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第170回目のラジオ配信。「大鐘とお鈴」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
この番組では香川に住む浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いお話をするラジオです。
170回目の今回は、お寺の大鐘を鳴らすこととお鈴を鳴らすことをテーマに話していきます。
さて今回で、早今年2回目のラジオ配信となります。
新型コロナ4年目、この前の大晦日は円龍寺に15名近くが除夜の鐘突きに来られました。
新年のお参りにもご家族そろって来られるのが増えたように、コロナに対する意識が変わってきたように感じます。
それで新年のお参りに来られた方の中から、寺の大鐘を鳴らしてもいいですか?という質問をいただきました。
私の寺はお参りの方にご自由に鳴らしていただいて大丈夫なので、その方はお帰りの際に鳴らしていましたが、お寺によっては自由に鐘を鳴らせないところもあるでしょうから、確認することは大事ですよね。
新型コロナウイルスの最初1年目や2年目は、大鐘や鈴を鳴らす紐を撤去していたお寺や神社も多く、その時は、鳴らしてもいいですかという質問をいただくことも少なかったでしょうが、今ではほぼすべてのお寺や神社で、大鐘や鈴を鳴らす紐が釣り下がっているので、ひょっとして鳴らしてもいいのかなあと思った人も多いことでしょう。
お寺の大鐘を鳴らすのには色んな意味があると思います。
例えば、私がこの前行ってきた四国八十八箇所霊場の竹林寺では、次の文言が書かれていました。
「鐘をついて仏さまにご挨拶しましょう」、「鐘をつくのは、いまからお参りにまいりますという合図です」と。
竹林寺は真言宗のお寺です。
真言宗ではそのような意味が寺の大鐘にきっとあるんでしょう。
一方で浄土真宗ではどんな意味があるのかと言えば、基本的には、お寺の場所で法要儀式のあることをお知らせするために鳴らす道具という扱いです。
ですので浄土真宗では、仏さまに対して、今参ったよとか、これからお参りしますよというご挨拶の意味はありません。
ただそうは言っても、お参りの人にしてみたら、ふだんお寺の大鐘を鳴らす機会というのはそうないでしょうから、お寺に行ったなら鳴らしてみたくなるものでしょう。
ですので浄土真宗のお寺でも、お参りの記念として鳴らしていただいていいと思います。
また梵鐘の梵の意味には、清らかなといった意味があります。梵鐘のあの独特な唸りのある響きは、仏さまの声、呼びかけといった願いもあることでしょう。
お寺の梵鐘をよく見ますと、浄土真宗だと、南無阿弥陀仏と仏さまの名が刻まれていたりします。
南無阿弥陀仏の音、仏さまからの呼びかけとして鳴らされてもいいと思います。
それと神社では鈴がありますよね。
神社本庁のホームページによると、清々しい音色で参拝者を敬虔な気持ちにするとともに参拝者を祓い清め、神霊の発動を願うものと考えられています。という説明があります。
神社ではお参りのさいに、鈴を鳴らすのは何の問題もないようですね。
さて続けてお仏壇に置かれているお鈴についてのお話をします。
他の仏教宗派のお鈴事情はまったく分からないので、浄土真宗のことだけをお話します。
浄土真宗では、お鈴は読経をするときだけ鳴らします。
なので、お仏壇にただ手を合わす時にはお鈴は鳴らしません。
またご法事とかで、施主の家にお参りした時、お供え物、ご仏前、お香典をお供えする時にもお鈴を鳴らす必要はないです。
理由は先ほど言った通り、浄土真宗ではお鈴はお経を読むときに、他のお参りの方たちと合わせるためのその合図として使われるものなので、仏さまに対して、今お参りしていますよといった呼び鈴のような使い方はしません。
浄土真宗では呼び鈴の意味はないので、お鈴はお参りのさいに鳴らす必要はないんですね。
またお鈴の音で先祖供養という意味も持っていません。
ただ浄土真宗以外では、お鈴を鳴らすことに何らかの意味を持たせているかもしれませんので、それはぜひその仏教宗派のお坊さんに尋ねてみてください。
ただし注意点として、浄土真宗だから絶対にお鈴を鳴らしたら駄目というわけではありません。
浄土真宗ではお鈴を鳴らすのに、呼び鈴や供養という考えがないだけであって、お参りされる際に、音を鳴らすといったアクションがないと手を合わしにくいのであれば、お鈴を鳴らしていていただいてもいいと思います。
「お鈴をならしてもいいですか」と聞かれると、きっと浄土真宗のお坊さんでも、どうぞご自由に、どちらでもとお答えすると思います。
以上で、今回の寺の大鐘とお鈴についてのお話しを終了します。
大鐘を鳴らすこととお鈴を鳴らすことは、仏教宗派や寺によって考え方が違うと思うので、気になる方はぜひお参り先のお坊さんに聞いてみてください。
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