僧侶のかっけいです。
お坊さんがお参りに行きますと、必ずと言ってもいいほど飲み物の接待をされますよね。
別にお坊さんでなくても、外から来客がやって来ますとお茶などの飲み物を差し出しますね。
今回はお坊さんの私がお参りに行ったときに出されると嬉しい飲み物についての話です。
一般的には緑茶がよく出されますが、緑茶以外も好きですよ。
お坊さんへの飲み物はお茶じゃないと駄目なのか
いいえ、お茶だけとは限っていませんよ。
お茶以外の飲み物を出しても全く問題ないです。
それは一般の来客(サラリーマンや顔見知りの人など)と同じで、例えばコーヒーでもいいのです。
しかしなぜでしょうね。
「お坊さんの飲み物=お茶(緑茶)」とイメージが固まっているのかもしれません。
私もご門徒さんの家にお参りに行きますと、体感的に9割程度はお茶ですね。それほどまでお茶が多いのです。
お茶出しの意味
さて人が訪ねてきますとお茶出しやコーヒー出しといったように、飲み物の接待をしますよね。
でもですね。飲み物を出してもほとんど口にしなかったり、少しだけ口をつけたりと、はたしてこの飲み物を出すことに意味があるのかと思われる人もいるかもしれません。ご門徒さん宅に続けてお参りするお坊さんは、お茶を飲まないこともあります。
でもきちんと意味はありますよ。
一般的には「おもてなし」のこころですね。
訪ねてこられた方には敬いの思いをもって表現しますよね。なるべく失礼にならないように。
その言葉だけでなく飲み物の接客というのは、わざわざ出向いてくださったことへのお礼やねぎらいの意味もありますし、くつろいでいただく・落ち着いていただく思いがあります。
相手のことを思いやる気持ちがこのお茶出しにはあります。
また僧侶へのお茶出しにはさらに別の意味もあります。
喉の渇きを癒すために用意します。
お坊さんは読経をするときに大きな声を出しますし、一度読み始めるとしばらくは発声し続けます。
またお勤めの後ではお話をすることがあります。
このようにお坊さんはお参りの時は声を出し続けているのです。それも休みなしで。
これがセールスや議会などであれば、受け答えの会話があるので喉を休める時間があるのですが、読経や法話中ではそうはいきません。イメージとしては会議の時に演台に置かれている水差しのような役割ですね。
特にお坊さんはお盆参りや報恩講参りとなると一日に何軒もお参りするため喉がかすれていき、喉に潤いが欲しくなってきます。
読経中にも飲み物を出してくださるとうれしいです。
お坊さんへの飲み物はいつ差し出すのか?
基本的に来た時と読経が終わった時の2回出します。読経中に出してくださってもOKです。
- お坊さんがお参りに来た時。
- 読経が始まって少ししてから(読経中)。
- 読経・説教が終わってから。
法事などで読経と読経の間に休憩タイム(中休み)がある場合は、この時にも飲み物の接待をします。
それぞれの出す意味としては上でも説明したように、お参り時にはおもてなしの思いで。読経中は喉の渇きを癒すため。中休みやお勤めが終わった後はくつろぐ・リラックスするためです。
ただしこれは家によって違いますし、何度も何度も出さないといけないわけではありません。最初のお参りに来た時だけしか飲み物を出さないところもあります。お坊さんにお茶を出すタイミングとお茶の出しの方について書きました。
私が出されて嬉しい飲み物3つ
さて本題に入ります。の前に注意事項があります。
お参りに来た時や読経中の飲み物ではなく、お布施を預かるときや家の人やお参りの人と雑談をする時間での飲み物のことです。
ウェルカムドリンクや喉を潤すための飲み物ではなく、雑談をする時のリラックスする時の飲み物です。
- コーヒー
- 紅茶
- ほうじ茶
私にとってうれしい飲み物はコーヒーです。できればインスタントでないものがいいです。2つ目が紅茶です。
意外と思われるかもしれませんが、お坊さんはお茶以外の飲み物が出てくると喜ばれることがあります。
なぜならお茶を飲むことに飽きているから。
冒頭の方でも触れましたが、体感的にお茶がお参りの時に出されるのは9割以上です。
お茶もおいしいのですがどこをお参りしてもお茶ですので、その状態の中でコーヒーや紅茶が出てくると非常に嬉しい気分になります。(単純に私が好きだというのもあるのですが。)
ちなみにお寺さん同士の集まりでもよくコーヒーが出されます。やっぱり他のお坊さんもお茶に飽きているんじゃないかな?
