「ついで参り」はダメなのか良いのか

真宗僧侶のかっけいです。

「ついで参り」という言葉をご存知でしょうか。

葬儀や法事や寺参りに参加した時に、自分の家のお墓や寺についでにお参りをするということです。

ついで参りについては「するもんじゃあない」という否定的な人と、「してもいいじゃない」という肯定的な人に分かれます。

私の経験ではご年配の人ほどついで参りを嫌います。一方で最近ではお坊さんも含めてついで参りを寛容的にとらえている人が多くなっている印象です。

では私は「ついで参り」をどう考えているのでしょうか。

ついで参りはしてもいいけれども、戒めとして「ついででいいやと」進んでするもんじゃあない。というのが私の認識です。

なお、ついで参りをすると故人や仏様が怒るから失礼だから、というトンデモナイ理由ではありません。

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好ましくない「ついで参り」と好ましい「ついで参り」の違い

好ましくない「ついで参り」とは

例えば親戚の法事の後に納骨のお勤めのために、そろってお墓にお参りしたとします。

そのときに「せっかくお墓に来たんだし、自分の家のお墓やいとこのお墓にも顔を出しとくか、線香でもあげとくか」としましょう。でも昔からこれは「ついで参り」なのだからしてはいけない。駄目だと言われていました。

私もこのついで参りは好ましくないと思います。

好ましい「ついで参り」の例

  • 毎日、仕事に行く道中でお寺の前を通る。そのついでにお寺に手を合わそう。
  • 親戚の法事でそろって墓に行くだろうから、前もって自分の家のお墓にもお花を入れておこう。

好ましい・好ましくない「ついで参り」は何が違うのでしょうか。

お参りすることに対しての気持ちの傾き具合が違うのです。

好ましくないついで参りは、自分の所のお墓やお寺や神社にお参りする気持ちはなかったけれども、たまたま別の用事でその場に行ったのだから、せっかくだからお参りしとこうかと思うことです。

好ましいついで参りは、別の用事で自分の所のお墓やお寺や神社に行く機会があるのだから、その時に合わせてお参りできるように、前もってお花をお飾りしておきいつでもお参りできるように準備しておくことです。

たまたま近くまでいったから「ラッキー!!ついでに参っとこう」と思うのではなく、近くまでいくだろうから「ぜひ合わせてお参りしよう」と前もって念がけることです。

ついでには2つの意味がある

「ついで(序)」には二つの意味があります。

  1. あることを行っているときに、それといっしょに他のことを合わせて行うこと。
  2. ある物事をするときに、その機会を利用して(良い機会として)、別の物事をすること。

1.の意味での「ついで参り」では、いわゆる「横着なお参り」となります。

本来は自分から進んで、お墓やお寺、地域の神社にお参りしなければならないのに、それを怠ってできるだけ楽にお参りしたことにしようとするのが、ダメなついでのお参りです。

一方で2.の「ついで参り」は、「良いご縁をいただいたお参り」です。

会社に行く途中・畑に行く途中にお墓があったとします。足を止めて手を合わします。これは怠けて楽したお参りではなく、いつもありがとうと気持ちのこもったお参りですよね。これは良いついで参りです。


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ついで参りは悪くない。でも敬いの気持ちを忘れずに

一昔前では「お墓やお寺・神社にお参りするのは何かのついでにお参りしてはいけない。」と言われていました。

理由は「神仏やご先祖への敬い・供養をすることを何かのついで事にするのはよくない」という考えがあったからです。

しかし今では「せっかく近くに来たのだから、ついででも参ったら先祖も喜ぶだろう。別にいいじゃない。」と普段からお参りができないのをかこつけて「行ける時にはせっかくでも行ったらいいじゃない」へ変わったように感じます。

昔の人がついで参りを嫌っていたのは、神仏や先祖を敬う心構えとしてふさわしくないと自分自身を戒めていたのです。

お坊さんの立場からいえば、たとえ本来の目的ではなかったお参りであったとしても、日常のお参りができなくなった現代ではついで参りでも「ぜひぜひしてください。まったく問題ないですよ」と答えざるをえないと思います。

話をまとめます。

  • ついで参りはしても問題ない。近くまで行ったらぜひお参りしよう。
  • でもついでを「横着に・楽に」ではなく「良いご縁として」のお参りとして心がけよう。
  • ついでに参る時には、前もってお花や線香を用意したりと念がけてのお参りをしよう。
  • ついで参りはあくまでも「ついで」。メインのお参りもその前後でするのが望ましい。
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