かっけいです。
プロ野球を見ていると実況者が「これは文句なしのホームラン!」と大声をあげていました。
すると私の近くにいた人が「じゃあ、文句のあるホームランってなんよ」とつぶやいていました。
私にとって『文句なし』とは誰が見てもあきらかなホームランという認識だったので、『文句あり』とは例えばビデオ判定など一見するとホームランかそうではないのか区別がつきにくい状態かなあっと想像しました。
文句無しという表現が私にとってよくある決まり文句の一つだったので、今まで特に気に留めていなかったのですが、あらためて「文句なし」に対して「文句あり」という言葉があるのか辞書を引いて調べてみました。
文句(もんく)を辞書で調べてみた
文句(もんく)〘名〙
- 文章中の語句。文言(もんごん)。
- 相手に対する不平や苦情。
- 歌謡などで、その節に対して歌詞をいう。
もんくを付ける
- 苦情を言いたてる。
もんくを並べる
- 苦情を次から次へと言いたてる。
日本国語大辞典第2版より
この辞書によると文句の意味は「相手に対する不平や苦情」のようですね。
続けて文句無し・文句有りについて調べました。
文句無(もんくなし)〘形動〙
- 苦情を言う余地がないさま。
日本国語大辞典第2版より
文句無しという言葉はあったのですが、文句有りという言葉は辞書には載ってなかったです。
ただもしも反対の意味で使うならそのまま、「苦情を言う余地がある」ということになるのでしょうか。
文句なしは苦情よりも称賛の意味が強いんじゃないかな
文句なしという言葉が使われる例を考えてみます。
- 文句なしのホームラン
- 文句なしの勝利
- 文句なしのホテル
- 文句なしのアイデア
- 文句なしの成績
文句という言葉には「不平や苦情」の意味があります。
もちろん「文句のある人」や「文句ばかり言う」といったように不平や苦情の意味で使われます。
しかし文句なしの言葉には不平や苦情を意識しているようには私は感じにくいです。どちらかというと「完璧だ・素晴らしい・パーフェクトだ」というように称賛の気持ちが前面に出ているように感じます。文句なしと口にする時は何かと比較してではなく、それが素晴らしいとただ感動しているからではないでしょうか。
ですので文句なしという言葉に対して、そのまま反対に、じゃあ文句ありは何やとと問い返すのは無粋なように感じます。
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文句ありの場面ももちろんあるが、文句とは言わないよね
文句なしは不平や苦情がないよりも、素晴らしいと称賛を表すときに使うように私は思います。
しかしスポーツの場面を見ていてもビデオ判定が必要となる微妙な時がありますよね。
ですがその時でも「文句あり」とは言わないでしょう。
「物言い(ものいい)」という言葉を使うのではないでしょうか。相撲や野球やテニスなどスポーツでは。
物言いとは審判が下した判断に対して、監督やコーチや選手らがそれはちょっと待ってください・詳細に確認して下さいと、異議や抗議をすることです。
審判の決定に対して不服として直接不平や不満を言うのではなく、その判断は正しかったのですかとオブラートに申したてるのが物言いなのではないでしょうか。文句を言って当たり散らすのではなく、落ち着いた丁寧な態度で臨んでいますよね。
文句なしの状態は誰が見ても素晴らしい状態なのでしょうが、反対に不平や不満がある状態があったとしても文句ありと苦情を言うのではなく、やわらかく落ち着いて物言いするのが相手の選手や審判に対する尊敬や賞賛につながるのではないでしょうか。
ですのでまとめると、「文句なしの○○」という言葉は称賛の気持ちを表すのに使うが、一方で不平や苦情を表すときには「文句ありの○○」ではなく、物言い・リクエスト・チャレンジのように丁寧に再度確認を求めるのが礼儀や思いやりにつながると思います。
文句ありのホームランや文句ありの成績なんて言葉は使いたくも聞きたくもないよね。