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第284回目のラジオ配信。「お坊さんの呼び方」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。
お坊さんとお話をするとき、声をかける時、なんて呼びかけていいか悩むことがありますよね。
たんにお坊さんでいいのか、それとももっとふさわしい呼び方があるんでしょうか。
今回はお坊さんの呼び方についてのお話です。
まず前置きから言いますね。
お坊さんの呼び方はたくさんあります。
たくさんあるんですが、仏教宗派やその方のお寺での立場、お住まいの地域など、状況によっていろいろ呼び方は異なります。
これ一つだけが正しいという、お坊さんの呼び方はないです。
例えば、私はここ最近、曹洞宗のあるお坊さんとメールでやり取りをしました。
私に対して「円龍寺山主」で文章が届くんですね。
山の主ですよ。
お寺には寺の名前の他、「○○山」と山の名前があるんですね。それで禅宗では、寺の住職に対して山主(さんしゅ・さんす)と呼びかけるそうなんです。
ただ浄土真宗の私の属する宗派では、山主なんて言葉は使いません。
そういったように、仏教宗派、地域、立場など、状況によってお坊さんの呼び方は変わります。
今回は、浄土真宗のお坊さんの私が話す内容であり、御門信徒の皆様が、お坊さんに対してなんて声をかけるといいかということを想定しています。
さて、まずはお坊さんに対して「お坊さん」と声をかけていいかどうかですね。
お坊さんにお坊さんと声をかけるのはもちろん大丈夫です。
お坊さんだと、丁寧さがないと説明されることもありますが、そんなことはないと思います。
話し方、態度、話しの内容で決まることであり、お坊さんの私はお坊さんと声をかけてもらって嫌な気もちになったことは一度もないです。
一方で、お坊さんのことを僧侶と言ったりもしますよね。
私のこれまでの経験で、お坊さんに僧侶と呼びかけた人に会ったことがありません。
僧侶はお坊さんよりもより丁寧でかしこまった表現らしいですが、僧侶と呼びかけることは実際なくて、お手紙・書き言葉として使うぐらいでしょうか。
なので僧侶とは呼ばなくていいです。
さてお坊さんに対してお坊さんと声をかけていただいたらいいんですが、他にもまだまだあります。
私に時々言われるのは、住職・御住職という言葉です。
この言葉はとても丁寧でいいんですが、困ったことが一つあります。
住職というのは寺の代表者、その寺の責任者ただ一人を指します。
なのでお坊さんに対して、誰もかれも住職住職とはいえないんですね。
実際、私自身、この寺円龍寺の住職ではないので、住職と声をかけられたら、むずむずした気持ちになります。
訂正はしませんが、住職ではないんだけどなあと心の中で思ってしまいます。
でも住職は丁寧な言葉です。
普段はお坊さんとお呼びして、お寺の代表者っぽい人には御住職とお声掛けするのが一番無難なんではないでしょうか。
さて他には和尚(おしょう・かしょう・わじょう)さん、方丈さん、お上人さんなどといろんな呼び方がありますが、浄土真宗ではこれらの呼び方をしないので、これについては私からは説明を省きます。
私のとこでは、お坊さん・御住職さん、この二つを覚えておけば大丈夫だと思います。
ただもっと良い呼び方があります。
それはお寺の名前で呼びかけることです。
例えば、私の寺だと、円龍寺なので、円龍寺さんとお声をかけていただけたらと思います。
たんにご住職ではなく、円龍寺の御住職さんとお声をかけていただけたらと思います。
これはお寺さんによって違うかもしれませんが、私の寺では、他のお寺さんに対しては、「○○寺さん」という風に寺の名前で呼ぶことが多いです。
最近はお寺の名前でなく、苗字や下の名前で呼ぶお坊さんも多くなった気がしますが、私の寺では、他のお寺さんのことを「○○寺さん」と呼ぶことが多いですね。
言い忘れてましたが、お坊さんのことを「お寺さん」と呼ぶのももちろんOKです。
むしろ私のとこの御門信徒では、お坊さんよりもお寺さんとお声掛けしてくれる人の方が多い気がします。
ちょっと話しが長くなってきてるので、駆け足で説明しますね。
ここまで、お坊さん、お寺さん、御住職さんの3つを紹介しました。
この他にも、例えば、坊守さんというのがあります。
もしかしたら仏教宗派によって違うかもしれませんが、一般的に坊守とは住職の配偶者のことをさします。
住職には御住職さんとお声掛けして、その配偶者には坊守さんとお声掛けしていただけたらOKです。
ちなみに坊守さんとは配偶者のことなので、住職が女性なら、その旦那さん、男の人が坊守さんになります。
