新型コロナから5回目の春の法要。この5年を振り返る.#228

第228回目のラジオ配信。「新型コロナウイルス流行の5年を振り返る」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ内容まとめ
  • 自坊円龍寺では毎年4月4日に春の法要がある
  • 新型コロナウイルスが流行してから2024年で5回目の法要
  • 最初の年は国の対応が遅く、5月5日にずらしたのに、後から緊急事態宣言の期間になってしまった
  • 感染予防対策をしっかりとして春の法要をつとめた。
  • 意外にもお参りの人は多かった
  • 普段見ない人やこれまでお話を聞いていなかった人も最後までお参りしていた
  • 新型コロナウイルスのご縁と言えるかもしれない
  • 2020年の秋になると、春と違い法要をするお寺は多かった
  • 7月にはGotoトラベルやGotoイートといったキャンペーンもあった
  • 2021年の春には、世の中の人たちもだいぶ活動的になっていた
  • お寺の法要や仏事は感染対策をしつつ、世の中の状況を見て、徐々に戻っていった
  • 2022年には外国に旅行する人も外国からの旅行者もいた
  • 2023年には5類に引き下げられた
  • 今ではもうコロナを理由に人同士の集まりをなくすということは無くなった
  • 過ぎてみれば、5年もあっという間の出来事でした

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県にいるお坊さん、私かっけいの音声配信です。

2024年4月、今年度最初の配信です。

3月や4月はお彼岸や春の法要など、いろんなお寺で仏教法要がありますね。

私のいるお寺円龍寺でも毎年4月4日に、春の永代経法要をしています。

2020年から始まった新型コロナウイルスの感染拡大からはや5年目、5回目の春の法要となります。

ほんと、月日がたつのは早いですね。

東京オリンピックもついこの前あったばかりのように感じますが、もう今年の夏にはフランスのパリでオリンピックがあります。

今回のお話は、円龍寺での5回目の春の法要を迎えるにあたって、新型コロナウイルスが流行するようになってのこの5年間を簡単に振り返っていきます。

ただし、私の記憶や印象で思い出しながら話していきますので、ひょっとしたら事実と微妙に違うこともあるかもしれないので、その点には気をつけて聞いてください。

さて、私の記憶では、2019年の年末ごろ、中国の方で未知のウイルスが見つかったというニュースを聞いた覚えがあります。

あの時は、感染状況やウイルスの情報はまだ全然なくて、ニュースでもほんのちらっとしか言っていなかったと思いますが、私の中では未知のウイルスという言葉が引っかかってとっても印象的でした。

それからしばらく何事もなく2020年がやってきます。

2020年の旧正月はいつもより早くて1月下旬にありましたよね。

毎年、訪日観光客が年々増加していたときで、たしか2020年は4000万人を目標にしていたと思います。

それで、旧正月の春節に合わせて、その時の総理大臣の安倍晋三さんが中国に向けて、春節に日本に来てくださいねというお祝いのメッセージを送っていましたよね。

世界の国々ではウイルス感染が広がっていた時だったので、あのお祝いメッセージは、割と批判があったと思います。

それで春節が終わって2月に入ると、すぐにあの豪華客船のダイヤモンドプリンセス号や大阪のライブハウスで集団感染があって、それから日本も危機感が出始めましたよね。

それでも日本は世界で見たら感染者数はそんなに多くなく、香川にいる私の周りではあまり危機感はなかったです。

1月も2月も法事も当たり前にふつうにあって、法事のあとのお食事もありましたし、お葬式でも参列者が100人規模くらいのものもありました。

それが2月下旬になると、北海道や東京でクラスターと呼ばれる集団感染がいくつも発生するようになって、北海道が独自の緊急事態宣言を出しましたよね。

あのときは、日本はオリンピックの年だったり、安倍晋三元総理大臣が連続在任期間の記録をとろうとしていたときだったからか、なかなか国が動いてくれなかった気がします。

国が出さないから北海道に続き東京も独自の宣言をだすという流れになった3月終わりごろに、ようやくオリンピックの一年延期とかが決まって、それでようやく国が動きはじめた印象です。

