ホームページを持っているお寺の割合.#294

第294回目のラジオ配信。「お寺のホームページ所有率(開設率)」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

内容まとめ
  • お寺のホームページ所有率について書いている記事があった
  • その人の都市では34カ寺中9カ寺で、25%の寺がホームページを持っていた
  • 日本の企業では6割くらいが持っている
  • 大企業だと90%を超える
  • 寺院では、2001年では0.8%、2004年では2.1%
  • 10年ほど前だと10%足らずの所有率
  • 450強の寺がある浄土真宗の興正派では、45カ寺、一割のお寺がホームページを持っていた(2025年8月現在)
  • 丸亀市仏教会では53カ寺中9カ寺の17%(2025年8月現在)
  • 丸亀市のお寺全体では104カ寺中11カ寺の10%(2025年8月現在)
  • お寺はホームページをあまり持たないことがわかった

元記事の表現を尊重して、ウェブサイト(Webサイト)ではなく、ホームページで統一しました。

開設率ではなく、所有率で統一しました。

元記事『お寺さんのホームページ所有率は?(note)』

参考資料
  • 國學院大學学術情報リポジトリ
  • タイトル:情報化と宗教団体の邂逅
  • 公開日:2023-02-05
  • 著者:石井研士
  • URL: https://k-rain.repo.nii.ac.jp/records/732

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。

この前、インターネット上で面白い記事を見つけました。

内容は、ホームページを所有しているお寺はどれくらいなのかということです。

私の場合は2016年から自分のお寺のホームページを作っているので、今年で10年目になりますが、10年前と比べると今はホームページを持っているお寺はずっと増えたように感じます。

そこで実際にホームページを持っているお寺の割合について調べてみたので、今回はこのことについて、お話していきます。

どうぞ皆さんも、どれくらいのお寺がホームページを持っているのか、想像してみてください。

なお、個人的にはウェブサイトの表現が好きなのですが、元々の記事ではホームページ所有率とあるので、今回はホームページで統一して話させていただきます。

まずは、この前見つけたお寺のホームページ所有率がどれくらいかということを書いた人の記事の内容から紹介しますね。

この方は人口10万の都市に住みお寺の数が34カ寺あるそうで、調べると九つのお寺にホームページがあったそうです。

つまり、この人いわく、自分の住んでいる場所では、9÷34、およそ25%、四カ寺に一カ寺がホームページを所有していると紹介していました。

この方の調べた内容はここまで、多いとも少ないとも書いていませんでした。

次に、私は自分の属している宗派ではどれくらいのお寺がホームページを開いているか、一つずつカウントしてみました。

また私の住んでいる丸亀市のお寺、それと丸亀市仏教会に所属するお寺でホームページを持っている割合も調べてみました。

さて結果を話す前に、日本にある一般的な企業はどれくらいの割合でホームページを持っていると思いますか?

2021年に法務省がした「通信利用動向調査」などによると、従業員100人以上の大企業では90.4%、中規模では80%、小規模では46%といった数値がでています。

日本の企業ではだいたい6割くらいがホームページを持っていることになります。

一方で、お寺の場合はどうなんでしょうか?

お寺のホームページ所有率は具体的な数値が分からないのが現実です。

國學院大學教授だった石井研士さんの2023年の論文で今回のことに関係することが述べられているので、それを参考にここではお話します。

この論文によると、宗教団体、特に神社のホームページ開設は消極的態度にあったとあります。

平成13年、つまり2001年では、約7万7千あるお寺でホームページが確認できたお寺は627、約8万5千ある神社では169でした。

これによると、今から25年前、お寺のホームページ所有率は0.8%、神社では0.2%だったと言えることになるでしょう。

平成16年、2004年には、浄土宗総合研究所が寺

院のインターネット利用についての調査を行っています。

それぞれの仏教系統ごとに調べていて、天台系では2.4%、真言系では2.1%、浄土系では6.3%、浄土真宗系では1.6%、日蓮系では2.8%、全体では2.14%のお寺がホームページを持っているということでした。

これが21年前です。

その後、現在に至るまでの詳しい数値はわかりません。

平成29年、2017年にあった浄土真宗本願寺派の宗勢調査によると、浄土真宗本願寺派のホームページとブログの開設率は11.1%。

平成30年、2018年にあった浄土宗の宗勢調査によると浄土宗で8.3%。

平成27年、2015年の曹洞宗の調査によると、曹洞宗で7%ということらしいです。

このように約10年前だとお寺のホームページ所有率は10%足らずくらいだと言えるでしょう。

ここから実際に私の属している宗派のホームページ所有率について話しますね。

一カ寺ずつ調べました。

ちなみに私の予想では、2割くらいのお寺がホームページを持っていると思っていました。

私は浄土真宗の興正派のお坊さんです。興正派のお寺は全国に450強ほどあります。

その内45のお寺がホームページを持っていました。

割合にしてほぼ1割です。

私の予想よりも少なく、意外な結果で驚きました。

補足すると、これは本山や本山別院、教区のホームページはカウントしていません。

それと、お寺のホームページのみをカウントし、お坊さん個人のブログ、YouTube、Facebook、インスタグラムなどのSNSもカウントしていません。

仮にSNSを含めると、2・3割くらいは数が増え15%くらいにはなるでしょうが、純粋にお寺のホームページだけをカウントすると、私の属している宗派では1割のお寺がホームページを持っていました。

