僧侶のかっけいです。
お寺や神社というのは、想像以上に放火や窃盗などの被害があります。警察庁の出してる統計を見てみると神社仏閣への認知件数はここ数年、放火が十数件、窃盗が約7000件ほどあります。そのうち侵入窃盗数は2000ほどあります。ちなみに放火未遂・放火の疑いを含めると、放火の数は倍以上になります。
お寺や神社というのは皆様が思っている以上に犯罪が発生しているのです。毎日、全国のどこかで20件ほどの寺社仏閣が被害を受けています。
実はつい最近、近所の人から「あれはなんですか?」「カメラなの?」と尋ねられました。
「防犯カメラですよ」というニュアンスの返答をしますと、「なんでそんなの必要なの」という顔をされました。
私のお寺というのは地方の一寺院であり、重要文化財といった歴史上・芸術上の価値の高いものを保管しているわけではありませんが、それでも各々のお寺や神社というのは防犯を意識しなければなりません。
今回は『なぜお寺や神社に防犯カメラの設置をしなければならないのか』について書いていきます。
お寺や神社は公共性のある施設であり誰でも入れる
お寺や神社は公共性のある建物です。
お寺や神社は日が昇っている時間であれば年齢・性別・宗教問わず、どなたでも訪れることができます。不特定の人に対して開かれている場所です。
有料・無料や、管理者・代表者の常駐など、多少の違いは違いはありますが、観光客や参拝者は自由に入れます。
公共性のある建物であり誰でも入れるため、悪事をしようとしている人でも観光客や参拝者を装って簡単に侵入することができます。
そのため犯罪者にとって犯行しやすい環境なのです。
カメラの設置は犯罪抑止のため。監視が目的ではない
街中にカメラを設置すると、「監視社会」という言葉が使われたりしますよね。でも本当は「防犯社会」「犯罪抑止社会」のために設置しているはずです。
次のサイトで、詳しく違いを説明しています。『防犯カメラと監視カメラの違いについて』比較JPより
- 防犯カメラは、未然に犯罪を防ぐことが目的
- 監視カメラは、犯罪を防ぐよりも監視することが目的
防犯カメラは行動を監視するために設置するのではありません。ですのでカメラの存在を感じられるようにすることによって、犯罪をしにくい環境を作り出しているのです。そのため防犯カメラは目立つところに設置したり、夜間のライト機能が備えられている特徴があります。
一方監視カメラは監視する相手が決まっている場合に設置します。そのため犯罪の決定的瞬間を撮影するため、気が付きにくいようにこっそりと隠して設置します。
人気のないお寺や神社は危険。だからカメラが必要
住み込みの僧侶がいるお寺やお参りのある寺社仏閣は、人の目があるため窃盗や放火の被害はあいにくいです。
一方で、地域の小さなお堂や神主不在の神社では、賽銭泥棒や浮浪者など犯罪がおこりやすい環境になっています。
といっても上で説明しましたようにお寺や神社というのは誰でも自由に入ることができる場所です。そのため夜間、真っ暗な時分には身をひそめる場所が多く、建物侵入や不審火や窃盗がしやすいのです。
日中では人の目による防犯効果も期待できるのですが、夜間は人気が無いので、防犯カメラのライトアップや目立つ設置により人ができない防犯を補ってもらっているのです。
自坊でカメラを設置している場所は目立つ所
お寺にカメラがあったら嫌という人もいるかもしれません。
しかし私はこの前、京都旅行に行きました。すると訪れた有名寺社仏閣はどこもかしこもカメラを設置していました。
当然カメラを設置しても映らない死角というのは発生しますが、カメラを目立つように設置することによって昼夜の犯罪抑制に役立っているのです。
自坊ではカメラを建物屋外両方に設置しています。その設置場所は次のような基準で決めています。
- 人の出入りが多いところ:山門や玄関
- 火の気が発生するところ:お墓やご仏前の周辺
この建物の所有者は高い防犯意識を持っているんだということを訪れる人に見せることによって、自ずと犯罪や失火の防止につながるのです。
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今は家庭用の防犯カメラがあり、設置費用は少なくすむ
どうでしょうか、お寺や神社にも防犯カメラが必要な理由が分かったでしょうか。
あえて人目に付くように目立つところに設置することによって、悪意のある人から貴重な信仰の場であり公共性のある建物を守っているのです。
ですので被害を受ける前にお寺や神社はそうそうに防犯カメラを設置したほうがいいのです。
最近では家庭用の小型化された安価なカメラが売られています。電源もアルカリ電池ですむので、電気配線を組む必要もありません。
自坊では、「記録媒体内蔵」・「赤外線LED搭載」・「人感センサー自動録画」・「配線不要」とどこでも設置できるカメラを使っています。これでも7000円程度と低コストにもかかわらず、しっかりとした防犯対策となります。
お寺や神社ではさまざまな被害をあいます。
- 賽銭泥棒
- 若者・不審者のたむろ
- 境内への家庭ごみなどの不法投棄
- 不審者の出入り
- 不審火・失火
- 夜間の防犯
- 仏像・貴重品の盗難
- 落書きやイタズラ防止
などとこれらの被害を防犯カメラの設置により、人の目が足りない時間帯を補うことができたり、抑止力を発揮します。
車でも車載カメラを前後につけるようになってきているように、カメラによる抑止効果を期待してみてはどうだろうか。もちろん録画のできないダミーのカメラでもOKです。カメラの存在を意識させるだけでも十分な効果があります。
お寺や神社はみんなの建物。ちょっとした費用で防犯カメラを設置することによって犯罪が減るのであれば、お寺や神社の管理者責任者は積極的に導入するべきではないか。
ちなみに自坊のカメラは録画できますが、プライバシーの観点からいたずらに門信徒に見せるつもりはありません。もしも警察や裁判所から開示請求が来たならば、開示する程度になると思いますので、カメラを設置したからといってお参りの人のプライバシーが損なわれているわけではありません。
僧侶もおかしなこと・不審なことがあった時以外は録画をすべて振り返るわけではないので、お寺が監視のためにしているのではないことを知ってください。