お寺の護持金は何のため?ラジオ#81

第81回目のラジオ配信。「護持金」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

ラジオテーマ「護持金」の内容まとめ
  • 護持金は寺の建物や敷地、墓地、納骨空間を護持するためにある
  • 護持金の金額・集め方は寺ごとに違う
  • 皆さまの支えがあって、寺・仏法を伝える場所が維持されている

皆さま多くの人は、お寺のこと先祖のことをおまつり・供養するといろいろお金が掛かることはご存知でしょう。

例えば、お墓参りに行くときはお花やお供え物、ロウソク線香などを用意しますよね。あれもお金がかかります。法事をして僧侶を招いて読経するとお布施をしますよね。お参りの参列者にお食事を振舞うのもお金がかかります。

お花やお供えやお布施や食事の金額というのは、それぞれの家庭がそれぞれの判断で決めればよろしいことなのですが、一方で、決まったお金を支払うこともありますよね。それが今日お話しする、護持金のことです。

護持金という表現の他にも、維持費や管理費や冥加金など他にもいろんな言い方がありますが、今回は護持金という表現に統一します。

さて「何千円お願いします」と決まった金額をお願いするのが護持金なんですが、この護持金は何のためかと言いますと、名前の通りお寺を護持するためのお金、支えていくためのお金、管理運営していくためのお金ということです。

これは別にお寺に限定する必要もないですね。

例えばどこかの墓地・霊園に先祖のお骨を納めたとしましょう。お墓の清掃や枯れた花殻の処分や電気水道の費用といった理由で、管理費を支払いますよね。地域の共同の墓地でも同じことです。

こんな風に、自分たちの先祖をおまつりしたり供養したり、またいろんな人が来る場所というのはそこに関わっている人たちがお互いに決めたお金を出し合って、そこを維持していこうと先祖を粗末に扱わないようにしていきます。

これが護持金です。

さて墓地・霊園の護持金は、まあそうだよね。と納得してくださる方が多いのですが、一方でお寺の護持金ということになりますと、寺からの請求・寺からの徴収のように感じられる人もいます。

お参りに行きますと、あそこの寺はこれだけの金額を言ってきたとか、こっちの寺は高すぎるからうんたらかんたらと、まあいろいろ言われます。

実際私のところの円龍寺では、今のところ護持金をいただいていないので、他所のお寺の護持金と比較されがちなんだと思います。

円龍寺が今のところ護持金をお願いしていないのは、例えば、庭木の剪定も拭き掃除掃き掃除など、細々した備品の補修や寺務作業などは、すべて寺の僧侶が自分でおこない、なるべくご門信徒の金銭面での負担にならないようにしているからです。

またありがたいことに自主的に、寄付寄進懇志をしてお寺の護持・サポートをしてくださる方のおかげで、円龍寺ではご門信徒全体に対して個別に、毎年決まった金額の円龍寺の護持金・年会費をいただくことはしていません。

もちろん将来も、まったく護持金をお願いしないとも限りませんが、今現在は何とかやりくりできていますので、円龍寺では護持金・年会費は必要ありません。

ただ円龍寺のご門信徒の方から「年末に2000円をお願いしているじゃないですか」と聞かれることもあります。

「はい。確かに年末・宗祖の報恩講参りに伺ったときに、2000円の決まった金額をお願いしています。」それは円龍寺の護持金ではなく、本山に納めるお金です。本山というのは、自分の属している寺の大本の寺のことです。

例えば、浄土真宗本願寺派なら京都の本願寺。大谷派なら京都の東本願寺・真宗本廟。私のとこの興正派なら京都の興正寺が本山です。

本山には直接の檀家というのは少なく、全国にある寺の支えやそれぞれの寺のご門信徒一人ひとりの支えによって護持されています。

そういう理由で私の寺が年末頃に2000円をお願いしているのは、本山に納める護持冥加金としてお願いしているものです。

ここで注意してほしいのが、護持金あるいは年会費の額によって、あの寺は高すぎるこっちの寺は安いと天秤にかけたり、挙句にはそれを理由にあの寺はあくどい寺だ、寺の檀家をやめる。こっちの寺に移りたいというのは控えていただきたいところです。

寺それぞれにお寺の運営・護持方法を工夫されているでしょうし、事情も違います。

例えば一例ですが、火災保険地震保険があります。寺の規模によっては保険に、年間数十万・数百万どころか数千万もかかったりします。

事情は寺ごとに違います。

皆さんが気持ちよくお参りできるように、またご先祖の供養、これからの代の人びとに永代にわたってお寺の場を残していけるように、護持金の金額の高い低いで寺の良し悪しを決めて欲しくはないです。

参考程度の話ですが、寺の護持金の相場は年間5000円から2万円くらいだそうです。つまり月々500円から1500円ほどになるでしょうか。

もちろんこの金額は単なる参考で、寺によって事情は違って、これよりも安い護持金高い護持金ということもあります。また、毎年ではなく数年分10年分をまとめてお願いし護持金がなくなりしだいまたお願いする寺もあります。

繰り返しますが、護持金というのは、寺の建物や敷地、墓地、納骨空間を護持するためにあります。

保険や清掃や仏具・建物の補修や日々の仏様へのお供え・寺での活動などなど、細かく挙げたらきりがないほど入り用が発生します。

護持金があることで寺とのお付き合いを負担に感じられる方もいらっしゃることでしょうが、自分たちの先祖・地域の人びとがお参りしてきた場所。地域の信仰の場所。祈ってきた場所。先祖をまつり供養する場所。そしてまた仏法を伝える場所を永代に残していくためにも、サポートをお願いできたらと思います。

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護持・お寺を支えることの関連記事

冥加の意味
  • 冥加金
  • 進納金
  • 維持費
  • 管理費
  • 志納金
  • 懇志など

護持金の他に、寺を支える似た言葉はたくさんあります。

リンク先では「冥加金(みょうがきん)」という言葉をピックアップして、解説しています。

お仏飯米とは

お寺へのサポートはお金だけではありません。

お米のお布施というのもあります。

お仏飯米とは仏様にお供えするお米のことです。

今でこそお金でのサポートをお願いする寺も多いでしょうが、聞くところによると、戦前より前、農家のご家庭ではお金ではなく野菜やお米など、自文体が育てたものを仏様にお供えしてお寺の護持をしていたようです。

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