10分を話す時間の目安にしている理由

浄土真宗お坊さんのかっけいです。

浄土真宗は「聞法」に重きを置いている仏教宗派です。簡単に言えば、「耳を傾けて、お話を聞いていくことが大切」ということです。

ですので、浄土真宗の法事では、読経の後にはお坊さんがお参りの人に向かってお話をするんですね。

でもお坊さんも人なので、お話が得意な人もいれば、苦手な人もいます。私も苦手です。

そんな私ですが、人に内容を伝えようとするときは、10分間を目安にしてお話しようと心がけています。以下、その理由を書きます。

人前でのスピーチ・話しをするときの参考になれば幸いです。

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「話すことがない」は嘘

しばしば「話すことがないから会話できない」と言う人がいます。

確かに話すことがないなら、それ以上の会話はできません。しかしどうでしょうか、話すことがないなんてありうるのでしょうか。

  • 伝えたいことがない
  • 心にも無いことを言わないといけない

といった状況なら、話すことができなくなるかもしれませんが、本当に相手に伝えたいことがある場合、いくらでも話題がでてくるのではないでしょうか。

頑張って伝えようとすると、それこそ10分では足りませんよね。

話すのが苦手というが、聞くのも苦手な人も多い

皆さんもスピーチやプレゼンを会社ですることもあるでしょう。

決められた持ち時間の中で、自社の良さ・魅力を伝えようとしますが、いざ聴衆をみてみるとどう感じますか。

あくびをしたり、うつむいていたり、腕組みをしたりと、とても興味をもって耳を傾けているようには見えませんよね。

話すのが苦手と言いますが、聞く側も熱心に聞くことができないのです。

宗教・仏教の話をお坊さんがすると、うつらうつら眠ってしまう人も多いことです。

人が集中できる時間は短い

聞く人にとっても、聞くことは大変なことなんです。興味の薄い内容になればなおさらのことです。

人が集中できる時間はそんなに長くありません。

集中できる時間にはいろいろな説があるので、一例を紹介します。

集中力の単位が15分だというのは……

「15分学習」の効果を、高めるための学習法より『朝日新聞デジタル』

「集中して執筆できるのは10分」人気作家に聞く「集中力」の秘密『ライブドアニュース』

飽きやすい子供のために、ほぼ3分刻みでシーンを変えていきます。……人は、3分という時間に慣れているのです。

多くの人に読まれる「文章」と「時間」の黄金律より『ナイル株式会社』

これらのように、一般的に人が集中できる時間と言うのは、思っているよりもずっと短いのです。

余談ですが、この事実を踏まえて、私が運営してる簡単な仏教サイト『こども仏教情報』では、約1000文字の文章量で、読むのが遅い子供でも3分で読むことができる内容を心がけています。

ジョブスのスピーチは5分と短かったと

マイクロコンピュータ販売会社、アップルを立ち上げたスティーブ・ジョブズは、スピーチが巧みだったとされます。

スティーブ・ジョブズは5分にすべて注入

与えられた時間を考慮し、それよりもスピーチが長くなるようなら、削れるところはどんどん削っていき、シンプルにまとめよう。5分の話は、聴衆からは意外に長く感じる。

ジョブズ氏の「5分間」が絶品であるワケより『プレジデントオンライン』

本当に伝えたい内容があるときは、長く話すのではなく、内容を絞り込んでシンプルな構成にした方がいいとのことです。

お坊さんの法話を例に挙げると、ロウソクの時はロウソクの話を、お花の時はお花の話を、念仏の時は念仏と、テーマを一つに絞り込んであげた方がいいということですね。

10分を目安にする理由

さて冒頭の話に戻って、「なぜ私は、10分間を目安に話をする」のでしょうか。

理由の一つは、住職から「10分が、話すにも聞くにも、ちょうどよい時間の長さだよ」と教えられたからです。

もう一つの理由は、雑談の時間も必要だからです。

雑談とは、テーマのない話のこと。もっと言えば、内容のない話、聞き忘れてもいい話です。

きっと皆さんはお坊さんのする法話は、ガチガチの宗教の話・仏教の話だと思っていることでしょう。でも違うんですね。

半分以上は雑談です。

上で説明したように、人が集中して話を聞くのは難しい、集中できる時間は短いのです。関心の乏しい宗教的な話になるとなおさらのことです。

だからお坊さんは日常的な話をして、聞き手の反応を見て、話をすすめます。

会社でのプレゼンでも、ちょっとした話・失敗談をしますよね。聞き手の興味を起こして、引き込むために。あれと同じです。

10分という時間をフルに使って伝えようとするのではなく、3分や5分の集中できる短い時間を作るために、10分という時間を目安にしているのです。

また最初に「10分ほどの話す時間をいただきます」と説明しておくと、聞く側も聞く準備をしやすいのです。

10分は、「長すぎず、かつ、聞く準備ができる」ちょうどよい長さだと、私は考えています。


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さいごに。一話6分のハリウッド映画

ハリウッドの会社「Quibi」(クイビ)が、2020年4月から1話の長さが6~10分の短編映画を配信するサービスを開始するようです。

この時間の長さは、若者が連続してスマホを見る時間が、平均で6分半という調査結果に基づいているとのことです。

ドラマの長さは30分以上、映画の長さは1時間以上が当たり前となっていますが、長すぎて見るのが辛い疲れると感じることがありませんか?私は感じます。

長いと悪い・短いほうが良いと単純には言えませんが、人に伝える時には、長すぎる時間は飽きられる可能性があります。

それこそお寺での法話や聞法大会では、1時間以上の話がざらにあります。布教使と呼ばれる法話に長けた人だと、それも可能なのでしょうが、なかなか普通の人にとっては難しいことです。

さいごに宣伝になりますが、私は2019年7月よりポッドキャストにてラジオ配信をしています。1話10分を目安に小話をしていますので、よろしければ聞いてくださいな。(もちろん無料だよ)

また、ラジオ配信の番外編として、自坊のお寺で秋永代経法要に招いた布教使の先生の法話ものせています。1時間ほどですが、意外とすんなり聞けると思います。

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