真宗におけるお仏壇の必要性。

こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。

皆様は家にお仏壇がありますか?

現在ではお仏壇を持たない家庭が5~6割あるそうです。
(実はこの数字を見て、お坊さんの私は4割の家庭がお仏壇を持っているんだあ~、と思ったんですけどね。個人的には2割程度かなと思ってました。)

お仏壇を用意しないのにはそれぞれ理由があるのでしょうが、今回は真宗のお坊さんから見てお仏壇の必要性について説明します

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お仏壇は必要なのか、不要なのか。

極端なことを言えば、不要ですね。

現になくても生活できている人たちばかりではありませんか。

しかしお坊さんの私はお仏壇が家にあることをお勧めします。

お仏壇の必要性。

お仏壇の必要性は主に2点です。

  • 家の中心・家族の拠り所。
  • いのちとの繋がりを感じる場所。

仏壇とは仏様を安置し、拝むための場所です。

少しお仏壇の歴史を説明しますと、お仏壇が一般的庶民に普及したのが江戸時代以降とされています。このころから全国各地に仏壇屋ができはじめています。

なぜお仏壇が家に用意されるようになったのか。

それが上記2点の説明です。

真宗では朝・夕のお勤め(お参り)が蓮如上人以降勧められるようになりました。

しかし毎朝毎夕、仏様(ご本尊)をおまつりしているお寺にお参りするのは相当難しいはずです。

その解決策として家の中にお寺の荘厳を再現することでした。

家の中心に仏様をおまつりすることで、毎日必ずお参りすることができるようになったのは画期的だと思います。

またお寺のご本尊にお参りするのはただの形式的なことだけではありません。

仏様のお参りとは仏様や亡きご先祖に思いをはせることで仏法を確かなものとして保持させていただいているのです。
仏法とはいのちのつながりでもあるのです。

仏法も私たちの命もある日急にぽっと出てきたのではないですよね。

自分につながるたくさんの人たちのいのち・思いを通して今の自分につながってきているのです。

かつての朝・夕の家族そろっての仏壇参りというのは、今までのいのち、今まさにあるいのちに対して、そしてこのいのちを保つためにつながっている数限りないいのちに対するお礼参りをするための場所なのです。

また真宗では仏壇とは仏様を安置しお参りするための場所なのですが、やはり人情と言いますか、亡き先祖の過去帳(位牌)もお飾りして、その方を偲ぶためにも使われていますね。

お仏壇は不要なのか。

しつこいですが、お仏壇はあるべきだと思います。

現代では家族であっても個人の自由、「好き勝手に生きたらいい」、「あなたの人生」という風にとらえられています。

聞くところによると、家族であっても一つのテーブルで一緒に食事をとらなくなっているそうです。

お仏壇とは家族の集まる場所でもありました。

団欒という言葉は素晴らしいですね。

一つの木の上で言葉をもって互いの命がつながっている様子です。

お仏壇があり、家族ともにお参りができる家がなぜ素晴らしいのか。

それは家族であってもお互いの姿を見て語ることができ、ともにいのちに感謝できる場をいただけるからです。

確かに自分の命は尊いです。

しかしこの私のいのちは私だけのいのちではありません。

そのいのちに気付くご縁をいただくのが仏様参りですので、私はお仏壇があるべきだと思います。

もっと言えば、あるだけでは不十分です。お参りすることが肝心なのです。

ですので毎日、お墓やお寺にお参りできるのであればお仏壇は不要でしょうね。

実はお寺にもお仏壇があるのです。

さて最近では仏間を用意していない家が増えてきているそうです。

そりゃそうでしょ。お仏壇を置こうとしないのですから。

仏様を安置していないのに仏間って意味不明ですね。

新築時にお仏壇を用意しなかった家は、後に床の間を改造してお仏壇を迎えるケースをよく目にします。

本当は家を建てたときにお仏壇を迎えたらよいのに、イメージなのか家族に死人が出ないとお仏壇を迎えないことが多いようです。

さてお寺には本堂と呼ばれる仏様(ご本尊)を安置する建物がありますね。

真宗のお坊さんはお寺の敷地内(境内)に庫裏と呼ばれる居住建物を設けています。

ですのでお坊さんは毎日お寺の仏様にお参りすることができます。

しかしお寺の庫裏にも実はお仏壇(仏間)があるんですよ。

なぜだと思います。

それは本堂のご本尊とはすべての人に拝まれる仏様ですが、お寺の人間が住んでいる建物にある仏様とは、そのお坊さん家族が内々にお参りしている仏様なのです。

真宗ではお坊さんも家庭を持っています。

そして真宗のお坊さんはそのお寺を代々守っていく使命があります。

庫裏の仏様をお参りすることが家庭の中心であり、生活の拠り所であり、いのちのつながりの場所であるのです。

ちなみに真宗寺院の庫裏にある仏間のことをお内仏(ないぶつ)とも呼ばれています。


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さいごに。

お坊さんの立場から見れば、お仏壇とはぜひ用意していただきたいものです。

なぜならお仏壇にお参りするということはいのちに感謝するということなのですから。

お仏壇のお飾りは仏様の浄土世界を表しています。

先立たれたご先祖たち・先人たちが還られた世界を念じ、その縁を通すことでより仏法をいただけていくと思います。

最近では価格が抑えられた仏壇が出てきているので、金銭的なところではだいぶ楽になってきていると思います。


【余談】当寺にはお仏壇がありません。

お仏壇とは仏壇屋が独自にデザインしたお寺のミニチュア版なんですね。

ですので浄土真宗でしたら金仏壇が有名でしょう。
(浄土真宗のご本尊、阿弥陀仏のおられる極楽浄土は金色に光り輝いているとされていますからね。)

当寺にあるお内仏とは昔ながらのお飾りです。

仏様を安置している壁三方に金箔を貼って、瓔珞を吊り、蝋燭・香・華・供物をお飾りしています。

どのお寺のお内仏にもお仏壇があると思いますが、当寺では昔ながらの本当に仏様だけのお飾りする空間を設けています。

お仏壇が大事なのではなく、お飾りしている仏様が第一ですからね。


【余談】ご本尊(仏様)はご本山で求めましょう。

時々勘違いされている方もいますので説明しておきます。

お仏壇屋とはお仏壇を売っているのです。そしてその付属の仏具も販売しています。

ただお仏壇とは仏様を安置するためのただの入れ物です。

仏様をお仏壇に迎えてお参りすることではじめて意味を持ちます。

仏様(ご本尊)とはお寺からそれも宗派を代表するご本山から求めるのが正式です。

お仏壇屋も商売ですから仏像セットのお仏壇を売ることもありますが、正しく理解しているお仏壇屋ならご本尊は宗派の本山から授かるように勧められるはずです。

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