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第293回目のラジオ配信。「浄土真宗のお寺の行事」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。
今回はお寺では一年間にどんな仏教法要・イベント行事をしているのかについて話していきます。
なおお寺での仏教法要は、仏教宗派やお住まいの地域、各お寺によって違うこともあるでしょう。
今回のお話は、香川県の西側にある丸亀周辺、浄土真宗のお寺での内容です。
まずは浄土真宗ではほとんどのお寺がやっているであろう大切な法要から紹介しますね。
報恩講という法要です。
報恩講とは浄土真宗の宗祖親鸞聖人のご命日のお勤めです。
皆様は浄土真宗のことを報恩講教団と言われているのをご存知でしょうか?
初耳ですか?
浄土真宗の一年は報恩講に始まり、報恩講に終わるという格言があるくらい、浄土真宗を象徴する仏教法要となっています。
報恩講という言葉は親鸞聖人のひ孫さんの覚如上人が書かれた報恩講式という言葉が元になっているようで、宗祖や阿弥陀仏のご恩に報じるお参りということです。
旧暦11月28日に亡くなられた宗祖親鸞聖人を偲ぶお勤めで、浄土真宗では各御門徒さんの家のお仏壇で報恩講のお参りをし、またお寺でも報恩講法要を勤めているわけです。
年末年始ごろにある報恩講法要。これが浄土真宗で一番大切なお寺の法要ですね。
本山では七昼夜、報恩講法要が七日間営まれています。
次に紹介するのが、春と秋の永代経法要です。
永代経法要は私の地域ではほとんどのお寺でしています。
多くのお寺は春と秋頃の年二回していますが、中には年一回のお寺もあります。
さてこの永代経法要という浄土真宗のお寺で行われている法要ですが、非常に誤解されやすい法要だと思います。
というのも一般の方からすると、永代経法要とは、亡き人先祖のために、永代供養、いわゆる追善追福の供養の法要だと思われているようです。
浄土真宗の永代経法要のことを永代供養の法要だと勘違いされています。
浄土真宗の永代経とは、永代読経の意味です。
仏さまをまつり、仏さまの教えを伝え聞いていくこの場所を守っていくようにということで、御門信徒の皆様が、永代経懇志、ご懇志冥加金をお寺に納めてくださっているわけです。
亡き人をご縁として、お寺に参り仏さまに手を合わし、仏法を聞き、この空間が子や孫へと永代永きに渡って続いていくようにという願いの元、開かれているお寺の法要です。
永代経法要に合わせて、お寺に亡き人のお骨を納められることが多く、それが永代納骨と表現され、その永代納骨でのお金が永代経だと勘違いされていらっしゃる方も多いかもしれません。
中には永代納骨のとき、しっかりとお金を納めたから、これでもうお寺にお参りしなくていい、お寺が代わりに先祖のためにお参りしてくれていると思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは浄土真宗の永代経法要の趣旨から外れています。
繰り返しますが、浄土真宗の永代経法要は、仏さまをまつり仏法を聞きいただいていくお寺の場所が、いつまでも伝わっていくようにという願いで勤られている法要です。
なので永代納骨したから後はお寺が永代のお参りをしてくれると思うのではなく、私も亡き人のご縁に永代経法要でお参りして、ますます阿弥陀仏のみ教えを聞いていく場になるようにと心がけていきましょう。
それと永代経懇志はお金だけとは限らないんですね。
例えば自坊円龍寺だと、皆様がお焼香されている本堂の大きなお焼香台、お話をする演台、本堂にあがるための手すりなど、お寺にお参りされる方のためにということで、これまでの人が永代経懇志としてお寺に納められてきたものです。
永代経はこれまでの先人たちの思いが今に、そしてこれからも伝わり続けられている法要です。
ちなみに永代経法要は春と秋に行われるので、お彼岸頃の彼岸会と合わせて法要をしているお寺もあります。
彼岸会・永代経法要とくっつけて表現しているお寺もあります。
お彼岸は春と秋の春分と秋分の日をはさんだ計七日間のことですよね。
太陽が真西に沈むころで、阿弥陀さまの西方浄土をイメージするのに最も適した時期ということで、彼岸会の法要が勤められます。
ただ私の地域では、彼岸会を単独で行っているお寺は少なく、彼岸会をするにしても永代経法要と合わせてしているお寺が多いと思います。
おさらいをしますね。
浄土真宗のお寺で一番大切な法要は、宗祖のご命日のお勤めである報恩講法要、そして、永代経法要です。
