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巨大地震が来たら寺の倒壊は諦めないといけないかな

投稿日:2017年12月25日 更新日:

こんばんは。 香川県にお寺がある僧侶のかっけいです。

お寺を維持していく上において自然災害による傷みは避けて通れない問題です。

例えば震災、津波、火災がありますね。他にも浸水被害やシロアリなどによる腐食といったケースもあります。

今回のテーマは「震災」です。

お寺のような巨大木造建築は大きな揺れによって倒壊してしまう恐れがあります。

政府の地震調査委員会は2017年12月29日に「四国地方の5つの活断層で30年以内にマグニチュード6.8以上の規模の大きな地震が起きる確率は9%~15%」だと発表しました。

きっついなあ。お寺が倒れちゃうかもねえ~。

地震とお寺について書いていきます。

円龍寺の本堂、地震に耐えられるか


お寺は多少の揺れには耐えられる。

昔からのお寺というのは木造で建てられています。

木で作られた建物というのはある程度の柔軟性があるので、多少の地震の揺れでは倒れることはありません。

実際自坊のお寺でも、昭和21年(1946年)12月21日の南海地震では倒れることはありませんでした。この時の地震の強さはマグニチュード8.0だとされています。

しかしお寺を含め昔からある建物は柱脚が基礎石の上に乗っているだけなので、繰り返しある巨大な地震には耐えることができません。(少しくらいの揺れならスライドするだけでなので大丈夫です。石から落ちなければオーケー)

本堂正面の柱

木造建築の柱の支え

古い木造建築の建物は木が腐らないように、石を柱の下に置いて土と木が直接接触しないようにしています。

現代の木造建築は基礎となる土台がコンクリートで補強されていますし、木材と基礎ががっちりと固定されています。また軽い作りなので地震に強いのです。

しかしお寺は建物が大きく、台風などの強風に耐えられるように瓦を多く積み、屋根から重さつけるように強風対策をしています。一方で忘れたころにやってくる大地震には弱い造りになっているのです。

熊本地震ではどれくらいの寺院が被害にあったのか。

ここでは浄土真宗本願寺派の公式サイト『「平成28年熊本地震」被害について』を参考にさしていただきます。

九州の各県にある本願寺派寺院の被害にあった寺の数・被害状況が書かれています。

被災の中心であった熊本県熊本教区では466寺院の内、322ヶ寺が被害にあっています。実に全体の7割程度の寺院が被害にあっていますね。

本堂や庫裏の瓦が落下したといった比較的軽微な被害もあれば、本堂全壊・本堂半壊・本堂の傾き、庫裏の全壊・半壊、山門の全壊・半壊、鐘楼堂の全壊といった深刻な被害にもあっています。

ちなみに熊本地震はマグニチュード6以上の揺れが3回ありました。(マグニチュード7.3・6.5・6.4)

四国の活断層による地震予測はマグニチュード6.8以上が9~15%。

冒頭で政府の地震調査委員会が、四国地域の活断層の地域評価した結果、四国の5つの活動層で30年以内にマグニチュード6.8以上の規模の大きな地震が起きる確率が9%から15%と予測しました。

特に私が住んでいる近くには上法軍寺断層があります。

地震の規模予測はマグニチュード6.0程度とやや低めですが、震源地に近いため震度はどれほどの強さになるでしょうか。

ちなみに香川県坂出市はPDFファイルで香川県で発生するであろう震度分布図を公表しています。

ここでは「南海トラフによる地震の揺れ」・「中央構造線による地震の揺れ」・「長尾断層による地震の揺れ」・「直下型の地震の揺れ」に分類して図にしています。

今回の政府の地震調査委員会が発表したのは四国地域の活断層による揺れでの評価ですので、南海トラフによる地震の揺れが該当します。

私が住んでいるのは丸亀市の海の方ですので、中央構造線の揺れだと震度6弱~6強、長尾断層の揺れだと震度5強、直下型だと6強と予測されています。

今後30年以内に70%程度の確率で発生する南海トラフ地震での揺れも震度6弱くらいはあります。

どの地震が発生するのかは不明ですが、いずれにしても震度5強以上は覚悟しとかなくてはならないでしょう。

お寺が地震の対策するのは難しい。

お寺というのは仏さまを安置するお堂があります。広い空間ですよね。

中央には柱が少ないですし、建物そのものが重いため地震に強いとは決して言えません。

鉄筋コンクリート製に補強したお堂であれば、今度やってくる震度5以上の地震でも倒れることはないでしょう。しかし私の所のお寺のように古い形のお寺、建築基準法以前のお寺では耐震性が非常に乏しいです。

私の所のお寺も明治に火災で焼失してから建て直して、すでに120年以上が経過しています。昭和21年の南海地震でも本堂がやや北側に反ってしまったようです。

地震の対策には「耐震」・「免震」・「制震」がありますが、いずれにしても本堂のような大きな建物には多額の費用が発生してしまいますし、先ほど説明しましたようにお寺の柱は礎石にただ乗っているだけなので、足元がまず不安定なのです。

本堂の床の下。柱が石の上に乗っている。

通常の護持運営だけで手一杯の状態ですので、なかなか地震対策をしにくいのです。


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さいごに。各寺院は地震や災害にどう備えるのか。

改築しているお寺は既に部分的に鉄筋・鉄骨を入れて建物を補強しているでしょう。

しかし現実には無対策のお寺も多いでしょう。私の所のお寺もそうです。

お寺が傷んだ後、壊れた後のことを考えて地震保険や火災保険に入るのも手ではあるでしょう。実際政府の補助金は国指定重要文化財や国登録有形文化財だけですので、一寺院には何の手助けもしてくれません。ただお寺のような大きな建物には保険の掛け金も高額になるのでやりにくいところではあります。

また古いお堂が全壊もしくは半壊し仏教行事が行えなくなることを事前に予測しておいて、別にお堂を設けておくのも手でしょう。私はこの方法を採用しています。

円龍寺の仮のお堂。

このお堂は普段は納骨施設兼法要儀式の場として使われています。

もともとはここに経堂があったのですが、震度5でも倒壊するほど古く老朽化しており取り壊す必要があったので、それなら本堂が壊れて使えなくなった時に備えることにしました。

地下数メートルまで改良工事を行い、震度7の地震がきても倒れないようにしました。本堂に問題があった時は仮の本堂として使う予定です。

他にも建物を軽くしたり、柱・壁を増やしたりと様々な対策があるでしょうが、何を採用するかはお寺によって違うでしょう。お金も必要ですのですぐには取り掛かれないでしょう。

しかし新たに30年以内に四国地方の活断層による地震がマグニチュード6.8以上が起きる確率が9%から15%と予測されましたし、以前から南海地震が30年以内に70%で起きると予測されているので、お寺を預かる身としては何らかの対策もしていかないといけないでしょう。

さあ、お寺はお金がないからどうしていくべきだろうか。困った。

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