こんばんは。 真宗僧侶のかっけいです。
皆さんは仏様参りをするときに念珠(ねんじゅ)【数珠・じゅず】を手にしてお参りしていますか。
無い場合は仕方ありませんが、できれば自分専用の念珠を一つは用意しておきますと、急なお悔みの時にもどなたかの家にお邪魔したときの作法としてもあると便利ですね。
お坊さんの私は自分用の念珠を今は3つ4つほど持っています。
本当は1つでよいのですが、私の場合はかつては頻繁に念珠の紐を切ってしまい、年に何度も念珠を変えなくてはなりませんでした。ですのでその時の名残で今も必要以上に念珠を持っています。
皆さんは念珠が切れたことありますか。
今回の話のテーマは浄土真宗における念珠についてです。
浄土真宗での念珠(数珠)の役割。
浄土真宗は他宗のように念珠に特別な意味ってないんですね。例えば魔除けとか。
しかし特別な意味はなくても真宗には真宗なりの意味合いもあります。
念珠は数を数えるために使う。
念珠(ねんじゅ)は数珠(じゅず)とも呼ばれており、元々の起源もはっきりしていないのですが、お釈迦様の時代に出家した僧を数えるために用いた珠が数珠の由来だと聞いたことがあります。(他にも諸説あります。)
そのため数珠は数を数えるために使われており、真宗ではお念仏の回数を確認するために使われていました。
念珠の珠の数は108個。
お坊さんが正式な場で持っている念珠は少し大きく、念珠に使われている珠の数が108個あります。(一般の人が持っている念珠は珠の数を省略したもので、おおよそ20~30個くらいの珠ですかね。18や27などの108の約数であることが多いです。)
108個というのは煩悩の数を表すとされます。
他宗では煩悩をすり削るという意味で念珠をこすりますが、真宗では煩悩の身が阿弥陀の本願に出あうご縁となるので、煩悩の数を象徴した念珠をもって仏に手を合わします。
念珠は敬いの気持ちがあってこそ。
個人的な印象ですが、私は数珠よりも念珠の方が表現として好きです。
念珠とは佛を念ずるとき(念じられるとき)に用いる仏具だと思うからです。
仏説無量寿経の中には「仏仏想念」と言う言葉があります。仏様の世界(浄土の世界)はお互いが念じる・拝みあう世界だとされています。念珠を用いて合掌するのは私たちが仏法をいただいた姿を表していると思います。
また本願寺中興の祖の蓮如上人と言われる僧侶はお手紙で数珠について書かれています。
そもそも…(省略)…そのゆゑは、珠数の一連をももつひとなし。さるほどに仏をば手づかみにこそせられたり。聖人(親鸞)、まつたく「珠数をすてて仏を拝め」と仰せられたることなし。……云々。あなかしこ。あなかしこ。
ー御勧章2帖目5通目より部分抜粋ー
蓮如上人は数珠(念珠)を持たずに拝む人は仏様を手づかみにしてお参りしていると表現しています。また親鸞聖人も数珠を持たずに仏を拝みなさいとは言っていないと蓮如上人は手紙で書いています。
真宗における念仏とは阿弥陀仏への帰命、すなわち信心より称える念仏ですので念じる気持ちを表す念珠を身に付けてお参りするようにと戒めています。(←戒めですよ。無くても問題はないが、いらないというわけではないですよ。)
念珠の糸が切れるのは。
さてタイトルに戻りますね。
念珠と言うのは穴の空いた珠に糸を通して輪の形にしています。
珠を支えている糸が切れてしまいますと念珠はバラバラになってしまいます。
浄土真宗では迷信にとらわれないのですが、他宗では念珠を魔除けやお守りとして使われる方もあり、ときどき念珠がバラバラになると不吉なんですかと尋ねられることがあります。
真宗僧侶の私から言わせてもらうと念珠が切れるのは糸が弱ってことが原因なので、厄落とし的な意味は何もありません。
どちらかと言うと、念珠の糸が切れやすいのは頻繁に仏様参りをしている人だと思います。
私はお坊さんなので毎日お参りしますので年に2回程度はバラバラになっていました。
また念珠の珠が重たい石の場合も切れやすいですね。
高価な念珠は珠が大きく重たいこともあり、糸に負担がかかりやすく切れやすくなります。ですので私は今ではプラスチックの非常に軽い念珠を使っています。
私は持っていませんが、木製の珠は軽く切れにくいそうです。
またぞんざいに扱う人も念珠の糸が切れやすいですね。
例えば念珠を投げるように置いたり、重たいものを念珠の上に置いたり、最悪なのは洗濯機にかけてしまったりです。丁寧に念珠を扱う人ほど念珠の寿命は長持ちします。
念珠の糸が切れたらどうすればいいのか。
念珠の糸が切れるのは糸が弱ったことが原因なので、真宗では厄除けやおまじないのようなことをしません。もちろん供養もしません。
念珠が切れたら両手にかけて合掌できませんので、新たに輪の形をした念珠を用意しなければなりません。
バラバラになった念珠が大切な念珠であれば、念珠屋に修理を依頼すれば元に戻してくれます。ただし散らばった珠を全て拾っておかなければなりません。珠が足りないと、珠が不足した状態でしか修復してくれません。ですので珠無しの中途半端な念珠になってしまいます。
特にこだわりのない念珠であれば、また新しく購入すればOKです。宗派によって念珠の形に決まりがあるかもしれないので、こだわって買うなら念珠屋や檀那寺に相談すれば教えてくれます。
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さいごに。念珠の糸が切れるのは普通のこと。
念珠とは珠が糸でつながっている仏具です。
糸の力が弱まれば切れてバラバラになるのは当然のことです。
それこそお参りをしっかりされている人ほど糸が切れやすくなるものです。
私も今までにたくさん念珠をバラバラにしてしまってきたので、そろそろ糸が切れそうだなと感覚的にわかる様になってきました。
お参りの方の中には念珠がバラバラになると不吉なことが起きるんじゃないかなと思ってしまう人がいるかもしれないので、私は切れそうな念珠を持たないようにしています。(ただ真宗的には念珠の糸が切れても気にすることはないことも知っておいて下さい。)
絶対に切れることのない念珠があれば便利なんですが、そろそろ開発されないかな。