関連記事:お坊さんはコーヒーが意外と好き。
私はお茶の中では、ほうじ茶が一番好きです。(他のお茶も好きですよ。)
茶葉が焙じられており、香りが引き立っていますし、口当たりもいいですよね。それに何となく落ち着きます。緑茶・抹茶・煎茶・昆布茶などお茶にはたくさん種類ありますが、ほうじ茶が今は特に好きな状態です。
なぜお茶(緑茶)が好まれているのか
なぜでしょうね。私は理由を4つ考えてみました。
- 素早く大量にお茶を用意できる
- 飲みやすく万人受けの味
- 緑茶は日本の文化だから
- 唾がたまらないから
お茶はコーヒーや紅茶と違って素早く差し出すことができますね。普段から飲んでいるので、手慣れているからかもしれません。
もちろんインスタントの飲料が増えてきているため、紅茶やコーヒーでも素早く出せる状態ではあるのですが、若い人がいない家では用意していないこともあるので、お茶の方が手間がかかりにくいです。
コーヒーや紅茶は大好きな人は好んで何度も飲むのですが、お茶とは違う癖があり、人によっては嫌う人もいます。ミルクや砂糖がないと飲めない人もいるため、お茶で接待をするよりもハードルが高く人を選びます。
お茶は日本人なら幼いころから飲んでおり、嫌いな人は少ないでしょう。苦いお茶は別ですが。
お茶は奈良・平安時代に中国からもたらされたらしいですね。
日本に伝わった後は、僧侶や貴族の間で飲まれるようになりましたし、鎌倉時代以降では臨済宗開祖の僧侶の栄西によって「喫茶」としてお茶の有用性が広まりました。
その後の時代ではお茶は武士だけでなく江戸時代以降は一般大衆にも広くお茶が親しまれるようになり、お茶とのかかわりが古くから続いており、お茶での接客が日本の文化の一つになっているのではないでしょうか。
さいごにお坊さんだからよくわかる理由に、唾が口の中にたまらないことが大きい理由だと思います。コーヒーや紅茶など味のある飲み物は口を動かしますとどんどん唾が出てきます。
読経中はつばを飲み込みにくいので、お勤め前には緑茶のようなスッキリした飲み物がいいかもしれません。
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さいごに。お茶の種類はなんでもいいよ
お坊さんに接客としてお茶を差し出すことは当たり前の光景だと思います。
僧侶=お茶という観念になっているかもしれません。
確かにお茶は飲みやすく嫌いな人は少ないでしょうし、唾も出にくいのでお勤めもしやすいです。でもお坊さんにとっては、お茶を飲むことに飽きが来ているかもしれません。
私の経験上、お茶以外にコーヒーや紅茶で接待してくださる方は、言葉遣いや作法が丁寧な方が多いような印象です。
ちなみにですが今回の話は私が出されてくると嬉しい飲み物を挙げただけですので、他のお坊さんには当てはまらないでしょうし、これ以外の飲み物でも十分な接待を受けています。
家によっては法事のお参りに行きますと、毎度茶席を用意して下さり、品のある器に抹茶を点てて下さっています。これも非常に有難いお接待です。
お茶も緑茶がいいのかなあ。それとも番茶がいいのか、煎茶がいいのかほうじ茶がいいのか考えてくださるかもしれません。でも正直なことを言いますと、おもてなしの心がこもっていれば、どんな飲み物がでても嬉しいものです。
もしもお坊さんに出す飲み物に悩んでいるのでしたら、お参りに来たお坊さんにぜひ聞いてみてください。