2回
お茶を出すタイミングは最低2回あります。
- お坊さんがお参りに来られた時
- お坊さんがお勤め(読経)を終えた時
この2点を守っていただければとりあえず全国どの地域でも通用するのではないでしょうか。
お坊さんがお参りに来た時に最初に飲み物を出すのはウェルカムドリンクのようなイメージですね。
お坊さんは家にあがりますとまず一番にお仏壇に合掌します。ついで家の人に挨拶をしお勤めをするための用意をします。袈裟や法衣に着替えたり、お仏壇にお香やお蝋燭に火を灯します。
お参りに来てからお勤めをするまで控える時間があるので、この間にお茶を差し出すのが普通ではないでしょうか。
なお、お坊さんが来たときに出す最初のお茶には、お茶菓子は食べる時間がないので不要だと思います。食べると唾が口の中で溜まって声を出しにくくなります。
そして読経後にも飲み物を用意します。
お坊さんはお勤めが終わるとささっとは帰らないですよね。
衣や袈裟を脱ぎますし、家の人と雑談することもあります。お布施も預かりますよね。
お経を10分も20分も読み続けるとお坊さんも喉が渇いていますので、飲み物を飲みたいものです。
法事ではお茶を出す回数が多くなる
浄土真宗の法事はお勤め時間が長いことで有名ですよね。私が住んでいる田舎だと最低1時間、通常1時間半から2時間程度かかります。
真言宗や禅宗などの他の宗旨でも法事になりますとお勤め時間は長くなりますね。
なぜなら読経の途中で、中休みと呼ばれる途中休憩があるからです。
この読経と読経の途中休みの時にお茶を出します。
- お坊さんがお参りに来られた時
- 中休みの時
- お坊さんがお勤めを終えた時
- (法話をする時)
中休みが2回以上あるときは、その都度新しくお茶を用意しましょう。
ちなみにですが、上で紹介したお茶を出すタイミングはお坊さんに限らずお参りの人にもあてはまります。
浄土真宗の場合は法事の最後はお参りのほうへ振り返って法話をすることもあります。このタイミングでお茶が出ますとお話がしやすかったりします。
個人的に嬉しいのは読経中にもお茶を出してくれること
これはお坊さんによって好みが分かれそうですし、不要だと考える人もいるでしょう。
ただ私はお勤めの最中に横に飲み物が出ていると、非常にありがたいです。
お坊さんはお勤めの時大きな声を出してお勤めをしますよね。ぼそぼそと声を出さずに後ろにいる人・お参りの人に声が届くように。
すると10分、20分、30分とお勤めをしますと、だんだん口の中が乾燥してきて声が出なくなるんですね。
浄土真宗の場合、報恩講参りの時は一日中お勤めをしていることもあるので喉が枯れて全く声が出なくなってしまいます。
「お勤めの最中ではお茶は飲めないでしょう」と思われるかもしれませんが心配ありません。
お経文の中にも節目(本でいう章分け)があり、おりんを鳴らして区切りをつけるところがあります。その時さっとお茶を飲むことができます。
私は喉が渇きやすいタイプの人なので、読経中にはお茶を出してほしいです。なお、衣に引っかからないように斜め前においてくださると助かります。
【個人的に嬉しいお茶のタイミング】
法事のように読経が複数回ある場合はお茶を出す回数が多い。
- お坊さんがお参りに来られた時
- 読経中
- 中休みの時
- 読経中
- お坊さんがお勤めを終えた時
- (法話をする時)
報恩講やお盆参りのお茶出し
浄土真宗では11月12月あたりに報恩講参りがあります。他の宗旨では7月8月にお盆のお参りがあるでしょう。
報恩講やお盆の時期はお坊さんはご門徒さんの家に次々とお参りします。そのため朝から昼までず~と外に出かけているため何度も飲み物をいただくことになります。
お参り先ではトイレ休憩もしにくいので、お茶を出す回数を減らしてあげた方がいいかもしれません。
祥月命日やお盆、報恩講などのお勤めの時。
- お坊さんがお参りに来られた時、もしくは読経中に
- お坊さんがお勤めを終えた時
法事のお茶の出し方。お盆はお茶を運ぶ道具
法事のときはお坊さんだけでなく、お参りの人たちにもお茶を出します。
中休みのときには、大量にお茶とお茶菓子を用意しないといけないのでマナーもあまり気にされません。でも「お盆はお茶を運ぶ道具」という認識はあった方がいいでしょね。
畳の上に茶碗を置くときは、茶托を用意してください。
お茶の出し方
- 茶碗の7割程度にお茶をそそぐ。
- お盆に茶碗と茶托をわけておく。(茶托は重ねてOK)
- お盆でお茶を運ぶ。
- お盆を置き、お盆の上で茶碗を茶托の上にのせる。
- お茶を両手でさしだす。
お茶を注ぐ量を7割程度にするのは、お茶を運ぶときにこぼさないためです。
慌ただしい時には、お盆を持ったまま片手でお茶を差し出す人もいますが、できればお盆はいったん下に置いて両手で出してくださると丁寧です。
茶托があれば畳やフローリングの上でも問題ないですよ。
お盆は置きっぱなしにせずに、運び終えたらそのまま持ち帰りましょう。
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お茶を出すタイミングはお坊さんに聞くのがベスト
お茶を出すのはお参りに来られた時と、お勤めが終わった時の2回を守っていただければとりあえず大丈夫です。
それ以上にお茶を出す必要があるかはお坊さんに聞いていただければありがたいです。
お坊さんによっては飲み物を出されてもほとんど飲まれない人もいますし、私のように出されたら出された分だけ飲む人もいます。
その時には、熱いほうが冷たいほうがいいのかや、飲み物はお茶がいいのか紅茶がいいのかコーヒーがいいのかなども聞いていただけたらなお丁寧かもしれません。(案外コーヒーが好きなお坊さんは多いですよ)
関連記事:コーヒーが好きなお坊さんは結構多い
関連記事:お坊さんの私が好む飲み物
一度聞いておけば、このお坊さんの好みがわかるでしょうから、次回からの飲み物の種類や差し出すタイミングで悩むことはなくなるでしょう。
地域性などにより正しい答えがない以上、お茶を出される回数は多いほうが丁寧なような気もしますが。