今でも忘れられないですが、「新型コロナウイルスに打ち勝った証として完全な形で東京大会を開催する」と言った安倍元総理大臣のあの言葉がいまでも印象的でした。

いやオリンピックのことや、ご自分の在任記録ナンバーワンよりも、個人的には2月の段階で、はやく新型コロナウイルスについて動いてほしかったなあと思います。

あのとき、お彼岸のある3月の頃、香川では感染者数は1人か2人で、ほとんどいなかったと思いますが、私の周りでは、だいたい7割くらいのお寺が、春の法要を取りやめたと思います。

お彼岸の頃はまだ国は特に何も方針を出していなかったですが、半分以上のお寺が、お参りの受け入れをやめて、お寺の僧侶だけで仏教法要をしていた記憶があります。

私のお寺も毎年4月4日に春の法要をしていますが、大事をとって、ひと月ずらした5月5日に法要するようにお彼岸の頃に予定日を変えることを決めました。

そしたら4月になって急に国が動き出して、緊急事態宣言を出すようになったのがまた印象に残っています。

最初は七都府県でしたが、あとから徐々に対象地域が広がって、結局日本全体が宣言の対象地域になりましたよね。

宣言の期間が5月の大型連休が終わる時までだったので、ちょうど5月5日にずらした私のとこの春の法要に重なってしまいました。

あのときは、5月5日の春の法要をどうしようかと本当に悩みました。

政府からは4月1日からマスクが配られると言っても、私の周りでは誰もマスクが届いていなかったですし、消毒液も不足していました。

それでも大切なご仏事のご縁ですので、いろんな感染対策をして新型コロナウイルス1回目の最初の法要をしました。

例えば次のような対策をしました。

  • 通常は2時間の法要を30分に短縮したこと
  • 通常は15名ほどのお坊さんが出勤するが、住職と私の2人だけでお勤めしたこと
  • お参りの椅子どうしの間隔を縦横斜め2mと広くあけたこと
  • 本堂の外まわりの扉をすべて外して、風通しをよくしたこと
  • 各所に消毒液を置き、自由に使ってもらったこと
  • 定期的に柱や机や椅子を消毒しまわったこと
  • お参りの受付はお堂の外でしたこと
  • 本山布教使のご案内をとりやめたこと

こういったいろんな対策をして、緊急事態宣言の中、円龍寺の春の法要をつとめました。

宣言の期間中だったので、お参りの人は少ないだろうなあと想像していましたが、実際には、例年とそう変わらない人数がお寺にお参りしてくださっていました。

最後までお話を聞く人は5人もいないかなあと思っていましたが、それも意外なことに、用意した椅子が足りなくなるほどの人が聞いてくれました。

椅子の数を減らして確か22脚ほどを用意したと思いますがそれが足りなくなり、急いで本堂の縁にも椅子を追加で並べて、お話を聞いていただきました。

それとまた印象的だったのが、普段見ない顔の人や、お話を聞かれていなかった人も最後まで残ってお話を聞いてくださっていたので、そういった面では、新型コロナウイルスもありがたいご縁だったなあと思います。

こういう不安なときだからこそ、お参りに行こう・仏さまのお話を聞こうという思いが生まれたんだと思います。

さてそれで時はすすんで、2020年の秋になります。

秋になるとまた各地で秋の法要がありますね。

皆さん覚えていますかね。

2020年4月は緊急事態宣言や外出制限とか時短営業、アルコール提供の禁止とかいろいろ束縛がありましたが、秋になるとだいぶ緩んでいましたよね。

法事やお葬式、地域の集会、お祭りなどは、後でクラスターが起きて批判を受けたらいけないからかどこも消極的でしたが、お寺の法要で言えば私の体感8割くらいのお寺がやっていました。

