命日を過ぎて法事してもいいのか.#212

第212回目のラジオ配信。「法事の前倒し・後ろ倒し」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ内容まとめ
  • 法事を早く行うようにという言葉は、戒めの言葉
  • 法事をするのを忘れないようにする、気にかけるため
  • 浄土真宗では命日からずれて法事をしても大丈夫
  • 前倒し、後ろ倒し、どちらもOK
  • 日がずれても法事をつとめることが大事
  • 亡き人を偲ぶ法事を通して、大勢の人がご仏縁にであうの大切
  • 法事をする日は柔軟に決めてください
かっけい
かっけい

お参りしやすいように法事の日をずらすのは問題ありませんが、ご命日の日からあまりにも大きくずらしすぎるのは避けてください。

故人の亡くなった月日に勤めるのが本来のかたちです。故人を偲ぶ節目のご縁である年忌法事を数年も大きくずらすのは避けてください。

年忌法事はご命日から前後半年ほどであれば、ずらしてもいいと思います。

Q
法事をする日で、縁起の悪い日はあるのか?
A

浄土真宗では日のよし悪しを選ばないので、縁起の悪い日はありません。友引や仏滅といった六曜も気にする必要はありません。

大勢の人がお参りしやすい日を選びください。

注意事項

土曜日や日曜日は法事が重なりやすいです。

土曜日や日曜日にずらされる場合は、お寺に早めに相談した方が希望の日時に法事をしやすくなります。

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいが、短いおしゃべりをする音声配信です。

今回は命日の日を過ぎた法事について雑談していきます。

法事を命日よりも早く行うのはいいが、遅らせてはダメと聞いたことはありますか?

法事の前倒しはいいけど、後ろ倒しにしてはダメとも言いますよね。

これは、ご法事をするのをうっかり忘れないようにと、故人の命日、亡くなった日を気にかけて、早め早めに考えるようにとの戒めの言葉として言われてきたものです。

そんな亡くなった命日を忘れることなんてないよと思う人もいるかもしれませんが、実際どうでしょうか。

身近な人の一年や二年目の法事でしたら亡くなった日を忘れることはないでしょうが、それが10年以上、20年以上前のこととなるとついうっかり忘れてしまうこともあるかもしれませんね。

特に年忌法事の数え方はちょっと複雑で、17回忌や25回忌や33回忌にもなると、まだ先のことかなと思っていても、気がついたら年忌法事が差し迫っていたり過ぎていたりなんてこともありえます。

亡き人との大切な仏事をうっかりと忘れないようにと、命日のお勤めは早め早めに考えよう、命日を後ろにずらすのはダメ、遅れるのはダメという言葉が広まったんだと思います。

さて、それで実際のところ、命日より後にずらして法事をしてはいけないのでしょうか。

地域や宗派やお坊さんによって考え方は違うかもしれませんが、私の寺、円龍寺の考えでは、亡くなった命日よりそんなに大きくずれなければ、後でも先でもどちらでも問題ありません。

亡き人を偲びつつ、その亡き人とご縁のある人たちが仏さまの教え、ご仏縁にであっていくことが仏事の大切な意義なので、法事をつとめることがなによりも大事です。

よく49日、満中陰の法要とか、一周忌、3回忌とかで、平日では遠方にいる親戚や会社勤めしている子どもが参加しにくいから、法事の日取りをずらして土曜日、日曜日にもしてもいいかと相談を受けます。

もちろんずらして頂いてOKです。

ご縁ある人たちができるだけ大勢集まりやすい日を、命日からそう大きくずれない日で決めていただけたらと思います。

ひょっとしたら、迷信で、法事の日取りを後ろ倒ししたり、前倒ししたら、ご先祖が怒って祟るとか、罰があたるなんて心配する人もいるやもしれませんが、ご先祖さまや仏さまがそんなことをするでしょうか。

浄土真宗では亡くなられた方は、先に仏さまの世界に行かれた諸仏であり、私たちに仏法を回向して下さっています。

亡き人のご縁を通して、生きている私たちが仏法にであう、ご仏縁に出遇うのが法事なのですから、法事の日取りがずれて、ご先祖や仏さまが怒る、罰を与えるはずがないでしょう。

一つの例として大きな話になりますが、浄土真宗のお寺でしている報恩講法要も後ろ倒し、前倒しのお勤めと言えます。

報恩講とは、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人のご命日のお勤めのことです。

親鸞聖人は旧暦の11月28日に亡くなっていますが、ほとんど多くのお寺では、11月28日に行わずに、前倒しや後ろ倒しにずらしてお寺で法要しています。

私の寺、円龍寺でも毎年12月12日に日を決めて報恩講法要を行っています。

11月28日の本当のご命日は、本山で七昼夜に渡って、宗祖親鸞聖人のご命日法要が営まれていて、多くの寺では本山の法要日を避けて、自分のところの寺で法要をしているわけです。

これは、亡くなられたその日の法要が特に大事なのだから、ぜひこの機会に宗派を代表する本山のご命日法要に皆様が1人1人がお参りできるように配慮しているからです。

地方の各末寺は、本山で行われるご命日その日の大切な法要にぜひ皆さんが関われるようにと、自分のとこの寺の法要をずらしているわけです。

そんな風にお寺でも当たり前のように、命日よりも後や先にずらしてお勤めをしています。

でも何の問題もありません。

大切なのは、亡き人をご縁に大勢の人がご仏縁にであうようにすることだからです。

皆様の身近な人、ご家族の法事でも同じことです。

命日の日を過ぎて法事をしたらダメ、前倒しじゃないとダメなんてことはありません。

繰り返しになりますがもう一度いいますね。

命日のあたりの日からそんなに大きくずれていなければ、後でも先でも法事をして大丈夫です。

ご縁のある人が大勢お参りしやすい日を選んでいただけたらと思います。

土曜日・日曜日が都合がよければその日でもいいですし、平日の方がお参りしやすければ平日でもOKです。

法事をする日は柔軟に決めていただいてOKです。

以上で、今回の命日ではない日の法事についてのお話を終えます。

それと実際に法事をする日を決めるさいには、お参りに来るお寺の都合もありますので、法事をしようと考えている候補日を二つ三つほどあげて、お寺との相談の上、法事の日を決めてくださいませ。

「円龍寺かっけいラジオ」では、番組へのメッセージを募集しています。ご感想や取りあげてほしいテーマなどもお寄せ下さい。



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