僧侶のかっけいです。
ここ数年「家族葬(かぞくそう)」って言葉が流行っていますよね。お坊さんからすれば違和感のある言葉で、葬儀って家族が主になってするもんでしょ。家族葬ってなんやねん。っと思ってしまうところです。
最近では毎週のように広告チラシに○○葬儀社や□□会館が見学会やセミナーと称してイベントをして家族葬プランについて勧めています。そんな広告を見るとお坊さんの私は思うんですよ。
「なんでこんなに葬儀費用(家族葬)が高いんだろう。」
「もっと安く葬儀できるんじゃないの。」
制度を利用して葬儀費用を安く抑える方法について紹介します。
ただし注意事項が一点。葬儀費用ですから、葬儀の式を執り行う僧侶への布施は金額に考慮していません。あれは布施ですから。
私が住んでいる地域の家族葬の相場。
私が住んでいますのは香川県の丸亀市です。
まあ東京や大阪といった都会と比べればだいぶ田舎に住んでいるでしょう。(ちなみに丸亀市はおよそ人口10万人ちょいです。)
私はお坊さんですから丸亀市周辺の多度津町・善通寺市・坂出市といった葬儀社に葬儀の時は参るんですね。
そこでは家族葬プランで安い場合は25万円~になりますかね。
平均的には35万円~になるでしょう。
でもこれだけ料金は済むわけでなく、別途費用が色々発生します。
- 会葬礼状ハガキ
- 会葬返礼品
- 消臭防腐剤
- ドライアイス
- 料理
- 祭壇生花
- 寝台車
- 司会
- 法要施設使用料
- タクシー
- マイクロバス
- 飲み物などなど
結局プランは25万円からと言っておきながら葬儀を葬儀社・会館主導で行うと倍以上の費用になったりします。
都会だと葬儀費用はなぜか高めに設定されているので、これよりももっと高額な費用が発生するでしょう。
安く抑える方法。自治体と講中に頼ろう。
これは私が導師として葬儀を執り行った実例ですが、その葬儀をした家では葬儀費用を10万円程度で行いました。(香川県・丸亀市の例)
この家が葬儀を頼ったのは葬儀社ではありません。
丸亀市の役場と家族と講中(近隣住民)に助けてもらったのです。
正直なところ葬儀社を使わなければ葬儀費用は安く済むんです。
でもどういうわけか今の時代、葬儀には葬儀社を使わなければならないという風潮になっているようにも感じます。
葬儀社を利用するメリットは、お金を支払えば面倒な手続きを代行してくれたり、地域の人の助けを借りなくて済むということです。
私の住んでいるところでは一昔前は、葬儀社は家で葬儀をする際の飾りつけを手伝い、納棺を手伝い、霊きゅう車を派遣する程度でした。
それが今では何から何まで葬儀社が葬儀に関することをあれやこれやとするようになり、葬儀会場も自宅から会館へと移りました。
これを改め、自宅で葬儀をし、自治体の葬儀制度に頼れば、安価に祭壇や葬祭用品が用意でき、霊きゅう車も棺箱も安く頼めます。
例えば丸亀市の葬祭業務価格だとどうなる。
参考サイト、丸亀市HP葬祭業務URL:http://www.city.marugame.lg.jp/itwinfo/i11/
- 火葬:満12歳以上は2万円。
- 霊きゅう車:3500円。
- 葬祭具(飾り付け)使用料:1万円。
- テント1張り:1万円。
- イス一脚:200円。
- 棺桶普通サイズ180cm:1万2000円。
- 葬祭用品(位牌・香典帳など15点):2300円。
これは一例ですが、丸亀市に葬儀に必要な最低限の用意をしてもらうのは6万円ちょいで済むのです。
葬儀社がまず一番にする役場への手続きも、ただ単に医師からもらった死亡診断書と死亡届を役場に届けて火葬場の時間を決めてるだけです。葬儀は火葬許可証をもらわなければ始まりませんからね。
家の人が死亡診断書を役場にもっていくのを代わりにしているだけで、葬儀社じゃないと駄目なんてことは絶対ないですよ。
役場に葬儀に必要な最低限のものを用意していもらい、後でお花が足りないなあ・お供えが足りないなあと感じれば家の人の手で花屋や果物屋に注文すればいいのです。
すると丸亀市の一例だと10万円程度で葬儀ができるのです。
ただ丸亀市の場合は細かく○○には△△円と決まっているのですが、自治体によっては葬祭の利用料金が数パターンに分かれており、自由度が低いということもあります。
またこの役場に葬儀道具などをお願いする方法は、葬儀に必要なものを用意してくれるだけで、納棺から受付から司会から案内といったことはすべて家の人がしなければなりません。
ですので今回の例のように葬儀社に頼らない方法では家族の助けだけでなく、地域・近隣住民の協力も必要となります。(例えば会葬者の受付に立つ人・司会をする人を地元の人にお願いするということです)
その他の自治体の葬儀プラン・葬儀費用を見てみよう。
香川県高松市の場合。
例えば香川県高松市の市民葬儀制度を見てみましょう。