実際、国の方も7月頃から「Go To トラベル」や「Go To イート」というのをやるようになって、旅行に行きましょう、食べにでかけましょうというキャンペーンをやっていましたからね。

どうもあの4月の緊急事態宣言のときの、渋谷や銀座に人がまったくいないガランとしたあのインパクトのあるテレビの映像の印象が、みなさんの頭に刻まれていると思いますが、実際にはあの映像は緊急事態宣言のときだけで、宣言期間が終わると、5月からは割と人は外に出ていましたよね。

私の住む香川県は、感染者数の少なかった地域で、2020年も4月から3・4ヵ月は新規感染者数は〇でしたし、2021年のコロナ2年目の春のときも累計の感染者数は1000人いっていなかったと思います。

だから割と私の住む香川では、仏教法要をしているお寺は多かったと思いますし、お参りの人もそれなりにいたと記憶しています。

ただし、感染予防対策はきっちりして、他のお坊さんの出勤を断わったり、椅子同士の距離を十分にとったり、消毒をきっちりしたり、マスクを必ずするといったことをどのお寺もしていました。

そういった感じで新型コロナウイルス2年目の2021年から、徐々に徐々に、通常のお寺の法要に変わるようになっていったと感じます。

2021年の春4月には私もちょっと用があって、京都に行きましたが、京都の東山、清水の方では、観光客の人数が戻っていたように見えました。

桜の花見も禁止されておらず、立ち止まらず歩いてみてくださいねと呼びかけられていました。

お寺の法要はいっぺんに変わったわけではなく、椅子の間隔を少しずつ近づけたり、本山布教使をお招きするようになったり、お坊さんのお参り人数が増えるようになったりと、法要のたびに、世の中の状況もみつつ、コロナ前の法要に戻っていきました。

特に2023年からは、かなり新型コロナウイルスが流行する前と同じくらいになりましたね。

すでに2022年の段階で外国に旅行する人も多くなってきましたし、外国から日本に旅行に来る人もいましたからね。

新型コロナウイルスも変異して感染力は強くなったと言っても、以前よりも怖いという印象は薄くなったのか、人の行き来・集まりもだいぶ再開されていました。

なので2023年の年があけると、法事とかでもおうどんが出る家もありましたし、中には法事のあとのお食事が振舞われることもありました。

もちろん、全部の家が全ていっぺんに変わったわけではありませんが、2022年頃から少しずつ、法事やお葬式、お寺での仏教法要は、以前のような形に戻っていったように感じます。

特に令和5年2023年の5月から新型コロナウイルスが5類に引き下げられてから、もうコロナが理由で規模を縮小するお寺は無くなった感じですね。

マスクを着けるというのは、今もずっと残っている習慣ですが、それを除けば、コロナを理由とする人同士の集まりをなくすというのはもうないですね。

私のお寺のご門徒さんのところで言えば、最近は法事やお葬式のあとのお食事もだいぶ以前のようにするようになってきましたし、おうどんが出る家も半分近くに戻った気がします。

コロナ一年目の最初の除夜の鐘のつきも私一人でつきましたが、ここ数年は除夜の鐘つきや、本堂での除夜のお勤めにお参りに来られる人も見られるようになりました。

この音声を配信するあさって4月4日、新型コロナウイルスの流行から5回目の円龍寺の春の法要を迎えます。

最初の年の3月4月は皆さん先行き不安な思いだったでしょうが、過ぎてみれば、あっという間の出来事でした。

切り詰めて短く話をしたので、話し足りないことはたくさんありますが、今回はここでお話を終えます。

この4年の間、コロナを理由に満足にできなかったこと、人との交流を含めていろんなことを抑えて避けていたことでしょう。

コロナが完全になくなったわけではありませんが、この新型コロナウイルスをご縁として、人と人とのつながり・関係を大切にする社会になってほしいなあと思います。

またそれに気がついていく場として、お寺の仏教法要や仏事にお参りしていただけたらなあと思います。

「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。



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