僧侶のかっけいです。
お坊さんがご門徒さん宅にお参りに来ますと、ほぼ必ずと言っていいほど座布団が用意されています。
普段お寺で読経するときには座布団を用意しないのですが、お仏壇にお参りに行きますと座布団が準備されていて有難いものです。
しかし半分くらいでしょうか。座布団の向きや裏表が正しくお飾りできているのは。
今回は座布団の置き方と、お坊さんの反応について書いていきます。
座布団の縦横と前後の見分け方。
長さの短い辺が膝頭・爪先に向くように。
ちょっとおかしな座布団の置き方。
上の座布団の置き方は何となく違和感がありますよね。
本当に微妙な差なんですが、横方向の長さが縦方向よりも長く感じませんか。これはおかしい。
正しい置き方。縦方向が長いのよ。
上の写真が座布団の正しい置き方です。
机のある辺が座布団の短い辺になるようにします。
座布団の縦横は微妙に長さが違っています。なぜなら正座で座る時に膝頭からつま先までの長さが、体の横幅よりも長いからです。
座布団の上に座った人が座布団からはみ出さない配慮が、縦横の長さの違いであり、さり気ない心配りとなります。ちなみに縦横の長さの違いはおおよそ3~6センチメートル(1寸から2寸)と本当にちょっとした差です。
縫い合わせが無い辺が正面。
座布団カバーは一枚布で作られています。つまりは3辺を縫い合わせて中に綿を詰める空間を作っています。
三辺は縫い目があるのですが、一辺だけは縫い目がありません。この向きが膝頭の方向つまり顔の正面方向になるように置きます。
慣れれば目を閉じていてもどちらが座布団の正面になるか分かってきます。
裏表は座布団中央のデザイン・綴じ方から判断。
さて縦方向の向きと正面方向が分かれば、ほぼ100%正しく座布団を置くことができるのですが、最後の疑問点があります。
それは座布団の裏表を知ることです。
大抵の場合は一枚布でできているので、正面方向に置いたときにデザインが逆さまにならないようにすればOKです。
ですが稀にどちらも裏表どちらも同じデザインで裏表に差がないこともあります。
そんな時は裏表を気にする必要もないのですが、もうひとつ、座布団中央の綴じ方から判別する方法もあります。
表面・裏面どちらにも房付きの座布団もありますので、簡単な覚え方はY字の綴じ方が裏だと覚えてください。
イメージとしては、正座した時の膝が一本の方向・正座した時の2本の脚が後ろの紐二本の方向。
例外の座布団もある。デザインのみで判断することも。
今回、座布団の前と後ろ方向・縦横方向・裏表方法の見分け方を紹介しました。
しかし座布団にも数多くの種類があります。
一辺が90センチ以上の大きな座布団もあります。すると正方形の座布団だったり、中には横方向の方が縦よりも長いことだってあります。
上の写真は自坊にある座布団です。一辺が約90cm程度の正方形です。また裏表両方に中央に房があります。
そのため縫い目と座布団のデザインでの二点で置き方を決めなくてはなりません。
またファスナーが付いている辺が後ろ方向と言われることもありますが、必ずしも正しいとは限りません。
上の写真の座布団も自坊にあるものですが、縫い目がない辺(正面方向)が写真上であり、ファスナーのついている辺は後ろではなく横方向です。(ちなみにこの座布団は綴じも房も柄もなく本当に裏表がありません。)
座布団によっては四方向すべてに縫い目があるのもあります。その時はデザインで前後ろを知るしかないことだってあります。
また表裏の見分け方で言った三方向の綴じ方も、全国では十字方向やバッテン方向の綴じ方もあり、必ずしも表裏を知る指標となるものではありません。
お坊さんは座布団の置き方がおかしくても文句を言わない。
縫い目がない辺が正面になりますので、お仏壇に座布団を置くときは縫い目が無いほうを向けましょう。
まあお坊さんの中にはマナーの厳しい人もいるでしょうから、「置き方がおかしい・直してください」という人もいるやもしれませんが、普通は言わないですよね。
だってさっきも言いましたけど、座布団にも色々あるんですよ。
全部が全部、長方形ということもなければ、四方向全てに縫い目があることだってあります。またその逆で四方全てに縫い目がないこともあります。本当に裏表・前後が判別不明の座布団だってあります。
自分が知っているからといって、得意げに言うのはどうかなあと思います。
相手から質問を受ければ「こういう見分け方もありますよ」と優しく教えるといいでしょう。
思えばお坊さんにとってお仏壇にお参りに行きますと、仏具の飾り方にツッコミを入れたくなることばかりです。でもいちいち文句を言いませんよね。
うるさく小言を言うのではなくて、座る時にこっそり直せばいいだけの事だけだからね。
さいごに。座布団の置き方まとめ。
まとめ
- 座布団の長い辺が縦方向・短い辺が横方向。
- 縫い合わせが無い一辺が正面方向。
- 房があるのが表面・房なしが裏面。
- 中央綴じがY文字なら裏面。
お坊さんやって知らないマナーだらけです。お参り先でご門徒さんに不快な思いをさせてしまっていることだって多々あるでしょう。
座布団の向き・面が正しくなくても座布団としての機能は何も失われていません。
座布団の置き方が正しくないからお坊さんが怒るということもないです。ただ座布団というのは家に来られた人の座る場所を示すものです。
何気ないところかもしれませんが、相手の事を思っているさり気ない心遣いとなるでしょう。
(ちなみに余談ですが、座布団はあらかじめ敷いているよりかは、来られてから運んでくるのがマナーだそうです。でも個人的には事前に用意してくれてた方が楽なんですけどもね)(マナーちゅうのはわからへんです)
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補足。仏具おりんに敷く座布団の裏表について
おりんの下に敷いている座布団の裏表や向きについての質問がありましたので解説します。
仏具おりんをのせる座布団も、人が座る座布団と同じく中央に房がある方が表面になります。
ただ人が座る座布団と違い四角形ではなく円形であることが多く、正面方向というのはありません。表裏だけ気にすればOKです。