こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。
昨日の12月12日に当院円龍寺の報恩講法要は滞りなく勤修できました。
あとすることはお片付けですね。
運動会にしても発表会にしても何らかの集会は、後片付けまで済ませて、初めてすべてのことが終了したことになりますね。
仏事法要も同じことです。
法要時と平生時は区別しなければなりません。
ですのでお飾り(荘厳:しょうごん)も普段の時のお飾りにしないといけません。
今回は打敷(うちしき)のお話です。
打敷(うちしき)を破壇(はだん)する。
これが御本尊阿弥陀如来をお飾りしている荘厳(しょうごん)ですね。
色が鮮やかすぎて逆にごちゃごちゃしている感じに見えるかもしれませんが、
正面のお花の左横と下にあるきらびやかな布が、一般家庭の仏壇で見られる三角形型の打敷(うちしき)ですね。
一応正式名称がありまして、阿弥陀様の目の前にある台を上卓(うわじょく)、
大きなお花や蝋燭が置かれているところが高卓(たかじょく)と言われます。
一番右端の所にあるものは登礼盤(とうらいばん)と呼ばれ、真宗では報恩講法要などの非常に大切な御法要の時に導師がここに登りご尊前に参ります。ここにもきらびやかな布を掛けます。
報恩講法要が終わりましたので、その日の夜には後片付け(破壇:はだん)しましょう。
最初に登礼盤(とうらいばん)を片付けましょう。
これも報恩講法要が終わりましたら、しばらくは必要ありません。
登礼盤を片付けますと、なんとなしに浄土真宗のお仏壇で見る景色とよく似ていませんか、あれと同じ状態です。
ここからこの正面に見えている布(打敷:うちしき)を片付けます。
上卓(うわじょく)・高卓(たかじょく)に掛けられている打敷は天板といたで押さえられていますので、まずは上に置かれている蝋燭立て・華瓶(花瓶)・香炉・お仏飯などをよける必要があります。
これが重たくて数が多く面倒なのですが、これをせずに無精して布を取り出そうとするとお飾りを傷めたりしますので、丁寧に天板の上のお飾りをのけましょう。
取り出した打敷は丁寧に折りたたんで保管しましょう。またお寺の法要時にはお飾りをしなければなりません。
この写真が打敷を全て取り除き、お花やお蝋燭などのお飾りを元に戻した様子ですね。
お花が一対であったり、朱蝋燭であったり筆返しがあったりして通常時の荘厳には完全には戻っていないのですが、とりあえずこれで平生時の雰囲気には戻りました。
御本尊向かって左の御代前(ごたいぜん)のお飾り。
御本尊向かって右側の祖師親鸞聖人のお飾り。
左の余間壇も4幅の御絵伝を片付けまして、普段のお飾りに戻しました。
なぜこんなに急いで片付けるのかというと、 メリハリをつけるためです。
打敷とは御本尊にお飾りするもののひとつです。
でしたら常にお飾りしていたらいいんじゃないかと思う人もいそうですが、そうではありません。
例えば、平生時だと仏様へのお飾りは3具足といわれ、中央に香炉、左に花、右に蝋燭を用意します。
これが法要時・仏事になるとより豪華に5具足となり、左右に1対の花と蝋燭をお飾りし、お花は豪華にして蝋燭も白から朱色に変えます。
いつもの仏事も大切ですが、今日は多くの方が集まり、仏様とのご縁を確認させていただく特別な日と強調するために普段よりもより丁寧にします。
「信は荘厳より生ず」という言葉があります。
お荘厳というのはただ惰性でしていくのではなく、今日の仏事が仏さまとの有難いご縁であったと気づかさせていただくため、そしてお参りの方にも気づいていただくため、より仏様を豪華に荘厳します。
そして、仏様にお給仕させていただく姿を通して、真宗の教えが永代に渡って受け継がれていくものだと思います。
ですので、打敷とはテーブルクロスのように汚れ防止などの意味はなく、法要や仏事が終わればその日のうちに片づけをします。
そしてこの打敷は一般家庭のお仏壇でも同じことが言え、普段は丁寧にしまっておき、祥月命日や年忌法事、報恩講参り、正月、彼岸、盆などの大切な仏事の時にのみお飾りをします。
葬儀・中陰時には白無地色の打敷をお飾りします。
無い場合には打敷を裏返して使いますが、本当は別に用意できればなおいいと思います。
また真宗では三角形型の打敷を使いますが、
その他の宗派では四角形型の打敷を使っているそうです。
檀那寺で確認してみることをおすすめします。
もう一度言いますが、打敷は汚れ防止的なクロスの意味ではなく、仏様の周辺をお飾りする荘厳です。法要や仏事・法事が終わればその日のうちに片づけ(破壇:はだん)をしましょう。