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第66回目のラジオ配信。「海上タクシー」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
先日2020年11月19日に、香川県の坂出市沖の瀬戸大橋そばで、約60人が乗った海上タクシーが沈没する事故がありましたね。
沈没したニュースを聞くと、海上タクシーってなんか怖い乗り物なんじゃないの?、乗らない方がいいのかなあって、思う人もいるかもしれませんね。でも私は海上タクシーは便利で、おすすめな乗り物だと思っています。
今日は「海上タクシーっていいよね。海上タクシーの良さ」をテーマにしてお話します。
まず最初にこれからの話がわかりやすいように、海上タクシーのメリット・デメリットをまとめて紹介しておきます。
海上タクシーのいい点は、乗る人・利用者の好きな時間に港を出発できます。そしてフェリーの行かない港や島にも行くことができます。
目的の島にまっすぐ向かうことができるので、移動時間が短くすみます(あとフェリーよりも移動が早い)。他のお客さんの迷惑になりにくいメリットもあります。
デメリットは、フェリーと比べてちょっと料金がお高めになることと、揺れが違うので人によっては船酔いをおこすかもという2点です。(車や自転車はのせられないこともある)
海上タクシーのメリットとデメリットをまず紹介したので、ここからはもう少し詳しくお話していきます。
そもそもですが皆さまは「海上タクシー」という言葉、乗り物はご存知でしょうか?香川県の人もあんまり海上タクシーを知らない・利用したことがない乗り物だと思います。
簡単に言ったら、文字通り「海の上のタクシー」です。
香川県では「海上タクシー」という言い方が一般的ですが、地域・船会社によっては、水上タクシーや海上バス・水上バス、マリンタクシー・チャーター船とかもいいます。
でも香川では海上タクシー・海の上のタクシーが一般的です。
おそらくですけど、海上タクシーが一番よく使われる時期、有名になるのは3年に一度開かれる、香川県の島々をメインとする瀬戸内国際芸術祭のときだと思います。
私も今から7年前の第2回の瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)の時に、海上タクシーを利用しました。
私が利用した時は10人ほどのメンバーで集まって、香川県の西にある丸亀の港から出発して、東に進んで瀬戸大橋の下をくぐって、今回事故のあった与島のそばを通過して、高松の港に寄ってそこで待ち合わせしていた5人と合流して、そこから瀬戸芸の会場の豊島や犬島や直島とかに行っていろんなアート作品を見てきました。
もちろん行きも帰りも途中も全部海上タクシーで移動して、帰りも高松港に寄ってメンバーを数人おろして、また瀬戸大橋の下をくぐって丸亀の港に帰りました。私の時は海上タクシーをまるまる一日貸し切りで使ったんですね。
例えばですが、私たちが香川県で一番大きな島でオリーブが有名な小豆島に行こうと思ったら、橋が無いので何か船に乗らないといけないんですね。
で船に乗るといったら、フェリーという乗り物が一般的です。
フェリーというのは大きな乗りもので、人も100人以上乗れたり車も運ぶことができて、大量にいっぺんに運ぶことができる大変便利な海上移動方法です。
フェリーは瀬戸内国際芸術祭のときも非常に多くの人が利用して、利用者の数に対応するためにフェリーの便数を増やしていました。
でも私たちはフェリーを使わずに、あえて海上タクシーを使って瀬戸内の島々をめぐりました。それはやっぱりフェリーにはない魅力・よさが、海上タクシーにあるからです。
海上タクシーの良いところの一つは、港を選ばないことです。
フェリーは車も人も運べるため、船が大きいです。そのためか止まることができる港も限られています。また高松の港なら小豆島や豊島や直島など、高松の港に近いところにしかいけないのがほとんどで、丸亀の港からなら本島や牛島、多度津の港なら佐柳島や高見島といったように、狭い限られた範囲しか行けないんですね。
でも海上タクシーなら香川県の西にある丸亀や多度津の港から、香川県の東に位置する高松港や小豆島方面にまで行くこともできるんですね。これがとっても便利です。わざわざ高松の島々だからと言って、混みあう高松港のフェリーに乗らなくてもいいのは良いことですよね。
また大型の船のフェリーと比べて、小型の海上タクシーは、フェリーが着くことができない港にも自由につくことができるんですね。ですから島の中で行きたい目的の場所が前もって決まっているなら、そこに一番近い島の港にちょくに船をつけて行けるので、観光時間を短縮することができます。
目的地の島の港を自由に選べるのもいい点です。
もちろんフェリーが行かない島にも海上タクシーなら行くことだってできます。
