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第238回目のラジオ配信。「香川の言葉・方言」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県のお坊さん、私かっけいの音声配信です。
今回は、香川県、讃岐で使われている言葉を紹介していきます。
年に一回程度の頻度で、香川の言葉を紹介していて、今回で4回目となります。
前回は比較的耳にしそうな言葉を中心に5・6個を紹介したと思います。
今回は、おそらく香川県の外では聞かないであろう珍しそうな言葉を中心に紹介していきます。
ちなみに私の紹介する香川の言葉・方言というのは香川県オリジナルの言葉ではなく、香川で実際に耳にする言葉、使われる言葉ということです。
さて、それでは一個目の紹介です。
「けんびき」という言葉です。
たぶん「けんびき」は想像しにくい言葉でしょうね。でも香川の病院ではお医者さんが「けんびき」と香川の人に合わせて方言を使ってくれることもあります。
「けんびき」とは疲れから出てくる体の症状のことで、肩こりであったり、頭や目が痛かったり、口周りが腫れたりする症状のことです。
特に口の中の腫物、口内炎は「けんびき」と言います。
医学的な言葉は分かりませんが、ヘルペスや発疹のような腫物ができるときも、香川では「けんびき」で言い表すこともできます。
さて「けんびき」に関連してもう一つ、香川では「できもん」という言葉があります。
「できもん」も「けんびき」に似た言葉で、腫れ物のことをさします。
できもんが方言かと言われれば何とも言えませんが、「できもんができた」とか実際に言いますからね。
で腫れものを表わす「けんびき」と「できもん」の二つですが、私は微妙に使い方が違っていると思います。
「けんびき」とは体の疲れがあることが前提です。
一方で「できもん」は体の疲れのあるなしに関わらず使います。
また「けんびき」は口内炎を指す言葉でもありますが、口周りや顔周りの腫れなど、目に見えるところで起きる症状です。
一方で、「できもん」は目に見える必要はないです。体の内でも外でもいいんです。
なのでたとえば悪性の腫れ物「がん」も「できもん」と言えます。
そういったように「けんびき」と「できもん」は似ているようでちょっと違います。
ちなみに「できもん」は「できもの」の言い方を変えただけじゃないのと思う人もいるかもしれませんが、香川では揚げ物のことを「あげもん」と言ったりしますので、まあ、香川の言葉の変化だと思ってください。
それじゃ続けて、田植えの今の時期、地域のコミュニティー・隣近所の人との会話で耳にする言葉を紹介します。
まずは「めんば」を紹介します。
「めんば」とは「となり近所の人」のことです。
大きく言えば「同じグループに所属している人」のことを指します。
例えばこんな風に使います。
たんぼに水を入れる時期だから、メンバの人と相談して、水を入れる日にちと順番を決めようとか。今お世話してくれてるのはメンバの誰かなあ。といったように使います。
英語のmemberみたいな感じですね。まあふつうは「隣近所の人、近くに住んでいる人」のような意味で使います。
田植えに関していえば「おがす」もありますね。
「おがす」とは「土を掘り上げる」といった意味です。
農家の人が大きな乗り物のトラクターを使って土を耕すのでもいいですし、家庭菜園とかでスコップでちょっと土を動かすのも「おがす」と言います。
地面の中に埋まっている土を地表面に掘り起こす、かき混ぜる、剥きだしにするといったイメージです。
次は「おろかに・おろか」です。
「おろか」は難しいですかね。植物に関する言葉です。
「おろかに」という言葉は、「おろかに生えた木」のように使います。
意味としては、意図せずに勝手に生えてきた植物という意味です。どっちかというと悪い意味で使うことが多いですね。
最近は耕作放棄地の畑や空き家が増え、手入れが不十分です。
そうすると、知らない内に植えてもいない大きな木や見たこともない植物が生えていることがあります。ああいうのを「おろかに生えてきたなあ」や「おろかばえ」みたいな表現をします。
意図せずに勝手に生えてきた植物を指すという意味で、特に手入れが行き届かない場所で大きな木や見知らぬ植物が生えてきた状況を表すのに使われる言葉です。
悪い意味で使うこともありますが、必ずしもそうではなかったりします。
例えば、私はお坊さんなので、ご門徒さんの家にお参りに行きますね。
すると、お仏壇には色とりどりのいろんな種類のお花が、それもお店では売られていないようなお花がお供えされていることがあります。
聞いてみると、畑で毎年おろかに生えるんです。きれいなお花だからお供えしています。といった返事があるんですね。
お野菜でも、シソみたいな植物は毎年タネがこぼれて、何もしなくても勝手に生えてくるでしょう。あれも「おろか」と言います。
意図せず知らない内に勝手に生えてくる植物のことを、香川では「おろか」といいます。
さていい時間になってきたので、次で最後にしますね。
最後は、「チャラ書き」です。
今の子供たちは使っているか分かりませんが、私が小学生だった20年以上前は学校で当たり前に使われていた言葉でした。
「チャラ書き」は岡山県の方言らしいですが、香川でも使う言葉です。
意味は「文字を慌てたげに汚く書くこと」・「(誰も読めないような)乱雑な文字を書くこと」を意味します。
たぶん標準語だと、「走り書き」や「殴り書き」といった言葉になります。
子どもは落ち着きがなく、文字をさっさと書きがちですので、そういった時に、チャラ書きはダメだよと言われるわけです。
香川でも割とよく聞く言葉、使う言葉だと思います。全国的にはどうなんでしょうかね。
さて以上で今回はこれぐらいにしておきます。5個くらい紹介できたと思います。
最後の「チャラ書き」は別として、他の言葉は「けんびき」とか「おろか」とか「めんば」とかはたぶん香川くらいでしか使ってないんじゃないかなあと思います。
次に香川の言葉を紹介するときがあれば、また一年後くらい先になると思うので、聞いてみたい香川の言葉があればご質問くださいませ。
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