お焼香のとき小銭を置きますか?#288

第288回目のラジオ配信。「お焼香の小銭」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

内容まとめ
  • お焼香のときに置く小銭のことを「お賽銭」という人がいる
  • 私のところ(香川県丸亀市周辺)では「お焼香のお金」や「100円」という人が多い
  • 焼香銭(しょうこうせん)とも表現するらしい
  • 備え付けのお香でお焼香する人たちがほとんど
  • 本当はお焼香のお香は持参するもの
  • お焼香の小銭は、喪主や施主に対して、お香を使わせてもらったお礼
  • お坊さんは「お焼香のお香を持参してお参りしてください」とは言わない
  • 仏さまにお供えする香りのいいお香は、けっこうお高い
  • 喪主施主に対するお礼に、100円は心づけで置かなくちゃと思うのではないだろうか

お焼香のときに小銭を置くのは、香炉と香合がのった焼香盆がお参りの人の元に回ってくる「回し焼香」のときだけではありません。

仏様の前に設置された焼香台に進んでお焼香する「出焼香」や「立ち焼香」のときも小銭を置きます。

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。

今回はお焼香のときにする100円くらいの小銭についてのお話です。

過去の音声配信で、浄土真宗ではお賽銭をしないよということを話しました。

浄土真宗では、仏さま神様に対して私の願いを叶えてもらうために拝まないからです。

願掛けや厄払いをしない浄土真宗において、お供えするお金、お賽銭が仏様参りの見返りとなってはいけないからですね。

なので賽銭箱のような箱が置かれている浄土真宗の寺では、賽銭ではなく、浄財や冥加といった言葉で書かれていたりします。

このように、私は過去に浄土真宗にお賽銭はないよというお話をしたんですが、この前、こんなことを聞かれました。

お焼香をするときに、100円玉といった小銭を置きますよね。あれはお賽銭じゃないんですかと?

なるほど。

確かに私のいるところ、香川県丸亀市周辺の浄土真宗の法事やお葬式、お寺の法要では、お焼香のときに小銭を置く習慣があります。

あのお焼香のお金のことをお賽銭と表現する人がいます。

そういう意味では、たしかに浄土真宗でもお賽銭というのをしていることになります。

でもお焼香のときにするお金は、神仏に対して、お願い事をしたり、祈願成就のお礼のためにしているわけではないので、お賽銭ではないですよね。

便宜的にお賽銭と表現する人がいるだけで、お賽銭とはちょっと違うように私は思います。

前置きが長くなりましたが、今回はお焼香のときに置く小銭についてのお話をしていきます。

さてどうでしょうか?

皆さんがお住まいの地域や宗派ではお焼香をするときに小銭を置く習慣はありますか?

私のところでは、法事からお葬式から、お寺での法要から、お焼香をするときにはほぼ必ずみなさんするのですが、いかがでしょうか?

決まった言い方はないんですが、お焼香のお金だったり、100円という人が多い気がしますね。

お焼香の銭ということで、焼香銭という表現もあるようです。

このお金は何のためにしているのかというと、お焼香をするときに、香炉の横にある備え付けのお香を使わせていただいているので、それに対するお金ということです。

ご存知でない人も多いかもしれませんが、元々、仏事でお焼香をするとき、お香は持参するものです。

それぞれがご持参された香りの良いお香を仏様・亡き人にお供えするのがお焼香なんですが、ほとんどの人はお焼香用のお香をご持参されていません。

代わりに香炉の横に置かれたお香で、お焼香させていただき、それのお礼、使用料金、対価といってもいいですね。その対価として小銭を置いているわけです。

なのでお葬式や法事で、お坊さんの様子を見てください。

お焼香をするときに、お金を置いているお坊さんはいないでしょう。

代わりにお坊さんは持参したお香でお焼香をしているでしょう。

私の場合は、ねじ香と言っている、布製のねじり型のお香入れ、香合を持ち運んでいます。

そういったように、本当はお焼香のときはそれぞれが持参したお香をお供えするんですよ。

でもみんながみんないつもお香を持参できるわけではないですよね。

いつの間にか、お焼香のお香は備え付けのものを使うのが当たり前になり、小銭をおくという習慣になったわけです。

お坊さんとしても、気軽に仏様参りしてほしいので、お焼香用のお香を持参してからお参りくださいなんて言わないですからね。

さて続いて小銭の金額について話しますね。

私のところでは、ほぼみなさん100円を置きます。

なぜ100円なのか、正直なところ分からないので、私の想像でお話をしますね。

さっきも言ったように、お焼香のときに置かれる小銭は、喪主や施主が用意して下さったお香を使わせていただいた、そのお礼としてのお金です。

じゃあ、そのときにどんなお金を置いたらご用意してくれた喪主や施主に失礼じゃないだろうかと考えた時に、1円や5円や10円だと少なくて失礼だろうし、50円玉や500円玉だと持っていないこともあるでしょう。

すると自ずと、100円に落ち着くんじゃないのかなあと私は思います。

あともう一つの理由としては、お香は割とお値段がするんですね。

例えば私のお寺、円龍寺の本堂の参拝席に置かれているお香だと、500グラムで一万円弱くらいします。

お香もピンからキリまであって、香りのよろしくないお安い物もありますが、高いものだとビックリするほどの値段がします。

私のとこでは、香りや薫り方など色んなバランスがよく、コストも考慮して、500グラムで一万円弱のものを使っています。

仏さまにお供えするお香ですので、それを本堂で、皆様がお焼香される香合の中にいれています。

本堂の回し焼香のお香もそれくらいのお香です。

香りの良いお香はけっしてお安くなく、その相場を知っている人からすると、持参していない自分が使わせてもらっていることを考慮すると、10円ではなく自ずと100円になるんじゃないのかなあと思います。

特にご持参するお焼香のお香は丁寧なお参りの作法であり、お香も当然上質なものになります。

そういったことからも、お焼香に使ったお香のお礼には100円は心づけで置かなくちゃと思うのではないのでしょうか。

もちろんこれは私の想像なので、なぜお焼香のときに100円玉が置かれるのか、本当のところは分かりません。

今回は、お焼香のときに置かれる小銭についてのお話をしました。

もしお焼香のお香をご持参される時は、なるべく上質なものを用意しましょうね。

私も他のお寺にお参りする時にはお香を持参しますが、その時にそこでご用意されているお香も上質でよろしそうな場合は、自分のではなく、そのお香を使わせていただくこともあります。

そのあたりは、ご持参されたお香と比べて、どちらが仏さまにお供えするのに良いか判断して、お焼香されていただけたらと思います。

かっけい
かっけい

お葬式や法事のとき、お焼香道具一式(焼香台や焼香盆、香炉、香合、香炭など)は喪主や施主が用意する必要があります。

参列者一人ひとりがするお焼香は、仏さまにする丁寧なお香のお供えです。お焼香のお香はできるだけ香りの良い上質なものを用意しましょう。

本当はお焼香のお香は参列者がそれぞれ自分のお香を用意しますが、今では喪主や施主が用意して下さったお香を使われる方が多いです。

ちなみに、お葬式や法事といった不祝儀・弔事の仏事だけでなく、結婚式や正月参りといった慶事のお参りでもお焼香をします。こういったときもお焼香をご持参できるとより丁寧なお参りとなります。

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