僧侶のかっけいです。
葬儀の喪主を務めることは人生においてそう何度もありません。よく分からないうちに葬儀が進み、よくわからないままに高額の費用を請求されることもあるでしょう。ましてや葬儀に関する制度なんて気が付かないこともあるでしょう。
葬祭業者に葬儀を依頼せずに安価に葬儀をする制度もあるのですが、今回の話は葬儀を終えたあとに補助金を受けられる公的な制度について紹介します。
【制度の要約】
- 申請しないと支給されない。申請期間もある。
- 葬儀された故人が国民健康保険、あるいは後期高齢者医療制度に加入していた。
- 葬儀を行った喪主のみが申請できる。
- 便宜上、ここでは葬祭費給付金制度(そうさいひきゅうふきんせいど)と呼ぶが、自治体により名称は異なる。
- 支給額も自治体の条例により異なる。(申請条件が異なることも)。3万~5万程度が一般的。
葬祭費の支給を申請できる条件と必要な物
各自治体ごとに支給額や申請方法は異なりますが、申請条件と用意するものにそれほど違いはありません。
ここでは私の住む香川県丸亀市を例に紹介します。
【申請できる条件】
- 亡くなった人が国民健康保険に加入していたこと。もしくは、(75歳以上が対象の)後期高齢者医療制度に加入していたこと。
- 葬儀を務めた喪主のみが申請できる。
- ただし、被用者保険などから葬祭費補助金に相当するものを受ける場合は給付されない。(例えば社会保険から埋葬料を支給された場合)
【申請に必要なもの】
- 国民健康保険証(世帯主が亡くなった場合は世帯全員の保険証)
- 葬祭を行った人(喪主)であることを証明するもの(運転免許証・会葬礼状・領収書・火葬埋葬許可証など)
- 葬祭を行った人の認印
- 振込先のわかるもの(通帳など)
- 亡くなられた方の個人番号(マイナンバー)がわかるもの
これらを用意しますと、役場窓口に行き「国民健康保険葬祭費支給申請書 」を受け取り記入します。振込口座だけでなく、死亡年月日や葬祭日も記入しますので確認を忘れずに。
後期高齢者医療制度による葬祭費給付を受ける場合も同様で、国民健康保険証の代わりに後期高齢者医療被保険者証を用意します。そして「後期高齢者医療葬祭費支給申請書」に記入します。
ちなみに丸亀市の場合は、国民健康保険による支給金額は故人一人に対して5万円ですが、後期高齢者医療制度による支給額は平成30年3月31日以前に亡くなった被保険者には5万円を・平成30年4月1日以降に亡くなった被保険者には3万円となっています。
申請期限は明記されていませんが、おそらく葬儀を行った翌日から2年以内だと思います。(2年を期限としている市町村がほとんど)
なお、国民健康保険の資格は死亡時に失うので、役場に「国民健康保険資格喪失届」の提出し国民健康保険証返却を返還しましょう。提出期限は2週間以内ですのでこの時に合わせて葬祭費支給申請書を提出すると楽です。「後期高齢者医療制度の資格喪失の手続き」も同様です。
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さいごに。自治体ごとに違いのある制度
正直なところ、支給額はそれほど多くありません(都会でも7万円が精いっぱいでしょう)。また社会保険や組合保険などから葬祭費が支給された場合は、支給をしない自治体もあります。
自治体の条例により細かな違いがありますので、申請する場合は役場窓口に尋ねるか、『葬祭費 ○○(自治体名)』で検索して確認しましょう。
自治体によっては誓約書を書くこともありますし、喪主が申請できない場合は代理人の申請を認めることもあります。もちろん委任状は必要ですが。またもしも保険料に未納がある場合、葬祭費を保険料に充当することもあります。自治体ごとに微妙に違いますので注意ですよ。
さいごに香川県内の自治体ごとの葬祭費をリンク先と合わせて紹介します(一部)。
- 丸亀市:葬祭費5万円(国民健康保険)、葬祭費3万円or5万円(後期高齢者医療制度)
- 高松市:葬祭費5万円(国民健康保険)、葬祭費3万円or5万円(後期高齢者医療制度)
- 観音寺市:葬祭費5万円(国民健康保険)、葬祭費3万円or5万円(後期高齢者医療制度)
- 多度津町:葬祭費2万円(国民健康保険)、葬祭費5万円(後期高齢者医療制度)
ちなみに香川県は国民健康保険加入者数は25万人ほどいて、葬祭費として年間1500件・7000万円ほど支給しています。年間の死亡数が約1万人ですので申請していない人も多いんじゃないかな(もちろん他の手当てを受けている可能性もありますが)。