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副住職と呼ばないで.ラジオ#157

第157回目のラジオ配信。「お坊さんの私の呼び方」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「呼び方」内容まとめ
  • 若坊や若と呼んで
  • 先生と呼ばないで
  • 特別であると勘違いを助長する
  • 上限関係をうむ恐れがある
  • 副住職と呼ばないで
  • 私の所属する宗派では副住職はないから

かっけいの円龍寺ラジオ

この番組では香川の浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いお話をするラジオです。

2022年10月11日配信の今回は「お坊さんの私の呼び方」・「私を副住職と呼ばないで」をテーマに雑談していきます。

さて、お坊さんの呼び方はいろいろあるようですね。

その中でも反応に特に困るのが、「先生」と呼ばれることです。

つい2週間前のことですか、9月下旬のニュースに「議員を「先生」と呼ばない」があり、大阪府議会で今後、議員に対して「先生」という呼び方をやめるようにしたという内容でした。

そのニュースによると、「議員が特別であるとの勘違いを助長することにつながりかねない」という理由で、「先生」という呼称を使わないとのことです。

これはお坊さんにも言えることだと思います。

あんまりお坊さん同士が互いに「先生」と呼び合うことはないですが、葬儀社や仏壇店石材店、さらにはご門信徒の中からも、お坊さんのことを「先生」と呼ばれることがあります。

決して悪い意味で「先生」と呼んでいるわけではないのでしょうが、私はあまり「先生」と呼ばれるのを好みません。

その理由は、先の大阪府議会のニュースのように、お坊さんは特別なんだと、お坊さん自身が変な勘違いを生んでしまう恐れがあるからです。

もっと言えば、先生という言葉は上下関係を生む恐れもあります。

お坊さん、特に浄土真宗のお坊さんは、偉いわけではありません。皆さまとひとりひとりと同じように、共に仏法にであっていく立場なのですから、お坊さんと皆さんとに差はありません。

お坊さんの私は「先生・先生」とは呼んでほしくはないです。

それじゃあ、私のことはなんと呼べばいいのでしょうか。

二十歳を過ぎたころから、呼び方についてときどき聞かれます。

私は「円龍寺の若坊、あるいは若」と声をかけていただけたらといつもお答えしています。

若坊・若というのは、私が幼い子供のころからの寺での呼ばれ方であり、昔から円龍寺にお参りにこられているご門信徒の皆様は、私がいつも、今でも、住職や坊守から若坊・若と呼ばれているのはご存知だと思います。

若というのは住職よりも若いということです。

年齢が10代・20代・30代と若いから「若」と呼ばれるのではなくて、寺を預かる・代表する住職がいる間は、私はまだまだ「若」というわけです。

ですので、50・60・70歳になっても「若」の可能性だってあるわけです・

円龍寺では住職がいて、若がいる。ずっと昔からその呼び方です。

ですので、浄土真宗の寺、円龍寺のお坊さんの私に対しては、これからも「若坊」と呼んでいただけたらと思います。

しかし若坊と呼んでくださいと、呼び方を聞かれるたびにそう答えているのですが、いまだに私のことを「副住職」あるいは「住職」と呼ぶ人がいます。

私は副住職ではないですし、住職でもないので、その呼び方は止めてほしいです。

住職というのは、宗教法人である寺の責任役員のトップのことなので、代表役員で1人しかなれません。

住職というのは、昔からの呼び名で、仏法を守り伝えていく寺を守っていく大切な役職です。

住職という立場は、寺の総代会といった集まりで他の責任役員から選ばれて、そして本山という宗派を代表する寺に申請し、住職だと任命されます。

ですから、寺の代表者、責任者である住職が2人もいるなんてことはないのですから、若坊の私のことを「住職」と呼ばないでほしいです。

そして「副住職」とも呼ばないでください。

理由は、私の所属している宗派、浄土真宗の興正派では「副住職」という役職はないからです。

他の浄土真宗の、例えば本願寺派や大谷派や佛光寺派などでは、副住職という役職があり、本山に申請し、任命されます。

しかし私の所属する興正派では副住職というのはありません。

ですので、副住職でもないのに、副住職とは呼んでほしくないです。

仮にもし副住職というのがあった場合、副住職の立ち位置というのが私にはわかりません。

というのも、宗教法人の寺は、代表役員の住職がいて、責任役員の総代がいます。そしてそれを各都道府県知事に届出します。

ですが、副住職は責任役員なのでしょうか?

そもそも宗教法人法には副住職という名称はないですし、副住職という役職を認めるなら、住職と同じように、総代や世話人の承認を得て、本山に届けるのが筋だと思います。

副住職は責任役員ではないでしょうし、私の宗派では本山に届け出て任命されているわけでもありません。

ですので、私のことを副住職とは呼んでほしくないです。

副住職という名前がなくても、住職のサポートはできますし、住職の代わりに法事や葬儀といった仏事を行うことができます。

私はわざわざ自分のことを副住職とはいいません。

ちなみに私の所属する宗派には副住職はないですが、代務者というのはあります。

ただし代務者は厳密には副住職とは違います。

代務者とは宗教法人法で決められているもので、寺の代表役員つまり住職が病気などで三ヵ月以上不在、職務を行えないときに代務者を立てなければならないという国の法律です。

代務者というのは住職がいない場合に、呼ばれる名前です。

いずれにしても副住職がないのにあるとは私は言えないので、私のことはこれからも若坊と呼んでいただけたらと思います。

それでもし住職になりましたら、そのときに住職と呼んでいただけたらと思います。

以上で、今回の「お坊さんの私の呼び方」のお話を終えます。

最後にちょっとした補足をします。

住職とは寺の代表者のことです。

住む職と書くように、浄土真宗では寺に隣接する形で、住職が住み、ご門信徒の信仰の場である寺・お堂を守り伝えます。

そしてその住職をサポートし、寺を守っていくのが坊守です。浄土真宗では住職の奥さんのことです。

若坊の私は、住職のことを寺では「院主さん」と呼んだりします。院主とは寺院の主・代表者ということですが、住職よりも私は言いやすいので、寺では院主さんと呼んでいます。

それと、前の住職のことを前住と呼んだりします。私から言えば祖父のことで、前住職だから前住です。

逆に次の後の住職になる人のことを、後住といいます。

私もごくごくまれに後住さんと呼ばれることがありますが、私のことを後住とは呼んでほしくないです。

理由は、私が後の住職になるかなんてまだわからないからです。住職よりも先に亡くなるかもしれないですし、住職や総代、門信徒から住職にふさわしくないと思われるかもしれません。

寺の後任の住職だと決まってもいないのに、後住といわれるのは、どうかと思うので、私のことは後住とは呼んでほしくないなあと思います。

ひょっとしたら円龍寺の24代目は私みたいな空気になっているかもしれませんが、23代目の住職、父からは、私が次の住職だと明言されたことはないので、そこは誤解のないようにお願いします。代が代わるその時まで、誰も次の住職がだれになるかはわかりません。

やっぱり私は「円龍寺の若坊」・「円龍寺の若」と呼ばれる方がしっくりきます。

「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。



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