高松市市民葬儀パンフレットURL:https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/file/3637_L23_shiminsougipamphlet.pdf
高松市では「A型」「B型」に分けられており、柔軟性はありません。
A型は23万円と少し高いですが、B型は13万円とお手頃価格です。
またパンフレットをよく見ていただければわかりますが、B型でも祭壇のお供え・生花以外はA型とほぼ変わりません。
また市民葬儀を利用した場合の火葬施設使用料(火葬料)は全額免除ですよ。霊きゅう車・寝台車の運行料金も市が補助してくれます。
これだけ有難いプランでありながら高松市内に住所がある人は誰でも利用できるんですよ。
香川県坂出市の場合。
次に香川県坂出市の市営葬祭「規格葬儀」を見てみましょう。
坂出市規格葬儀HPのURL:http://www.city.sakaide.lg.jp/soshiki/seikatu/kikakusougi.html
坂出市では「Aプラン」「Bプラン」に分かれていて、こちらも柔軟性はないです。
Bプランは5万円とかなり安いですが、これは祭壇がなく最近都会で流行りの「直葬」と言われる葬儀の形態ですの香川では馴染みが少ないです。
Aプランは10万と安く葬儀に必要なものが揃えられます。
例えば、祭壇・お棺・幕一式・霊柩車・葬祭用消耗品(骨壺や焼香道具などなど)です。
火葬料金だけは別途発生しますが、それ以外ではプラン価格で葬儀の用意ができ、必要に応じて喪主が生花や果物を用意することができます。
もちろん利用者は坂出市民で坂出市で葬儀を行う人です。ハードル低いですよね。
東京都千代田区の場合。
私の住んでいる香川県ばかりを説明すると他の都道府県ではどうなんだという疑問も持たれるでしょうから、東京都千代田区の区民葬儀制度を見てみましょうか。HPはこちらです。https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kurashi/koseki/sogi.html
区民葬儀とは東京23区で統一された葬儀料金です。(葬儀業者を利用するのが前提になっているように感じます)
ここでは祭壇・霊柩車・火葬・遺骨収納容器(骨壺)と4つに分けて好きなように選べられるようになっています。
ただドライアイス・生花・果物・斎場使用料は、区民葬儀指定業者にお問い合わせくださいと融通がきかないようにも感じます。
しかし仮に祭壇をC券(白布2段飾り桐張棺)12万3000円、普通霊柩車(10キロメートルまで)1万4160円、火葬料(大人)5万3100円、骨壺(大人用3号一式)9800円だと総計20万円程度で最低限の葬儀は予定できます。
後は区民葬儀指定業者が健全であることを願うだけです。
自分の住んでいる自治体の葬儀制度を調べる方法。
自分の住んでいる自治体のホームページを見ればどこかに書いているのでしょうが、なかなか葬儀制度の項目を見つけるのは難しいのかもしれません。
そんなときは『 ○○(自治体の名称) 葬儀 役所 』もしくは『 葬儀制度 ○○(自治体の名称) 』と調べてみてはどうでしょうか。
私はこの方法なら高確率で見つけられると思います。
ただ自治体によっては独自の葬儀制度を設けていないところもあるかもしれないので、そもそも見つけられないかもしれませんが、上の検索方法でとりあえず試してみてください。
どうしてもわからない場合は役場に行って尋ねてみることです。
ちなみに自治体の葬儀制度は自治体によって名称が異なっているので注意が必要です。
丸亀市だと葬祭業務、高松市だと市民葬儀、坂出市だと規格葬儀、千代田区だと区民葬儀といったように名称が全く違いますので注意ですよ。
ちなみに香川県だと多度津町・善通寺市・観音寺市には葬儀制度がないのかもしれない。
大阪市だと大阪市規格葬儀という葬儀制度があるように、大きな都市になるほど、自治体が葬儀を補助してくれるのかもしれない。
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さいごに。役場が葬祭費を補助してくれる場合もある。
さて、最近の世の中では家族葬小規模葬と低料金の葬儀プランを葬儀社が勧めていますが、役場に頼ればもっと低料金で必要最低限の葬祭道具を用意していくれます。
あとは家族の協力、近隣住民・地元の助けを借りて葬儀をすれば、かなり安価な費用で済みます。
さいごになりますが、自治体によっては葬祭給付金を用意してくれているところもあります。これも制度です。
丸亀市の場合は国民健康保険に加入している人が死亡した際には葬儀の喪主に5万円を支給してくれます。
最近の葬儀は葬儀社に頼りっきりで高いなあ高いなあと不満を言われる人も多いかもしれませんが、少し振り返ってみて自治体や地域の人の助けを借りることも考えてみてはどうでしょうか。