次に2つ目のおすすめポイントは、海上タクシーは時間にとらわれることがないんですね。
フェリーというのは常には島で生活する人の行き来に使われるバスのような乗り物ですから、時刻表というのがあります。いわゆる定期船ですね。
フェリーは時間厳守で定刻で出発してしまうので、港に5分でも遅れてしまうと、また一時間くらい次のフェリーが来るまで待たなくてはなりません。そんな乗り遅れたことを考えてしまうと、フェリーの出発時間ばかり気になって、落ちついて観光することができません。
でも海上タクシーの場合、一日もしくは半日あるいは島同士の行き来することを契約して大きく借りているので、海上タクシーは利用者のメンバーが全員船に戻って来ないことには、出発できないんですね。
もちろん船会社や船を操舵してくれる人には、だいたい何時何分ぐらいに港に戻ってきますと約束しているので、その時間から大きくはずれないようにはしないといけませんが、5分や10分くらいの集合遅れはぜんぜん問題ありません。
お土産何にしようかなあ~と悩んだり、ちょっとお手洗いに行ったり、のんびりと慌ただしい食事をする必要はありません。
フェリーの旅と比べて海上タクシーは、しっかり島を観光できるのがいいですよね。
あと海上タクシーをしている船会社によって違うんでしょうが、船を借りたお金・操舵してくれる船長のお金というのは契約する時に前もって決まっているので、もしも都合が悪くなって、あそこの島に行くのをやめて帰りますといった急な話もできると思います。そんな風に融通が利きやすいのもいい点です。
フェリーだったら行き先が決まっているので、一度出発したらもう後は次の目的に着くまで予定を変更することができません。でも海上タクシーなら乗りながら変更が効いたりします。
3つ目のいい点は、海上タクシーは貸し切りの船なんですね。
これは瀬戸内国際芸術祭のときも問題になりましたが、フェリーは定期船でふだんは島の人も生活のために日常的に利用しているんですね。でも瀬戸内国際芸術祭のような100日間で100万人も観光にくるようなビックイベントになると、フェリーが定員オーバーで、地元の人が乗れない、話し声が大きい、飲食・ゴミがたくさん出る・地元の人が落ちつけないといった問題がでたんですね。
瀬戸内国際芸術祭のときの高松の港を見ると、アート会場に行くために港に人が群がって、行列をなしてフェリーに乗ろうとするんですね。
当然、フェリーの中では、地元の人や他の観光客に配慮してお行儀よく過ごさなければなりません。
でも海上タクシーは違います。
自分たちがまるまる船を借りていて、同じグループの人たちが利用しているので、他の知らない人は乗らないんですね。だから大きな声で話しして、「さっきの島よかったね」とか「こんどの島行ったらあそこ見に行こう」と楽しくわいわいがやがやと話することもできますし、飲み物を飲むこともできます。さすがに安全面からお弁当を広げて食べることはできないかもしれませんが、それでも船の移動中も楽しい旅ができると思います。
こんな風に海上タクシーの旅はとっても良いよねっていうのが、実際に利用した私の感想です。
ただデメリットもあります。
その1つは、料金がフェリーよりもお高くなることです。
フェリーだったら距離にもよりますが、二つの島同士を行き来するなら往復で1000円から2000円くらいするでしょうが、海上タクシーなら船会社や船の大きさや人数や一日か半日か2つの島を往復するかとか、条件によって料金体系は違ってくるでしょうが、フェリーの5倍から10倍くらいはすると思います。
一概にどれくらい料金が高くなるかはわかりませんが、フェリーよりかはお高くなるのは確実です。
もう一つのデメリットは、船の揺れです。
海上タクシーの種類にもよりますが、1人2人3人と少人数で利用する場合は漁船にちょっと毛が生えたようなもんで、波の穏やかな瀬戸内海でも結構揺れたりするもんです。
大型客船やフェリーに何度か乗って、私船の旅は慣れていますよという人でも、海上タクシーだと酔う人もいます。
フェリーは加速もゆっくりですが小型の海上タクシーだと加速も早くて波を切るように高速で海を走るので、大きな船と比べて揺れ方が違っていたり、顔が海面に近くて海の匂いがより強く感じられたりで、ひょっとしたら人によっては海上タクシーでの移動が合わない人もいるかもしれません。
さいごに今回の話のまとめです。
海上タクシーのいい点は、好きな港から出発できて、フェリーの行かない港にも行けることや、フェリーと違って時間厳守でなく、島でのゆったりとした観光ができること。また船を貸し切れるので、他のお客さんの迷惑になることもない点です。
デメリットは、フェリーよりも料金が高いことと、船の揺れ方が違うことです。
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