どうも坊守さん=お寺の奥さんのイメージがあるようですが、男の人であっても、住職の配偶者であれば男の人が坊守さんになります。
ちょっと話しはそれましたが、お寺に電話をかけたとき、伺ったときに、住職の配偶者と話をするときは、奥さん・ご主人さんと呼ばず、坊守さんと呼んでいただけたらと思います。
もちろん奥さん・ご主人さんでもいいんですが、私の感覚だと坊守さんの方が丁寧な感じがします。
さて、最後に、私、お坊さんのかっけいに対して何て呼んだらいいかのお話をしますね。
私に対しては若坊と声をかけていただけたらと思います。
仏教宗派によって異なるんですが、私の宗派には副住職という役職はないんですね。
本山に申請するのは、住職と坊守の二つだけです。
なので、私は副住職じゃないです。副住職と名のったこともないです。
じゃあ、私はどういわれているのかと言うと、若坊または若とこの円龍寺では言われています。
私の寺では昔から住職の子供のことを若坊か若と呼んでいました。
私自身、小さな子供のときから、若坊や若と言われるのが当たり前であり、お寺にお参りに来られた御門信徒の方からも、「円龍寺の若さんやね」と声をかけられていました。
今でも円龍寺の中では、私は若坊といわれるのが当たり前です。みなさまも私のことは円龍寺の若坊さんと声をかけていただけたらと思います。
ちなみにこれは私が若坊でなくなる時まで、若坊のままです。私の父、住職も先代の祖父が亡くなるまで若坊でした。
30も40もこえて若と言われるなんてと思うかもしれませんが、私の寺では普通の感覚です。
なので私かっけいのことは、円龍寺の若坊さんと声をかけていただけたらと思います。
もちろん若坊・若と声をかけるのが普通なのは、私の寺だからというのはあると思います。
私のことを若院主さん・若住職さんという人もいます。
もちろんそれも間違っているわけではないです。
副住職ではないですが、副住職という言葉が間違っているわけではないです。
ただ私自身がこの寺で昔から言われ続けているのが若坊であり、私自身も自分のことを、円龍寺の若と名のっているので、私のことは若坊さんと声をかけていただけたらなあと思っています。
これで今日のお話は終わりですが、さいごに二つ余談をしますね。
一つ目の余談は、前の住職さん、次の住職さんの呼び方です。
仏教宗派やお住まいの地域によって違うかもしれませんが、私のとこでは、前の住職さんのことを前住、次の住職さんのことを後住と言います。後の住職なので、後住です。
代が変わった後の前の御住職さん坊守さんにお電話をかけることもあまりないですが、もし私が電話をかけるなら、○○寺の前住様、前坊守様みたいな感じで呼びかけたりしますね。
あまり聞く機会はないでしょうが、前住・前坊守・後住といった言葉もあるというのが、一つ目の余談です。
二つ目の余談は、寺のなかでのそれぞれの呼び方です。
私の寺のなかでは、私の母、坊守のことは坊守、私のことは若坊、父、住職のことは住職と呼ばれています。
さっき説明したとおりですね。
ただ住職に関して言えば、私の寺のなかでは院主さんという呼びかけになっています。
お寺の外で誰かにお話する時は、円龍寺の住職と言っていますが、寺のなかで住職に呼びかける時は院主さんとなってしまいます。
理由は特にないんですが、院主さんと声をかけるのが、私の寺のなかでは普通になっているので、つい院主さんと口に出るんですね。
考えて使い分けているのではなくて、寺のなかでは自然と住職のことを院主さんと呼びかけています。
院主という言葉は浄土真宗でもよく聞く言葉なので、おかしな言葉ではないんですが、私の寺ではなぜか、住職に声をかける時は、院主さんになってしまいますね。単に言いやすいのかもしれません。
これが二つ目の余談でした。
余談の内容はさておき、皆様は、お坊さん、お寺さん、御住職さん、坊守さん、そして私かっけいには若坊さんと呼びかけていただけたらとお思います。
その時にお寺の名前、例えば円龍寺の何々さん、あるいは円龍寺さんとお寺の名前で呼ぶのもいいですね。
今回はお坊さんとお話をするときに、お坊さんになんて声をかけたらいいのか、お坊さんの呼び方について話しました。

この話をした後で思い出しました
高松のご門徒さん宅で法事をしたときのことです
小学校低学年の男の子が私や住職に「おっさん・おっさん」って何度も言うんですね
「おじゅっさん」といわれることは少ないながらも何度もありますが、「おっさん」といわれるのはその時だけでした。なのでとっても印象深かったです
おそらくご家族のどなたかがお寺さんのことを「おっさん」と言っているんでしょうね