報恩講と永代経法要のみを年間の法要行事としているお寺もそれなりにあると思います。
ここからは、そのほかの法要行事・イベントを紹介していきますね。
香川では8月にお盆があります。
香川のお盆行事は、お墓やお仏壇にお盆の灯籠をお飾りしお坊さんがお盆の期間中お参りに行き、お盆が終わるとその灯籠を流し焚き上げる灯籠流し法要が勤められています。
お盆期間中に盂蘭盆会という仏教法要をしているお寺もあります。
全国には7月15日頃をお盆としている所もありますが、香川では8月がお盆の月です。
代わって香川では7月には夏参りというのがあります。
夏参りと言わず、半夏生のお参り、半夏参りと表現されることもあります。
半夏生とは7月1日2日ごろですよね。
香川県では昔から半夏生までに田植えを終えるようにと言われ、田植えが終わったあとに半夏のうどんを食べていました。
半夏が過ぎると田植えが終わり一段落するので、それで昔は香川のお寺では半夏参りとか、夏まいりというのがありました。
今でももちろん半夏参りや夏参りはあるんですが、やっているお寺はかなり少ない気がします。
8月7月の次は4月のイベントを紹介します。
4月には花まつりの法要があります。
花まつりは仏教を開かれたお釈迦様の誕生をお祝いする法要です。
4月8日に生れたことになっているお釈迦様をお祝いする法要であり、例えば私の属している本山では、春の法要のときに、花まつりを合わせて行っています。
私の住む地域では、4月下旬の国民の祝日のときに花まつりのイベントがお寺で営まれ子供会の子供達が参加していました。
それと4月には浄土真宗の宗祖親鸞聖人のお誕生の時でもあります。宗祖の誕生日の法要も花まつりや、春の永代経法要、彼岸会で勤められていたりします。
後はお釈迦様由来の法要としては、2月3月ごろの涅槃会、12月ごろの成道会というものもありますが、私のところではほとんど聞かないので、今回のお話では割愛します。
話しが長くなってきましたね。
そろそろ終わります。
一年の終わりには、除夜の鐘や除夜会というのがあります。
私の寺では大晦日の午後11時過ぎから私かっけいが寺の梵鐘を鳴らしています。そして午後11時45分頃から住職が本堂で除夜のお勤めをしています。
お参りに来られた方は本堂でまずは除夜会に参加し、それから除夜の鐘を鳴らしているのが円龍寺の大晦日の過ごし方です。
そして年が明けた1月1日の午前中には元旦会があります。
私の寺では寺のものだけで勤めていますが、お寺によっては、盛大にしているかもしれません。
最後、もうひとつ。
私の寺では毎年8月15日に納骨者の追悼法要をしています。
本山興正寺の霊山本廟でも同じころに法要が行われていて、自坊円龍寺では納骨壇をお持ちの方を対象に追悼法要を寺でしています。
最後駆け足になってしまいましたが、お寺の法要・行事・イベントにはこんなにいろんなものがあるんですね。
浄土真宗のメインとなる法要は、報恩講法要と、永代経法要です。
ご門徒の皆様はなるべく報恩講と永代経のお参りをしていただきたいです。
最後補足として、あまりイメージがわかないかもしれませんが、お寺でも結婚式、初参式、七五三があります。葬儀だけじゃないですよ。
結婚式や赤ちゃんの初めてのお参り、七五三といった、人生の節目となるめでたいイベントのお参りは、神社でするもんだと思っているかもしれませんが、お寺の場所でもやっています。
こういったイベントはそれぞれのご家庭ごとにタイミングが違っており、お寺から個別にお声掛けしてするお参りではないので、それで気がつかず、お寺ではやっていない、しないものだと思い込んでいる人も多いのかと想像して、最後、補足としてちらっと紹介させていただきました。
- 報恩講法要(11月ごろ~1月ごろ)
- 永代経法要(3月4月ごろ、9月10月ごろ)
- 彼岸会(春と秋のお彼岸ごろ)
- 盂蘭盆会・灯籠流し(お盆のころ)
- 夏参り・半夏参り(半夏生のある7月ごろ)
- 花まつり(4月5月ごろ)
- 宗祖の誕生法要(4月ごろ)
- 涅槃会(2月3月ごろ)
- 成道会(12月ごろ)
- 除夜会・除夜の鐘(大晦日)
- 元旦会・修正会(元日)
- 追悼法要(自坊では毎年8月15日)
- 結婚式・初参式・七五三・葬儀(依頼があれば)

黒太字の報恩講法要と永代経法要は、浄土真宗のお寺では必ず行われています。
涅槃会・成道会・花まつり(降誕会)といったお釈迦様由来の法要はやっていないお寺も多いと思います。
お寺でも結婚式や初参式・七五三といったおめでたい慶事のお勤めをします。
今回はお話しませんでしたが、私のいる金倉町では、旧正月に町内の五カ寺と神社を巡拝する「金倉一社五カ寺参り」があります。