僧侶(お坊さん)になるには専門の大学に行かなくても大丈夫

浄土真宗僧侶(お坊さん)のかっけいです。

お坊さんというのは特殊な職業に感じますか?でも文化庁が毎年調査している宗教年鑑によりますと、仏教系の教師数はおよそ35万人もいます。仏教系の宗教法人数が8万4千くらいですので、多く感じますよね。(ちなみに神道系は宗教法人数が8万7千に対して教師数は7万6千人です)

35万人と聞きますと非常に多いと感じるでしょうし、いったいどんなカラクリがあるんだろうと疑問に思いませんか。

実は単純な話で、仏教系の宗教法人は寺族(じぞく)と呼ばれる人がいまして、分かりやすく言えば住職の家族のことを意味します。寺族がそのまま教師数とはならないのですが、多くの仏教系の宗教法人は家族も僧侶になっています。(ちなみに、宗教法人の代表者である住職は一名だけです)

さてこんな話を聞きますと、僧侶(お坊さん)になるのは簡単なのではないかとイメージしませんか。専門の大学・寺に勉強や修行をしなくてもいいのかと思うでしょう。

結論を言えば「僧侶(お坊さん)になるには専門の大学に行かなくても大丈夫」です。

だって私もお坊さんゼロの大学、香川大学で果樹学を学んだのですから。お坊さんになるのに関係ないでしょう。

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お坊さんになる条件は何だろうか。大学卒業じゃないよね

お坊さん(宗教年鑑の表現だと教師)は35万います。1000人中3.5人がお坊さんということですね。適切な例ではないですが、例えば80歳や90歳のお坊さんは大学に進学していたのでしょうか。していない人も多くいるでしょう。これだけで大学卒業がお坊さんになる条件ではないことが分かるでしょう。

じゃあどうやってお坊さんになればいいのでしょうか。

答えは特定の宗派の本山から僧侶として認められれば「その宗派の僧侶」になります。それを一般に「得度(とくど)」や「受戒(じゅかい)」と言いますよね。

ただし注意があります。お坊さん(僧侶)になると言っても、その宗派のお坊さんということですよ。例えば私は真宗興正派の僧侶です。これは本山興正寺で得度を受けたからです。浄土真宗の興正派のお勤め・教義・作法を守り伝えていくのがその宗派の僧侶の役目です。

ですので、一人のお坊さんが「真言宗、浄土真宗、天台宗、日蓮宗の僧侶であり、なんでもお勤めできる」というのはおかしいのです。あくまでその特定の宗派のお坊さんとして認められているのです。(都会の方だとどんなお勤めをしますと人もいますが、おそらくお坊さんじゃありません)

仏教系の大学に行かなくてもお坊さんになれる

仏教系の大学(学校)は全国にたくさんありますが、有名なのは龍谷大学(りゅうこく)・大谷大学(おおたに)・中央仏教学院ですかね。

一般の人はどういうわけか、お坊さんになるには必ず仏教系の大学に行かないとダメとイメージするようですが、そんなことはありません。だって私も行ってませんし。

ただ実際、上でちょっと触れましたように寺族関係の人がたくさん入学しています。いわゆるお坊さんの卵ですね。

仏教系の大学(学校)は仏教に関する専門の勉強ができるので、将来お坊さんになる人やお寺に関する仕事をする人はそこで学ぼうと入学します。例えば龍谷大学だと真宗学科と浄土真宗を深く学べる学科があります。

すでに僧侶になっている人もより深く仏教を学べますし、これから僧侶になる人も各宗派本山で僧侶や資格を取るのが楽になります。

僧侶になるのはそんなに難しくない

お坊さんになるのは、各宗派本山の「得度」と呼ばれる儀式を通して仏門に入ればOKです。ただ仏門に入ると言っても厳しい修行をしたり頭を丸めたり、山に籠れといっているのではありません。

宗派ごとの得度・受戒の重みは私には分かりませんが、得度をするというのは、仏法に出あい、仏教を学ぶ姿勢を持ち、仏法を通して豊かな人生を歩むことにあります。得度をする時からバリバリの僧侶としての気質を備えている必要はありません。得度をしてから少しずつ学んでいけばいいのです。

もちろん一般の人もお坊さん(僧侶)になれますよ。

ただし僧侶になるというのはその宗派の僧侶と認められ僧侶の籍が与えられることになります。つまりどこかの宗教法人(宗教施設)に所属する必要があります。「師匠の僧侶を見つけなさい」という人もいますが、それはどこかの宗教法人に属している僧侶になれということです。簡単なイメージだと会社員みたいなもんです。

余談になりますが、浄土真宗の場合は帰敬式(おかみそり)という、わざわざ僧侶にならなくても仏門に入る自覚を持つ儀式を受けられるので、無理に僧侶になる必要はないですよ。僧侶はどこかの宗教法人に属さないといけないので。

僧侶になるのと住職になるのは同じじゃない

僧侶になるのは難しくありません。僧侶になる儀式を受けてから、生涯少しずつ学んでいけばいいのです。

ただ住職になるのでしたら話は別です。

住職というのは宗教法人の代表者を意味します。お寺はそれぞれ宗教法人の許可を国から受けています。その代表者(住職)は一名だけです。

住職というのはそのお寺を代表し、門徒・信徒の信仰の場を守り伝えていく責任があります。ですので住職になるための試験があり資格をとります。それは宗派によって違うでしょうが、お勤め・声明・作法・布教などなど一定の能力がなければダメです。

もちろん門信徒や総代世話人の理解も必要でしょう。

ですので将来自坊の寺を預からなければならない人は、お坊さんになるのは簡単だあとふんぞり返るのではなく、寺を護持していくのに相応しい僧侶となれるように住職としての能力を身につけていかなければなりません。


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さいごに。私は一般の大学に行きながら本山で学んだ

まっすぐに最短でお坊さんになりたいのであれば、お坊さんになりたい宗派の本山で得度・受戒を受けることです。ただ僧侶になるということはどこかの宗教法人の施設に属することになります。そうなると会社員のようになり、自由はなくなります。

もしも純粋に仏教を学びたいのであれば、仏教系の大学に行くだけが選択肢ではなく、お寺の法要や講演会に参加すればいいと思います。

私の場合は9歳の時に得度を受けましたので、早いうちから真宗興正派の僧侶としての籍がありました。将来的には自坊の寺を預かることになるでしょう。楽な道を歩むのであれば龍谷大学のような仏教系の大学に行く手もあったでしょうが、仏教を学ぶのは大学だけではありません。

私は香川大学に行きながら本山がしている通信制の学院にも入学しました。40代50代のサラリーマンもいましたし、寺に関係のない仏教を学びたい気持ちのある一般家庭の人もいました。

仏教系の大学は確かに仏教を学びやすいでしょうし、お寺の子供は入学したくなるでしょう。でも仏教はそこに行かなくても学べます。僧侶になるのはおそらくあなたが想像しているよりもずっと簡単です。しかし僧侶になることよりも、仏教にであい、仏教をどう人生に活かしていくのか。そのことが大事だと思います。だから私の場合は回り道であっても一般の大学に入り、さらに本山の仏教を学べる学院に入り世代や境遇の違う人どうしの中で学んでいったのです。

僧侶(お坊さん)になるには専門の大学に行かなくても大丈夫です。僧侶には誰でもなれますし、ならなくても人生いつでも仏教を学ぶ機会というのはあります。

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