一割のお寺がホームページを持っている。意外と低いですね。

続いて私の住んでいる香川県丸亀市での割合を見ていきます。

自坊円龍寺は、丸亀市仏教会に入っています。

丸亀市仏教会は現在53カ寺が加盟していて、その内、9カ寺がホームページを持っています。

割合にすると、17%ですね。

続いて、丸亀市にあるお寺全体で調べてみました。

最新の香川県知事所轄宗教法人名簿によると、香川県丸亀市にはお寺の宗教法人が104あります。

その内、11カ寺がホームページを持っていました。

10%の割合です。

丸亀市仏教会の加盟寺院では17%に対して、丸亀市にある仏教寺院全体では10%と少ない感じです。

どうしてこんなに差がでるのか、私の思うところを話すと、宗教法人名簿にのっているお寺でも、宗教的活動があまり行われていないお寺が含まれているからだと思います。

香川県だと、島しょ部、瀬戸内海の島々にお寺が点在しています。

それらの中にはお坊さんのいない、無住のお寺、過疎的な状況のお寺もあります。

なので丸亀市には104のお寺の名簿がありますが、実際にはっきりと活動しているのはもっと少なく、単純にホームページ所有率が10%だとは言えないと思います。

もちろん仮にそうであったとしても、丸亀市のお寺のホームページ所有率は10~17%なので、私の想像よりも少ない結果ではありました。

さて、今回はお寺のホームページ所有率について、お話していきました。

まとめをしますね。

私が興味を持った元記事の人がお住まいの地域では、34カ寺中9カ寺で、25%のお寺がホームページを持っているとのことでした。

一方で、私の属している浄土真宗の興正派では、450強の内45カ寺、1割のお寺がホームページを持っていました。

丸亀市仏教会の加盟寺院では17%、丸亀市にあるお寺では10%でした。

日本全国にある企業の6割くらいがホームページを持っていることを思えば、お寺はあまりホームページを持たないんだなあと、より感じたところです。

以上で今回のお話は終わります。

ここからは余談です。

一口にホームページと言っても、その中身はそれぞれ異なります。

建物や敷地の風景写真を多くのせ、交通アクセスや寺の来歴、年中行事、サービス内容だけを書いた、いわゆるパンフレット的なホームページに留まっているケースもままあります。

一方で私のように、お寺のことや浄土真宗のこと、仏教のことなどを継続して伝えているホームページはあまり多くないのかもしれません。

また私は2019年からポッドキャスト・音声配信を続けていますが、こういったお寺も全体で見たら少ないのかもしれません。

お寺のネット社会での情報化、現代人の宗教への関心はリンクするものではないので、お寺がホームページを持つことが必ずしも正しいとは私は思いません。

容易に宗教の情報にふれる機会が増えたからと言って、さあ現代日本人が宗教に関心を持つようになっていくのでしょうか。

ネット社会が進みお寺がホームページを持ち、またYoutubeやFacebookなどのSNSといった情報発信をしていても、現代日本人の「祈る・念じる」といった行為は不定期で気まぐれなものになっているのだと私は感じます。

何が言いたいのかと言うと、お寺のホームページ所有率は確かに低いです。私の想像よりも低かったです。

しかし一方で、お寺がホームページを持つことによって、日本人の宗教に対する向き合い方が変わるとも思いにくいです。

ホームページを持っているお寺側からすると、ホームページを持てば、人々の興味関心を集めることができて、宗教の情報が伝わっていくと淡い期待をするでしょう。ただそれはお寺の期待・願望にすぎないままになっているのが現実でしょう。

つまりお寺がホームページを必ずしも持たないといけないかは議論の余地があると思います。

1割〜2割程度のお寺がホームページをもっているだけで、宗教としての情報発信は十分に満たされているとも言えるのかもしれません。

以上で、余談を終えます。

なお、今回450強ある浄土真宗興正派のお寺の内、ホームページを持っているお寺すべてを載せたリンク集を円龍寺ウェブサイトで作りました。

ご興味のある方は、浄土真宗興正派のそれぞれのお寺のホームページをご覧いただけたらと思います。都道府県ごとに分類しました。

かっけい
かっけい

浄土真宗の興正派のお寺ホームページのリンク集を作りました


それと自坊は香川県丸亀市にある円龍寺(えんりゅうじ)という寺ですが、全国には29の円龍寺があります。

下のリンク先で、全国の円龍寺をまとめています。

29カ寺中8カ寺がホームページを開設しているので、28%の所有率です。

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